キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2025年七夕賞

重ハンデ馬にとって不利が小さい持続力勝負に小回り二千重賞

サマー2000シリーズの第二戦として行われる七夕賞。同シリーズはG2札幌記念を除いて全てハンデキャップ競走として行われます。そのハンデのベースとなる斤量については、馬の年齢別と距離別に細かく設定されています。

例えば7月のオープン競走では3歳馬と古馬との斤量差は3〜4キロですが、12月のオープン競走ではそれが1〜2キロまで縮小されます。それは7月から12月までの5か月の間に、3歳馬は古馬に対して斤量差2キロ分の成長を遂げて能力差を埋めるという計算の元だと見られます。

また、7月のオープン競走かつ短距離戦では3歳馬と古馬との斤量差は3キロですが、中長距離戦では4キロとなっています。これは距離別に斤量差の影響度合いが異なるという見方がされているからで、つまりは短距離戦だと斤量差の影響が大きい為に幅が小さく設定されており、逆に中長距離戦だと斤量差の影響が小さい為に幅が大きく設定されているということだと見られます。

距離以外でもレースの施行条件によって、斤量差の影響が大きい=ハンデが利きやすいケースや、斤量差の影響が小さい=ハンデが利きづらいケースが様々あるわけですが、ハンデキャッパーは馬のキャリアに応じてハンデを付けているのであって、施行条件によってハンデの幅を増やしたり減らしたりさせることはありません。ハンデが利きやすい施行条件は軽ハンデ馬が有利となり、ハンデが利きづらい施行条件は重ハンデ馬が有利という、ある意味で歪な傾向が生み出されるというわけです。

基本的には斤量は瞬発力(初速や加速)の面に大きく影響するとされていますが、それが問われづらくて持続力が大きく問われる競馬になりやすい小回りコースの芝2000mというのは、斤量が物を言いづらい施行条件だと見られます。それに当てはまる今回の福島芝2000mの七夕賞では、軽ハンデ馬よりも重ハンデ馬の方を重視すべきという見方ができます。


■データ1  過去10年の七夕賞の斤量別成績

斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率
49.5〜51kg 0-  0-  1-  3/  4 0.00% 0.00% 25.00%
51.5〜53kg 0-  1-  3- 19/ 23 0.00% 4.30% 17.40%
53.5〜55kg 2-  4-  4- 39/ 49 4.10% 12.20% 20.40%
55.5〜57kg 7-  4-  1- 49/ 61 11.50% 18.00% 19.70%
57.5〜59kg 1-  1-  1- 11/ 14 7.10% 14.30% 21.40%

実際に過去10年の七夕賞では53キロ以下の軽ハンデ馬は未勝利で、57キロ以上のハンデの馬が8勝を挙げるなど活躍が目立つというレース傾向となっています。

例年とは異なり今年の七夕賞は開催3週目の施行(例年よりも差し馬に注目)

七夕賞が行われる福島芝2000mのコース形態の特徴としては、最初のコーナーを迎えるまでの直線の長さ(約500m)と、最後のゴール前の直線の短さ(約300m)が挙げられます。

その特徴を有するコース形態でなおかつ頭数が一定以上揃っているレースの場合には、序盤の隊列が固まるまでに時間を要しがちで、結果的にペースが速くなり、展開が厳しくなりやすいということで、差し有利決着=先行不利決着が起こりやすくなります。

その基本傾向を前提として、「出走頭数の多少」と「馬場の良し悪し」によって、それが変動します。出走頭数が多くて馬場が悪い時には差し有利傾向が助長されて、逆に出走頭数が少なくて馬場が良い時にはそれが阻害されるということです。


■データ2  11年以降の福島芝2000mの重賞OP競走×非良馬場の脚質別成績

脚質上り 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
平地・逃げ 0-  1-  1-  8/ 10 0.00% 10.00% 20.00% 0 104
平地・先行 4-  3-  2- 20/ 29 13.80% 24.10% 31.00% 84 88
平地・中団 5-  3-  4- 45/ 57 8.80% 14.00% 21.10% 134 75
平地・後方 0-  1-  2- 39/ 42 0.00% 2.40% 7.10% 0 21
平地・マクリ 0-  1-  0-  3/  4 0.00% 25.00% 25.00% 0 125

今年の七夕賞は「多頭数の15頭が出走予定」・「降水確率が高い日が続く天気予報」に加えて、例年の開催2週目とは異なり「開催3週目の施行」で荒れつつある馬場が想定されることからも、どちらかと言えば差し馬の方を重視したい所です。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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