毎年「春の実績馬」vs「夏の上がり馬」という構図で行われるローズS。「春の実績馬」の取捨については、それら個々の馬が順調に夏を越すことができたのかどうか、3歳春までの能力や充実度を秋でも維持&継続させることができるか、という問題が非常に重要な論点です。それを見極める上でのポイントとしては「育成牧場」があります。
| 生産者 | 着別度数 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
|---|---|---|---|---|
| ノーザンファーム | 5- 4- 4-10/23 | 56.50% | 85 | 95 |
| 三嶋牧場 | 2- 0- 0- 0/ 2 | 100.00% | 600 | 220 |
| 社台ファーム | 0- 0- 1- 8/ 9 | 11.10% | 0 | 36 |
| 新冠タガノファーム | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.00% | 0 | 0 |
| 天羽牧場 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.00% | 0 | 0 |
| 清水牧場 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.00% | 0 | 0 |
| 下河辺牧場 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.00% | 0 | 0 |
| 目黒牧場 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.00% | 0 | 0 |
| 追分ファーム | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.00% | 0 | 0 |
| 谷川牧場 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.00% | 0 | 0 |
| 森永牧場 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.00% | 0 | 0 |
| 社台コーポレーション白老ファーム | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.00% | 0 | 0 |
| レイクヴィラファーム | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.00% | 0 | 0 |
| フジワラフアーム | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.00% | 0 | 0 |
| ノースヒルズ | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.00% | 0 | 0 |
| ケイアイファーム | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.00% | 0 | 0 |
ローズSでは過去10年中6年でノーザンファーム生産馬が勝利を収めており、その間のノーザンF生産馬の1~5番人気の上位人気馬は[5-4-4-10]で勝率21.7%・連対率39.1%・複勝率56.5%という好成績をマークしています。それに対してノーザンF生産馬以外の上位人気馬は[2-0-1-24]で勝率7.4%・複勝率11.1%という明らかに見劣る成績となっています。
17年以降のローズSで春の実績馬と見なせる前走オークス組は計34頭いましたが、その中でローズS3着内に好走した9頭中7頭はノーザンF生産馬でした。逆にローズSで4着以下に凡走した25頭中22頭は非ノーザンF生産馬で、その半数ほどが上位人気に推されていました。それにもかかわらずのこの惨状だけに、典型的な危険人気パターンとなっています。3歳夏を乗り越えるという高いハードルをクリアするのは、得てして日本の競馬界(育成界)でトップに立つノーザンF勢ばかりというのが現実となっています。
そもそも「春の実績馬」と「夏の上がり馬」のどちらを重視するべきかについて、重要なポイントとなるのがこの3歳世代自体の世代レベルです。というのも、これまでの同世代のトップ戦線のレースのレベルが高ければ3歳秋でもその勢力図が維持される可能性が高いですし、逆にこれまでの同世代のトップ戦線のレースのレベルが低ければ相対的にレベルが高くなる古馬相手のレースで頭角を現してきた上がり馬が台頭する余地が大きいという考え方ができるからです。
その世代レベルを見極める術としては、過去年との各種対戦成績データの比較と、ノーザンファーム勢の活躍度合いから測ることができます。
| 年・年月 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年 | 58- 31- 37-261/387 | 15.00% | 23.00% | 32.60% |
| 2024年 | 49- 43- 26-268/386 | 12.70% | 23.80% | 30.60% |
| 2023年 | 55- 40- 43-306/444 | 12.40% | 21.40% | 31.10% |
| 2022年 | 51- 42- 39-230/362 | 14.10% | 25.70% | 36.50% |
| 2021年 | 66- 38- 34-278/416 | 15.90% | 25.00% | 33.20% |
| 2020年 | 48- 40- 33-271/392 | 12.20% | 22.40% | 30.90% |
前者について、6〜8月までに行われた芝の3歳上(3歳古馬混合)のレースにおける3歳牝馬の成績を過去5年と今年で比較してみると、勝率は2位・連対率は4位・複勝率は3位という何とも言えない成績にとどまっています。
また、芝3勝クラス以上のレースにおいて、牝馬の好走は1頭を除いては全て距離1200mで挙げているだけに、重要な主流距離路線においてはレベルが高いとは言えません。逆に3歳牡馬については全ての項目で近年最高の成績を収めており、レベルが高いという見方ができます。
後者の日本競馬を牽引するノーザンF勢の活躍度合いについては、春のクラシックでノーザンF系馬が順当に活躍している世代はハイレベルの可能性が高く、ノーザンF系馬が活躍できていない世代は「飛車角落ち」の状態であまりレベルが高くない可能性が考えられるということです。
今年の3歳世代牝馬については、桜花賞ではノーザンF生産馬のワンツー決着だったものの3〜7着馬までは非ノーザンF生産馬で、オークスではノーザンF生産馬は上位5頭中1頭のみにとどまっていましたので、こちらの観点からはレベルに疑問があると言えます。
結論としては、決してレベルが高いとは言えない3歳世代牝馬路線では春の実績馬については全幅の信頼は置けないというのと、それに対して3歳世代牡馬のレベルが非常に高いということからは“対3歳牡馬実績”上位馬(3歳牡馬相手のレースで好結果を残した牝馬)を重視するのも一手です。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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