JRAにおける芝マイル路線の頂上決戦は、春の安田記念と秋のマイルCSという位置付けとなっていますが、その両レースは東京芝1600m⇔京都芝1600mという舞台設定の違いによる求められる適性面の食い違いから、同じ芝マイルのG1レースでありながらも好走する馬の顔触れはガラリと入れ替わるという“非直結”の傾向がありました。
それを覆して春秋のマイル頂上決戦を同一年に制したのは、09年以降ではマイル路線の絶対的な王者として能力値が抜きん出ていたモーリスと、大本命アーモンドアイにルメール騎手曰く「5馬身のロスがあった」という致命的な不利があってタナボタ的な勝利だった感も否めないインディチャンプの2頭しかいませんでした。
逆に春の安田記念で4着以下に凡走した馬の中から秋のマイルCSで連対したという馬が、09年から19年までの間に11頭も生まれたというのも、両レースの非直結性を裏付ける特徴的な事象と言えます。
ただし、20年秋以降の東京芝コースの変貌(内有利の馬場バイアスがほぼ消滅して、なおかつ一にも二にも末脚がモノを言う馬場に)と、京都競馬場のリニューアル(コース形態の一部改修と芝の路盤について全面的な刷新)後の新装京都芝コースの傾向変化とが相まって、今現在のマイルCSにおいては従来のような「安田記念≠マイルCS」という関係性ではなく、一転して「安田記念≒マイルCS」の関係性と捉えるのが正解と考えられます。
脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
---|---|---|---|---|---|---|
平地・逃げ | 1- 0- 0- 20/ 21 | 4.80% | 4.80% | 4.80% | 43 | 13 |
平地・先行 | 7- 7- 7- 49/ 70 | 10.00% | 20.00% | 30.00% | 75 | 85 |
平地・中団 | 10- 11- 8-112/141 | 7.10% | 14.90% | 20.60% | 56 | 67 |
平地・後方 | 2- 2- 5- 71/ 80 | 2.50% | 5.00% | 11.30% | 24 | 88 |
20年秋以降の東京芝の古馬重賞レースは逃げ切り困難で穴をあけるのは道中二桁通過順位の追い込み馬が多数、ということは幾度となく指摘してきましたが、実は23年春以降の京都芝の古馬重賞でも逃げて好走したのはわずか1頭で、大穴をあけるのは道中二桁通過順位の追い込み馬が多数となっています。コース形態は違えど、恐らく馬場の面で東京芝と京都芝で一致点が生まれている、ということがその背景として考えられます。
京都芝はリニューアル前でも後でも、11月開催を境にして馬場の様相がガラリと入れ替わり、端的に言えば荒れ馬場期に突入するということが起こります。よって、ひと口に京都芝と言っても、10月までの通常開催と11月以降の荒れ馬場期の末期開催とでは、切り分けて考える必要があるというわけですが、それを如実に反映しているのが血統傾向です。
昨年も『通常開催の京都芝ではディープインパクト産駒が最も走る血統でしたが、末期開催ではキングカメハメハ系の種牡馬の産駒が大きく成績を向上させており、勝率部門ではワンツースリーを独占しています』ということを指摘しました。やはり今年も昨年と同様に11月に入ってからキングカメハメハ系が走り出しています。
具体的には10月まではキングカメハメハ系のベタ買い単複回収率は61%という低調な数字でしたが、11月では単複回収率103%という高水準の数字をマークしています。特にいつ何時も好成績を挙げるS級キングカメハメハ系のドゥラメンテ産駒以外の、A〜B級キングカメハメハ系の種牡馬の産駒が好調です。例えばキングカメハメハ産駒は10月までは0勝だったのが11月に入った途端に2勝をマーク。ルーラーシップ産駒も10月までは複勝率1割台だったのが11月に入った途端に複勝率5割の固め打ちを見せている通りです。逆に今年これまで京都芝リーディングを独走していたキズナ産駒は、11月は8頭出走してオール馬券外と一転して不振傾向となっています。
種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
---|---|---|---|---|---|---|
キングカメハメハ | 2- 0- 0- 1/ 3 | 66.70% | 66.70% | 66.70% | 420 | 200 |
リオンディーズ | 1- 0- 1- 1/ 3 | 33.30% | 33.30% | 66.70% | 63 | 1386 |
ルーラーシップ | 0- 1- 2- 3/ 6 | 0.00% | 16.70% | 50.00% | 0 | 173 |
ロードカナロア | 2- 0- 2- 7/11 | 18.20% | 18.20% | 36.40% | 110 | 113 |
ドゥラメンテ | 1- 0- 1-11/13 | 7.70% | 7.70% | 15.40% | 16 | 18 |
レイデオロ | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0 | 0 |
(S級キングカメハメハ系のドゥラメンテ産駒と、晩成の嫌いがありコースを問わずにそもそも2歳戦で全く走らないレイデオロ産駒以外は軒並み成績が急上昇)
キムラヨウヘイの
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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