キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2025年セントウルS

本職のスプリンターが圧倒していた阪神芝1200mのセントウルS

京都競馬場の改修工事などに伴う開催日程の変更に伴い、近5年中4年はセントウルSが中京芝1200mで行われていましたが、今年は2年振りに本来の阪神芝1200mで行われます。

中京芝1200mで行われた20〜22年と24年のセントウルSは、一言で言えば「マイラーが躍動するスプリントレース」でした。そこでは勝ち馬は全て前走距離1400m以上のレースに出走していた距離短縮組から輩出されていました。特に21年の好走馬3頭は全て距離1600mの重賞好走実績馬。20年は好走馬3頭全て前走距離1600mのレースに出走していました。スプリンターズSの最有力前哨戦の位置付けとなるスプリントG2でありながらも、距離1200mよりもどちらかと言えば距離1400mのレース結果かと思えてしまう様な好走馬の顔触れとなっていました。

もちろん、それはセントウルSというレース自体における傾向の変革ではなく、本来の阪神芝1200mと代替の中京芝1200mの間で、問われる適性が大きく異なっていたということに過ぎません。

本来の阪神芝1200mで行われていたセントウルSは対照的にスプリント色の強いレースになりがちです。実際に近7回(14〜19年と23年)の3着内好走馬21頭中19頭は前走でも距離1000〜1200mのレースに出走していた本職スプリンターが占めていました。

前走で距離1600mのレースに出走していた馬で勝利を収めた例は15年のアクティブミノルでしたが、前走ニュージーランドTでは15着と全く勝負にならずに大敗を喫しており、 “ただ距離1600mのレースに名を連ねていただけ”というのが実際の所です。スプリントに適性がある馬だから阪神芝1200mでガラリと一変して走ったわけであり、中京芝1200mのそれとは真逆のケースでした。


■データ1 中京のセントウルSの前走距離別成績(14年以降)

前走平地距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
同距離 0- 3- 1-40/44 0.00% 6.80% 9.10% 0 22
今回延長 0- 0- 1- 1/ 2 0.00% 0.00% 50.00% 0 180
今回短縮 4- 1- 2-12/19 21.10% 26.30% 36.80% 68 97

■データ2  阪神のセントウルSの前走距離別成績(14年以降)

前走平地距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
同距離 6-  5-  6- 58/ 75 8.00% 14.70% 22.70% 175 78
今回延長 0-  2-  0-  7/  9 0.00% 22.20% 22.20% 0 70
今回短縮 1-  0-  1- 15/ 17 5.90% 5.90% 11.80% 282 70

回収率データ上ではそのアクティブミノルの激走(10番人気1着)に引っ張られて距離短縮ローテ馬が優秀な数字となっていますが、その一例を除けば「距離延長(前走1000m)>同距離(前走1200m)>距離短縮(前走1400m以上)」の順で相性が良い臨戦過程となっています。

逃げ先行有利になる阪神芝1200mのセントウルS

中京芝1200mで行われたセントウルSでマイラーが躍動していた背景としては、同コースが特にスタミナと末脚の良さが求められる条件だからです。よって、脚質的には逃げ・先行馬よりも、先行集団を見る位置取りで脚を溜めて直線で末脚を使う差し馬の方が有利という傾向で、実際に中京で施行された近5年中4年では逃げ馬は一頭も好走できていません。


■データ3  阪神のセントウルSの脚質別成績(14年以降)

脚質上り 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
平地・逃げ 3-  1-  0-  3/  7 42.90% 57.10% 57.10% 2324 461
平地・先行 2-  2-  2- 18/ 24 8.30% 16.70% 25.00% 45 70
平地・中団 2-  2-  4- 31/ 39 5.10% 10.30% 20.50% 15 52
平地・後方 0-  2-  1- 28/ 31 0.00% 6.50% 9.70% 0 22

それについても末脚の良さよりも先行力が問われる阪神芝1200mで行われるセントウルSでは正反対の傾向で、阪神開催の近7回では逃げ馬が4度連対という好成績です。さらには4角3番手以内で通過した逃げ・先行馬が毎年好走馬に名を連ねています。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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