セレクトセール2019
丹下日出夫のセレクトセール日記
7月8日(月)|7月9日(火)
セレクトセールの展望で、ラインナップの頭数を多く出しすぎちゃったかな。あれもこれも、いいというのもナンだよなぁ。
しかしトップバッターのドゥラメンテ×ルモスティから、1億2000万――いや。これは今年は、大変なセリになるかもしれない。
早い番号の馬は、売りたい、買いたいという気持ちが交錯する。お互いのため、比較的
馬格のある馬が多く、いつもの年以上にピッチが上がる。
5番のダイワメジャー×ホットチャチャは、1億7000万ですか。セリというと、ひと声、お題から、ピラミッドの階層的に、値段が上がるにつれ、競り合う人の数が少なくなり、最後は3人から2人へ――うむむと、たたき合って終わりが通常の形式だ。
ところが今年は、3人に減ったなというところから、1人2人と違う人が挙手。あら、また4〜5人でやり直しですか?
二段、三段と踊り場があり、さすがに億を超えると一気呵成。21番のディープインパクト×ジョコンダ2が2億6000万に沸騰。今年のディープ産駒のボーダーみたいなものが、うっすら見えてきました。
ディープ産駒は、次いで33番のプリティカリーナが1億8000万、51番のミュージカルウェイの3億6000万で、早くも本日のセリの頂上に立った。
事前の写真やビデオなどで、全姉のミッキークイーンのシルエットに似ているかなと思っていたが、実物のあの後肢の造り、臀部の大きさ、丸みはどうだ。
ジンジャーパンチのスカッとした皮膚感とシャープな脚さばきに、うむむとうなる人もいた。75番のダンサーデスティネイションがいいな。やっぱ83番のサマーハでしょ。いえいえ、112番のワイの躍動感が素晴らしい。137番のハヴユーゴーンアウェイは、ジェンティルドンナ級のディープ牝馬じゃないか。
などなど、ディープ産駒の1億超えは8頭。ディープは、やっぱり特別だ。このうち2〜3頭は、何らかの形でバトンを受け継ぐ、種牡馬になるかもしれない。
いや、ポスト・ディープは、普通に考えればハーツクライでしょ。27番のシンハディーパの光沢のある薄い皮膚は、同産駒の代表モデルでもあるリスグラシューと双璧だ。
ロードカナロア産駒の、一頭あたりの平均価格も高額だった。68番のエンジェルフォールは、じわじわ螺旋階段を上るようにして1億5000万。154番のムーンライトダンスは1億6000万に到達だ。
時代はもうドゥラメンテですよ。まだ種牡馬として産駒の競走実績はないが、ディープ産駒に比べると産駒は総じて一回り大きい。胸に厚みもある、首と背中と後肢が滑らかにかみ合って歩く。カツカツと窮屈に歩く仔は少なく、ゆったり大きく四肢を伸ばす仔が多い。
66番のラッドルチェンドは、祖母はラヴズオンリーミー、母の兄弟はリアルスティールにラヴズオンリーユーですか。10年近くで、早くも現日本の主要牝系を成す人気牝系に成長した。
95番のペルヴィアンリリーは、半兄アドマイヤエイカン(父ハーツクライ)が、札幌2歳S優勝。迫力満点の肉体美を誇る。個人的な感想ですが、ドゥラメンテは、競走実績がない、まだ結果が出てない今こそが、買える人は買ったほうがいいのかなと思う。
その宿題は、また明日。セレクトセールの参加者も、グリーンチャンネルのセリ中継を見ていた人たちも、翌日の当歳セールは、初日の反省に立って、あれこれ備えようじゃないか。
振り返ると、一日は遠く、100番台までの一頭平均は6000万円を超えていたが、さすがに最後は、約4800万円に落ち着いたが、前年の4400万円余を軽く超えちゃいましたね。
※金額はすべて税抜き
ライタープロフィール
丹下日出夫(競馬評論家)
「ホースニュース馬」を経て現在は毎日新聞本紙予想。POG大魔王の通称も定着している。