東京芝コース(秋開催と春開催)は20年秋開催を境にして、内有利の馬場バイアスがほとんど消滅して、一にも二にも末脚がモノをいう、溜めれば溜めるだけ伸びて来られる差し有利馬場へと変貌を遂げました。例外的に冬開催については、生育状況が良いとは言えない芝の状況と、幅員が狭くコーナー部分が拡大されるDコース使用という背景から、瞬発力の要求度は多少落ちて比較的「内&前有利傾向」になりやすいですが、春&秋開催においては「差し有利」でおおよそ鉄板となっています。
その典型的なレースとなったのが先週の天皇賞秋で、ペースメイクに優れた武豊騎手の逃げ&前を突かずに後続に蓋をする乗り方をする岩田康誠騎手の番手によって、前半3F37.1-後半3F32.9という超が付くスローペース展開となりました。だからと言って一般的によく言われる「スローペース=前有利」の決着にはならずに、むしろ差し追い込み馬の方が上位を占めるという決着となりました。
それに加えてこの東京芝2500mは、最初のコーナーまでの距離が長くてなおかつ坂を超えるというコース形態から、たった100mしか施行距離が変わらない東京芝2400mと比較して格段にスタミナが問われる舞台条件となっています。
今の東京芝の差し有利の馬場傾向と、東京芝2500mというスタミナ要求度が高い舞台条件とが相まって、アルゼンチン共和国杯は道中については極力スタミナを温存できる中団以降のポジショニングをし、レース後半にかけては脚を小出しに使うことなく終盤(最後の直線)だけで末脚を開放するような競馬をする馬が、高いパフォーマンスを発揮できることが想定されます。
そこで重視すべきは、馬の脚質と共にそういう我慢の競馬ができる騎手であるのかどうか、馬が2500mを超える距離をもこなせるスタミナを持ち合わせているかどうか、いう2点です。
まず騎手については、我慢する騎手の筆頭格であるルメール騎手は言わずもがなですが、アルゼンチン共和国杯で騎乗機会9戦7好走を誇る戸崎騎手を含めて基本的に我慢する騎乗を選択する傾向にある関東のベテラン騎手は総じてプラス査定ができます。
| キャリア年数 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2年目 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0 | 0 |
| 3年目 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0 | 0 |
| 4〜10年 | 1- 5- 6- 73/ 85 | 1.20% | 7.10% | 14.10% | 5 | 45 |
| 11〜20年 | 5- 6- 5-118/134 | 3.70% | 8.20% | 11.90% | 58 | 48 |
| 21年〜 | 3- 3- 4- 88/ 98 | 3.10% | 6.10% | 10.20% | 101 | 95 |
昨年も1着ハヤヤッコは吉田豊騎手49歳(当時、以下同)、2着クロミナンスは戸崎騎手44歳、3着タイセイフェリークは大野騎手38歳、4着アドマイヤハレーは田辺騎手40歳という“関東のベテラン騎手”による上位独占で、逆に最若手騎手騎乗のショウナンバシット(佐々木騎手20歳)や関西の若手騎手騎乗のセレシオン(荻野極騎手29歳)は普段よりも前に付ける競馬で凡走を喫していました。
次にスタミナ面について、その裏付けとなる中長距離戦で強い血統(種牡馬)と言えば、恐らく一般的にはゴールドシップ産駒やハービンジャー産駒などの現役時代にも中長距離戦で活躍したスタミナ色の強い個性派血統や、キズナ産駒やディープインパクト産駒などのリーディング上位の距離不問で走る万能血統を思い浮かべる方が多いかと思われますが、実は近年で最も中長距離戦で走っていると言えるのがキングカメハメハ系です。
| 種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| キズナ | 12- 9- 9- 72/102 | 11.80% | 20.60% | 29.40% |
| レイデオロ | 10- 13- 3- 39/ 65 | 15.40% | 35.40% | 40.00% |
| キタサンブラック | 8- 3- 3- 22/ 36 | 22.20% | 30.60% | 38.90% |
| ルーラーシップ | 7- 9- 2- 25/ 43 | 16.30% | 37.20% | 41.90% |
| ドゥラメンテ | 7- 5- 8- 53/ 73 | 9.60% | 16.40% | 27.40% |
| エピファネイア | 6- 4- 4- 37/ 51 | 11.80% | 19.60% | 27.50% |
| ハーツクライ | 5- 2- 2- 34/ 43 | 11.60% | 16.30% | 20.90% |
| ゴールドシップ | 4- 5- 8- 73/ 90 | 4.40% | 10.00% | 18.90% |
| サートゥルナーリア | 4- 3- 2- 19/ 28 | 14.30% | 25.00% | 32.10% |
| ブリックスアンドモルタル | 4- 1- 1- 24/ 30 | 13.30% | 16.70% | 20.00% |
今年の芝2400m以上の種牡馬成績上位にはキングカメハメハ系(ドゥラメンテ・レイデオロ・ルーラーシップ)が上位に名を連ねており、また今年のJRA種牡馬リーディング10位以内で平均勝利距離(芝)が1900mを超えているのも全てキングカメハメハ系(ドゥラメンテ・レイデオロ・ルーラーシップ)であることからも、同系の芝中長距離路線での活躍振りが年々際立っているというのが最新トレンドです。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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