キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2025年アイビスSD

軽斤量が絶対有利の新潟直線1000m

過去10年のアイビスサマーダッシュは牡馬が2勝に対して、牝馬は8勝となっています。またアイビスSD以外の新潟千直のオープン特別も、近4年に行われた8レース中6レースで牝馬が勝利しており、またその全てで牝馬が2頭以上馬券に絡んでいました。

それらの結果から新潟千直は牝馬有利の条件と言っても差し支えないですが、斤量差が露骨にパフォーマンスに影響する条件だけに、牡馬よりも斤量が2キロ軽く設定されている牝馬がその分だけ必要以上に有利になっているというのが本質的かも知れません。


■データ1  21年夏開催以降の新潟直線1000mのオープン競走の性別成績

  着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
牡馬騙馬 2-  4-  4- 75/ 85 2.40% 7.10% 11.80% 48 69
牝馬 10-  8-  8- 94/120 8.30% 15.00% 21.70% 85 108
55.5キロ以上の牡馬騙馬 24- 16- 23-259/322 7.50% 12.40% 19.60% 57 61
55.5キロ以上の牝馬 8- 15- 11-183/217 3.70% 10.60% 15.70% 44 60

というのも、同条件における牝馬の良績は軽斤量馬に偏っており、55.5キロ以上の非軽斤量のゾーンにおいては実は牝馬よりも牡馬の方が好走率の面でも回収率の面でも好成績を残しています。それは55.5キロ以上を背負う馬の牡馬と牝馬の馬質の違いもあるかと思われるかも知れませんが、例えば上位人気馬に絞っても牝馬は水準を大きく下回る成績にとどまっています。

今回のアイビスSDにおいても、そもそも基礎斤量が57キロの牡馬よりも、別定斤量が加算されて56キロの牝馬よりも、まずは斤量が加算されずに55キロで出走できる牝馬を重視すべきです。

今年の新潟直線1000mの好走馬の半数近くは「逃げ馬」か「菊沢騎手or嶋田騎手の差し追い込み馬」


■データ2  今年の新潟直線1000mの好走馬の進路と決まり手

  1着馬 2着馬(1着同着含む) 3着馬
5/3 平場 外ラチ沿い・逃げ 外ラチ沿い・先行 外ラチ沿い・差し(嶋田)
5/4 驀進特別 外ラチ沿い・差し(菊沢) 外目・先行 外ラチ沿い・差し
5/10 駿風S 外ラチ沿い・先行 外ラチ沿い・逃げ 外ラチ沿い・追い込み(菊沢)
5/11 平場 外ラチ沿い・先行 外ラチ沿い・逃げ 外目・差し
5/17 平場 外ラチ沿い・逃げ 外ラチ沿い・先行 外ラチ沿い・先行
5/18 飛竜特別 外目・先行 外ラチ沿い・追い込み(菊沢) 外目・先行
5/24 はやぶさ賞 外目・逃げ 外ラチ沿い・先行 外目・差し
5/25 韋駄天S 外ラチ沿い・逃げ 外ラチ沿い・追い込み(菊沢) 外ラチ沿い・追い込み(嶋田)
7/26 閃光特別 外ラチ沿い・逃げ 外目・先行 外目・差し
7/27 平場 内ラチ沿い・差し 外ラチ沿い・先行 外目・差し

(※馬券内好走馬30頭中13頭が[逃げ馬]か[嶋田&菊沢騎手騎乗の差し追い込み馬])

アイビスSDが行われる新潟千直のレースにおいて最も有利な戦法は、道中で極力外ラチ沿いを通り続けるということです。よって、1つ目の好走パターンはおのずとそれが実現しやすい「逃げ馬」と「7〜8枠の馬」ということになります。

外枠有利についてはもはや周知の事実で、枠番が内目の馬はオッズが上昇⇔外目の馬はオッズが下降となり、オッズに相当織り込まれるのが常となっていますが、その上でもまだ外枠馬の方が好走率はもとより回収率についても高い数字に至っており、当てる為にも儲ける為にも“外枠買い”が常道となっています。

ただし、あくまでも肝は外枠を引くことではなく外ラチ沿いを通り続けることで、そのためには必ずしも外枠でなくとも実現可能ですので、2つ目の好走パターンは「非外枠から外ラチ沿いに潜り込む人馬」です。

その戦法を採るためには騎手の強い意思が無ければ実現されないという点で、それができる騎手というのはおのずと限られます。実際に24年夏開催以降の近1年の新潟直線1000mのレースで、一桁馬番から道中5番手以下から差して好走したのは11頭いましたが、内8頭が外ラチ沿いに付ける競馬をしていました。その騎手の内訳は菊沢騎手が4回・嶋田騎手が2回でほとんどが両騎手によるものでした。よって、2つ目の好走パターンは「非外枠の菊沢騎手か嶋田騎手が騎乗する馬」と言い換えられます。

最後の3つ目の好走パターンは「開催序盤で内ラチ沿いを単走で走る馬」です。人も馬も他との関わり(プレッシャー)の中、緊張状態で走るよりも、他と関わらずにリラックスした状態で単独で走る方が速く走れるとされています。

先日、高校総体の陸上男子100mで清水空跳選手が日本高校新記録となる100m10秒00をマークしました。これは独走で実質的な単走という状況も記録の後押しとなったものと見られます。

23年アイビスSDで14番人気激走したバカラクイーンや先週日曜新潟11Rで10番人気で勝利したイスラコラソンにしても、馬場状態的には外ラチ沿いよりも内ラチ沿いの方がデメリットあるものの、それ以上に内ラチ沿いで周りに馬がいない中で単走できた、というメリットが上回ったという結果だと見られます。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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