かつてのエルムSはローカル・ダート1700mの全般的なイメージ通り、先行馬ばかりが勝利し、差し馬が馬券内に届くのはレアケース、という先行有利傾向が顕著でした。しかし、2019年以降(函館開催の21年は除く)の逃げ馬は、全て人気を下回る着順での凡走。そして序盤に二桁通過順位だった馬が2頭勝利するなど、決して先行有利とは言えないレースとなっています。その要因としては年々拡大している札幌ダートの「逃げ馬不利傾向」と「外枠有利傾向」に他なりません。
まず「逃げ馬不利傾向」について。札幌ダート1700mにおける逃げ馬の成績は、競馬場の改修工事明けの14年は複勝率58.9%という超好成績をマークした後、15年から18年までも毎年複勝率40%台前半という好成績をキープしましたが、2019年以降は20〜30%台まで急激に落ち込みを見せています。
| 枠番 | 着別度数 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
|---|---|---|---|---|
| 1枠 | 19- 12- 22-157/210 | 25.20% | 119 | 91 |
| 2枠 | 16- 14- 18-161/209 | 23.00% | 81 | 65 |
| 3枠 | 27- 24- 23-198/272 | 27.20% | 60 | 74 |
| 4枠 | 29- 31- 33-289/382 | 24.30% | 95 | 92 |
| 5枠 | 29- 43- 32-295/399 | 26.10% | 76 | 71 |
| 6枠 | 40- 25- 27-316/408 | 22.50% | 78 | 71 |
| 7枠 | 23- 35- 26-329/413 | 20.30% | 43 | 66 |
| 8枠 | 27- 26- 31-334/418 | 20.10% | 75 | 74 |
| 枠番 | 着別度数 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
|---|---|---|---|---|
| 1枠 | 21- 16- 27-219/283 | 22.60% | 61 | 65 |
| 2枠 | 17- 20- 26-220/283 | 22.30% | 51 | 92 |
| 3枠 | 30- 35- 24-398/487 | 18.30% | 63 | 61 |
| 4枠 | 41- 29- 40-392/502 | 21.90% | 92 | 84 |
| 5枠 | 37- 50- 40-404/531 | 23.90% | 76 | 88 |
| 6枠 | 47- 58- 42-390/537 | 27.40% | 82 | 97 |
| 7枠 | 42- 41- 38-428/549 | 22.00% | 73 | 63 |
| 8枠 | 49- 35- 48-424/556 | 23.70% | 66 | 74 |
次に「外枠有利傾向」について。14年から18年の札幌ダート1700mにおける枠番別成績(複勝率)を見ると「最上位は3枠」で「下位は7枠→8枠の順」という歴然とした内枠有利⇔外枠不利傾向でした。しかし、一転して19年から24年では「上位は6枠→8枠の順」で「下位は3枠→4枠の順」という外枠有利⇔内枠不利傾向に翻っています。
今年もここまで良馬場で行われた札幌ダート1700mの全10レースで7枠か8枠の馬が必ず好走しているのに対して、1枠か2枠の馬はわずか1連対にとどまっています。今回のエルムSでも「内枠馬」や「逃げ馬」よりも、「できる限り外目の枠順」を引き当てた「前に行き過ぎない脚質の馬」が狙い目と言えそうです。
22年に「全日本的なダート競走の体系整備(地方競馬主体でダート競走の番組充実を図る施策)」が発表されました。その最たる変更としては24年から中央所属馬にも一部門戸が開放された「3歳ダート三冠競走」が創設されたという点ですが、それにともなって中央競馬でも従来よりもダート競走が重視されるようになりました。
「3歳ダート三冠競走」の創設初年度世代のダート路線代表馬としては、サウジカップを制覇したフォーエバーヤングや、4歳馬にして帝王賞を制覇したミッキーファイトなどが挙げられます。そんな現4歳世代と、創設前年度の現5歳世代(以上)では、ダート馬のレベルに差異があるというのがポイントです。
| 年齢 | 着別度数 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
|---|---|---|---|---|
| 4歳 | 1- 4- 4- 7/ 16 | 56.30% | 11 | 139 |
| 5歳 | 6- 2- 1- 32/ 41 | 22.00% | 89 | 53 |
| 6歳 | 0- 1- 2- 26/ 29 | 10.30% | 0 | 129 |
| 7歳 | 0- 0- 0- 13/ 13 | 0.00% | 0 | 0 |
| 8歳 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.00% | 0 | 0 |
実際に現4歳世代が出走した今年のJRAのダート重賞は6レースありましたが、「プロキオンSはサンライズジパング、フェブラリーSはサンライズジパングとミッキーファイト、マーチSはロードクロンヌ、アンタレスSはミッキーファイト、平安Sはロードクロンヌとレヴォントゥレット、東海Sはインユアパレスとビダーヤ」という馬が好走しています。
また、そもそもこの4歳夏というのは4歳馬が走ってくるタイミングと言えます。というのもJRAでは馬の年齢とレースの距離別に細かく斤量の設定がなされており、3歳夏から4歳春にかけて段階的に古馬との斤量差が縮小されます。そこでは若駒にとっては成長して力量差を埋めていく分だけ斤量差は縮小されていき、結果的にそれらが相殺される格好で、その期間内は古馬との成績の差を中々詰められないということになります。そして、その斤量差の縮小が終わり据え置きとなる4歳夏以降から4歳馬が成績を上げていくというのは毎年不変の傾向となっています。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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