キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2025年北九州記念

千直経由馬が穴パターンの小倉芝1200m重賞

小倉芝1200mは数あるスプリントコースの中で最も超スピードが問われる舞台設定です。ましてや開催前半の高速馬場で行われるとすれば、なおさらその方向性が問われます。

そこで狙うべき存在としては、超スピード決着を直近に経験して、スピードが磨かれた上でここに臨むという“経験馬”が挙げられます。前走で今回と同等かそれ以上のスピード競馬を経験しているという面で、小倉芝1200mでは距離延長組の活躍が顕著に見られる一方、その逆となる距離短縮組はかなり分が悪いという明暗クッキリの傾向が出ています。


■データ1  小倉芝1200m重賞の前走距離別成績(13年以降/前走ダート除く)

前走平地距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
同距離 19- 18- 19-201/257 7.40% 14.40% 21.80% 170 108
今回延長 3-  3-  2- 33/ 41 7.30% 14.60% 19.50% 133 114
今回短縮 1-  2-  1- 34/ 38 2.60% 7.90% 10.50% 3 16

距離延長組かつ前走芝出走馬(つまり前走新潟千直出走馬)に限れば[3-3-2-33]で単勝回収率133%・複勝回収率114%という、特に人気薄で激走するケースが多々見られる典型的な穴パターンとなっています。

それは新潟千直を使った効果(前半スピード強化)で次走が1200mの場合には楽な追走が叶いやすいのと、新潟千直は勝つ戦法が決まっているコースなので、逆に言えば勝てない戦法では実力以上に凡走することになるので次走妙味が生まれやすいという要因が挙げられます。

軽ハンデ馬有利の小倉芝1200m重賞

サマースプリントシリーズは全6戦が設定されていますが、その中でこの北九州記念とCBC賞の2戦だけがハンデ戦として行われ、それ以外の4戦はすべて別定戦として行われます。

この北九州記念とCBC賞について、同じ芝1200mのハンデ戦にもかかわらず、斤量傾向(ハンデ別の競走成績)に大きな違いがあるのがポイントです。結論から言えば北九州記念は軽ハンデ馬有利で、中京芝1200mが舞台のCBC賞は重ハンデ馬有利となっています。

実際に過去10年の北九州記念では、斤量57.5キロ以上の重ハンデ馬は[0-0-0-8]で全滅となっている一方で、斤量51キロ以下の超軽ハンデ馬は[2-0-1-13]で単複回収率400%超という好成績をマークしています。


■データ2  北九州記念の斤量別成績(近10年)

斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
〜49kg 0-  0-  0-  2/  2 0.00% 0.00% 0.00% 0 0
49.5〜51kg 2-  0-  1- 11/ 14 14.30% 14.30% 21.40% 1236 155
51.5〜53kg 2-  1-  2- 32/ 37 5.40% 8.10% 13.50% 35 31
53.5〜55kg 3-  4-  4- 62/ 73 4.10% 9.60% 15.10% 78 81
55.5〜57kg 3-  5-  3- 28/ 39 7.70% 20.50% 28.20% 94 113
57.5〜59kg 0-  0-  0-  8/  8 0.00% 0.00% 0.00% 0 0

■データ3  CBC賞の斤量別成績(近10年/小倉阪神施行年除く)

斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
〜49kg 0-  0-  0-  3/  3 0.00% 0.00% 0.00% 0 0
49.5〜51kg 0-  1-  0-  6/  7 0.00% 14.30% 14.30% 0 67
51.5〜53kg 0-  1-  1- 19/ 21 0.00% 4.80% 9.50% 0 37
53.5〜55kg 3-  2-  0- 28/ 33 9.10% 15.20% 15.20% 145 65
55.5〜57kg 4-  2-  4- 24/ 34 11.80% 17.60% 29.40% 63 101
57.5〜59kg 0-  1-  2-  8/ 11 0.00% 9.10% 27.30% 0 75

それに対して過去10年の中京芝1200mで施行されたCBC賞では、斤量51キロ以下の超軽ハンデ馬は[0-1-0-9]で1頭しか好走できていない一方で、斤量55.5キロから57キロまでの水準ハンデ馬と斤量57.5キロ以上の重ハンデ馬だけが複勝率3割弱という好成績をマークしています。

基本的には斤量は初速や加速などの瞬発力面に大きく影響するとされていますので、それがキーとなるスピード重視の小倉芝1200mが舞台の重賞レースでは軽ハンデが利きやすく、それがキーとはならずにスピードだけでは乗り切れない中京芝1200mが舞台の重賞では軽ハンデが利きづらいということだと考えられます。

開催前半でも外枠有利の夏の小倉芝1200m

昨年の北九州記念は上位6頭中5頭が二桁馬番という外枠決着でした。そこで唯一中枠から好走した3着モズメイメイは次走重賞1着で、内枠から凡走した14着グランテストは次走重賞3着、18着テイエムスパーダが次走重賞3着など、不利な内枠からの競馬だった馬は次走以降に巻き返し好走が多々発生していたのに対して、外枠から上位入線した馬は次走全滅だったことからも、見た目以上に外枠有利の決着だったという見方ができます。今年も同様の外枠有利バイアスが発生する可能性も大いにあり得るだけに注意が必要です。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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