キーンランドCが行われる札幌芝1200mは、最後の直線に向かうまでのコーナー部分が緩やかな造りをしており、中団以降に位置する差し追い込み馬が脚を伸ばしやすいコース形態をしています。よって、基本的には当該距離よりも長い距離の適性(スタミナと末脚性能)が問われる舞台設定と言えます。
開催序盤のスピードだけで押し切れるような高速馬場の場合はやや例外もありますが、開催終盤に設定されているキーンランドCは、ほぼ例外なく時計が掛かる馬場や内目が荒れた馬場になりがちなので、距離1200m超の実績を持つ末脚に秀でた馬が俄然有利になります。
実際に近年の札幌芝1200mで行われた重賞では、距離延長ローテや同距離ローテで挑む馬よりも、決してメジャーではない距離短縮ローテで挑む馬の方が回収率の面でも好走率の面でも好成績を残しています。
| 前走平地距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 同距離 | 8- 10- 6-111/135 | 5.90% | 13.30% | 17.80% | 65 | 52 |
| 今回延長 | 1- 0- 1- 10/ 12 | 8.30% | 8.30% | 16.70% | 102 | 77 |
| 今回短縮 | 2- 1- 4- 16/ 23 | 8.70% | 13.00% | 30.40% | 34 | 118 |
比較として以前まで同時期に行われていた小倉芝1200mの重賞・北九州記念では、距離短縮ローテで挑む馬は、近10年で[0-1-0-22]とほぼほぼ壊滅的な低調成績となっているということを踏まえても、それは有意な傾向として見られるものと思います。
具体的に近年の距離短縮ローテ馬の活躍を振り返ると、5年前は前走中京記念(芝1600m)を経て臨んだディメンシオンが9番人気3着、4年前は前走京王杯スプリングC(芝1400m)を経て臨んだセイウンコウセイが9番人気3着、2年前は前走ヴィクトリアマイル(芝1600m)を経て臨んだナムラクレアが1着、昨年も出走馬で唯一の距離短縮ローテ馬だった前走チャンピオンズマイル(香港・芝1600m)を経て臨んだオオバンブルマイが7番人気3着でした。
前週の雨中競馬のダメージによって例年通りに時計の掛かる馬場での施行となりそうな今年のキーンランドCでも、距離短縮ローテ馬の激走もしくは勝ち切りが見られそうです。
先週の中京記念では出走馬で2頭しかなかった3歳馬同士のワンツーという決着となりました。過去10年の中京記念では、3歳馬は[1-1-0-5]という微妙な成績にとどまっていましたが、それが今年いきなり3歳馬のワンツーという結果に翻った要因の一つとして、今年からハンデ戦から別定戦に替わったという点が指摘できます。
以前にも「夏のハンデ重賞は3歳馬が不利」ということについて、『20〜24年の夏場6〜8月の2勝クラス戦×ダート戦の定量戦では3歳馬は複勝率46%・単複回収率106%なのに対して、同条件のハンデ戦では3歳馬は複勝率41%・単複回収率59%まで急激に数字を落とします』というデータを紹介しましたが、基本的にハンデ戦よりも別定戦や定量戦の方が3歳馬と古馬との平均斤量差が大きくなりやすいということで、3歳馬にとってはハンデ戦よりも別定戦や定量戦の方が斤量的にお得であり、つまり相対的に有利ということが言えます。
実際に近年の3歳上の重賞競走で、3歳馬はハンデ戦では[3-0-1-34](単勝回収率36%/複勝回収率30%)で複勝率は全年齢で最下位というかなりイマイチな成績なのに対して、逆にハンデ戦以外では[12-7-6-65](単勝回収率95%/複勝回収率95%)で複勝率は全年齢で最上位という水準超の成績となっています。
| 年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 3歳 | 3- 0- 1- 34/ 38 | 7.90% | 7.90% | 10.50% | 36 | 30 |
| 4歳 | 15- 11- 14-112/152 | 9.90% | 17.10% | 26.30% | 106 | 95 |
| 5歳 | 9- 11- 8-144/172 | 5.20% | 11.60% | 16.30% | 35 | 53 |
| 6歳 | 5- 7- 10- 75/ 97 | 5.20% | 12.40% | 22.70% | 24 | 97 |
| 7歳 | 2- 6- 1- 51/ 60 | 3.30% | 13.30% | 15.00% | 39 | 55 |
| 8歳 | 1- 1- 1- 16/ 19 | 5.30% | 10.50% | 15.80% | 185 | 76 |
| 年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 3歳 | 12- 7- 6- 65/ 90 | 13.30% | 21% | 27.80% | 95 | 95 |
| 4歳 | 33- 29- 26- 260/ 348 | 9.50% | 17.80% | 25.30% | 88 | 84 |
| 5歳 | 27- 27- 24- 335/ 413 | 6.50% | 13.10% | 18.90% | 54 | 75 |
| 6歳 | 15- 15- 16- 212/ 258 | 5.80% | 11.60% | 17.80% | 43 | 60 |
| 7歳 | 3- 11- 9- 131/ 154 | 1.90% | 9.10% | 14.90% | 11 | 48 |
| 8歳 | 2- 3- 5- 49/ 59 | 3.40% | 8.50% | 16.90% | 16 | 65 |
このキーンランドCでは特に3歳馬の活躍が目立っているというわけではありませんが、3歳馬にとって相対的に有利な別定戦であり、3歳馬が早い段階から通用しやすい芝短距離のカテゴリーであることからも、3歳馬を積極的に狙うのもアリと言えるでしょう。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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