キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2026年菊花賞

真に有利なのは休み明け初戦ローテ

今の時代、最高峰の舞台であるGIレースで激走(能力を最大限に発揮)する上で最も重要なのは、出走時点で消耗しておらず、いかにフレッシュな状態でレースに挑めるかという点だと言っても過言ではありません。

例えば、同じく秋の3歳GIレースである秋華賞では、近9年(2018〜26年)のうち7年でオークスからの直行ローテを選択した馬が勝利を収めています。

オークス直行馬が不在だった今年を除くと、この期間で唯一、オークス直行以外のローテで勝利したのは、4年前のスタニングローズです。同馬については、前哨戦として出走した紫苑Sは1〜5着馬が0.2秒差以内にひしめき合う大接戦で、5着のカヨウネンカなど格下馬にも大きな着差を付けなかった小差の勝利は、ほとんど力を出し切っていない走りだったと見ています。そのため、直行ローテではなく前哨戦(紫苑S)を経たローテでも、本番(秋華賞)に余力満点で臨めた結果の戴冠だったと言えます。


■データ1 菊花賞のローテ別成績(近13年)

間隔 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
中1週 0-  0-  0-  7/  7 0.00% 0.00% 0.00% 0 0
中2週 0-  0-  1- 11/ 12 0.00% 0.00% 8.30% 0 25
中3週 6-  5-  4- 71/ 86 7.00% 12.80% 17.40% 26 37
中4〜6週 4-  5-  4- 72/ 85 4.70% 10.60% 15.30% 34 50
中7週以上 3-  3-  4- 33/ 43 7.00% 14.00% 23.30% 59 119

その一方、菊花賞では、なぜかいまだに前哨戦を経て臨むローテが馬を使う側(関係者)の間では一般的であり常識的とされており、なおかつ馬を評価する側(馬券購入者)もそれを肯定する向きが強いようで、「菊花賞は長距離のレースでスタミナが求められるから一叩きした方が良い」などともっともらしいことも言われます。しかし、それらは古い時代の慣習や傾向を引きずっているようにしか思えません。


■データ2 菊花賞の7番人気以下のローテ別成績(近13年)

間隔 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
中1週 0- 0- 0- 7/ 7 0.00% 0.00% 0.00% 0 0
中2週 0- 0- 0-11/11 0.00% 0.00% 0.00% 0 0
中3週 0- 1- 0-50/51 0.00% 2.00% 2.00% 0 5
中4〜6週 0- 2- 1-50/53 0.00% 3.80% 5.70% 0 30
中7週以上 1- 1- 4-27/33 3.00% 6.10% 18.20% 43 132

実際に、近13年(2013〜25年)の菊花賞で7番人気以下の人気薄ながらも馬券内に食い込んだ10頭中6頭は、王道ローテではなく、中8週以上の間隔が空いたローテで挑んだ馬です。
ここ3年の菊花賞でも、3年前は最も間隔が空いていた馬が2着、3番目に間隔が空いていた馬が1着でした。2年前は3番目に間隔が空いていた馬が2着。昨年は最も間隔が空いていた馬が3着で、1桁人気馬の中で最も間隔が空いていた馬が1着でした。どの年も、少なくとも間隔が空いている馬に有利な決着だったと見ています。

その一方で、春の実績馬の多くはセントライト記念や神戸新聞杯という王道ローテを歩んでおり、確かに、それらのステップを経た馬は菊花賞でも高い好走率をマークしています。

この結果の解釈は様々あるでしょうが、王道ローテ組は地力の高さでローテ面の不利をカバーしているだけだと私は見ます。ローテ面でプラスアルファが見込めるのは、間隔を空けて挑む馬ではないでしょうか。

こうした菊花賞に向けたローテの常識が覆される日も近いと見ますが、それまでは間隔が空いたローテで挑む馬を特注ローテ馬として評価するのが正解だと考えます。

直結するのはダービーよりも皐月賞

皐月賞・ダービー・菊花賞の三冠馬を除くと、皐月賞と菊花賞の二冠馬はこれまでに8頭いたのに対して、ダービーと菊花賞を制した馬は1943年のクリフジと1973年のタケホープの2頭だけです。近年では、一昨年の勝ち馬アーバンシック(皐月賞4着→ダービー11着)が典型ですが、少なくとも最近の三冠レースの関係性を見ると、ダービーよりも皐月賞の方が菊花賞に直結する傾向があると考えます。

過去13年(2013〜25年)で菊花賞の3着以内に入った三冠レース皆勤馬は16頭いましたが、その中でダービーよりも皐月賞で上の着順を残していた馬は8頭だったのに対して、皐月賞よりもダービーで上の着順を残していた馬は4頭でした(残り4頭は三冠馬も含めて同着順だった馬です)。

究極の瞬発戦と化しているダービーよりも、総合力が問われる皐月賞で走れる馬の方が、世代限定戦の中ではタフな決着となる菊花賞向きの適性を持ち合わせているという見方ができます。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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