JRAにおける春秋の芝マイル路線の頂上決戦として位置付けられる「安田記念⇔マイルCS」では、主に「東京芝1600m⇔京都芝1600m」という舞台設定の違いによる要求適性の食い違いから、好走する馬の顔触れはガラリと入れ替わるという“非直結”の傾向が以前までハッキリと存在していました。
実際に09年から19年までの11年間、安田記念で3着以内に好走した馬の同年マイルCS成績は[2-1-1-13](複勝率23.5％)、同期間のマイルCSで3着以内に好走した馬の翌年安田記念成績は[0-1-2-19](複勝率13.6％)で、それらはGI好走馬というハイレベルな母集団であることを踏まえれば明らかな不振成績となっていました。逆にどちらかのレースで凡走を喫した馬が、もう一方のレースで巻き返して好走を果たす、というケースが頻発して起こっていました。
ただし、20年秋以降の東京芝コースの変貌（内有利の馬場バイアスがほぼ消滅して、なおかつ一にも二にも末脚がモノを言う馬場に）と、京都競馬場のコース形態の一部改修と芝の路盤の全面的な刷新という、新装京都芝コースの傾向変化（差しやすいコース形態かつ差しやすい馬場に）とが相まって、両競馬場の馬場のタイプが近付いて行われるレース自体も似通ってきました。今現在、マイルCSにおいては従来のような「マイルCS≠安田記念」という関係性ではなく、一転して「マイルCS≒安田記念」の関係性と捉えるのが正解と考えられます。
| 着順 | 馬名 | 備考 |
|---|---|---|
| 24年1着 | ソウルラッシュ | 安田記念3着 |
| 2着 | エルトンバローズ | 毎日王冠1着 |
| 3着 | ウインマーベル | 京王杯SC1着 |
| 23年1着 | ナミュール | 富士S1着 |
| 2着 | ソウルラッシュ | 富士S2着 |
| 3着 | ジャスティンカフェ | 毎日王冠2着 |
23~24年のマイルCSの好走馬６頭は全て東京芝1400~1800mの重賞好走だったのに対して、(阪神施行年は除いて)15~19年のマイルCSの好走馬15頭の中で東京芝の1400~1800mの重賞好走馬は８頭しかいなかったことからも、両競馬場の適性ギャップが縮小していることを示唆するものです。
今回のマイルCSにおいても、まずは同年の安田記念の好走馬（次いで東京芝のマイル近辺の重賞好走馬）に着目して、逆にその凡走馬の巻き返しについては懐疑的に見るという、19年以前とは真逆の戦略をとるのが正解と見られます。
基本的には若ければ若い馬ほど疲労耐性が高くて連戦が利くのに対して、年を重ねれば重ねるほど疲労耐性が低くて連戦が利きづらいものです。
| 前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 同級１着 | 36- 32- 22- 149/ 239 | 15.10% | 28.50% | 37.70% | 76 | 83 |
| 同級２着 | 21- 18- 16- 107/ 162 | 13.00% | 24.10% | 34.00% | 72 | 80 |
| 同級３着 | 11- 14- 15- 88/ 128 | 8.60% | 19.50% | 31.30% | 59 | 82 |
| 同級４着 | 8- 9- 12- 82/ 111 | 7.20% | 15.30% | 26.10% | 49 | 65 |
| 同級５着 | 13- 14- 2- 92/ 121 | 10.70% | 22.30% | 24.00% | 59 | 65 |
| 同級6〜9着 | 22- 24- 27- 255/ 328 | 6.70% | 14.00% | 22.30% | 93 | 74 |
| 同級10着〜 | 22- 21- 21- 312/ 376 | 5.90% | 11.40% | 17.00% | 95 | 83 |
| 前着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 同級１着 | 4- 1- 4- 53/ 62 | 6.50% | 8.10% | 14.50% | 74 | 40 |
| 同級２着 | 3- 7- 5- 42/ 57 | 5.30% | 17.50% | 26.30% | 92 | 82 |
| 同級３着 | 3- 2- 7- 37/ 49 | 6.10% | 10.20% | 24.50% | 73 | 76 |
| 同級４着 | 4- 5- 6- 40/ 55 | 7.30% | 16.40% | 27.30% | 74 | 132 |
| 同級５着 | 1- 0- 4- 54/ 59 | 1.70% | 1.70% | 8.50% | 87 | 38 |
| 同級6〜9着 | 10- 9- 7-192/218 | 4.60% | 8.70% | 11.90% | 202 | 90 |
| 同級10着〜 | 4- 11- 5-299/319 | 1.30% | 4.70% | 6.30% | 46 | 46 |
実際に20年以降のJRA平地重賞レースでは、４歳馬は前走同級１着馬が最も好成績で、５歳馬だと前走１着馬よりも前走２着馬が最も好成績、６歳馬だと前走１〜２着馬よりも前走３着馬が最も好成績、７歳馬になると前走好走馬よりも前走で馬券内に入れなかった４着馬が最も好成績となっています。特に７歳馬の前走１着馬は前走２〜４着馬よりも複勝率でも単複回収率でも数字が約半減するほどで、明確な危険パターンとなります。
年齢が上がるにつれて前走で走り過ぎていない馬の方が今走は走れる可能性が高いということが言え、逆に前走で走り過ぎてしまった馬は今走は走れない可能性が高い、ということが言えます。
マイルCSはハイレベルな競走実績が求められるG1レースらしく、過去10年の連対馬20頭中18頭＆好走馬30頭中23頭が前走好走馬の中から輩出されていますが、それについても３〜４歳の若駒の前走好走馬はベタ買い回収率100%超という好成績なのに対して、５歳以上の前走好走馬はベタ買い回収率50%未満という不振成績となっています。
過去10年のマイルCSで、前走４着以下凡走馬で穴をあけた３頭（19年ペルシアンナイト・23年ジャスティンカフェ・24年ウインマーベル）は全て５歳馬でした。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想ＴＶ!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定（通称プロファイリングポイント）に基づいた狙い馬の発掘。
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