キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2025年府中牝馬S

展開面の比重が高い牝馬限定のハンデ戦

昨年までこの時期に行われていた牝馬重賞のマーメイドSは、過去10年で1番人気から5番人気までの複勝率が30%なのに対して、6番人気から10番人気までの複勝率も30%と同じであり、人気がアテにならない波乱傾向が強い一戦となっていました。その最たる背景としては「ハンデ戦」かつ「牝馬限定戦」であったからだと考えられます。


■データ1  過去10年のマーメイドSの人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
1番人気 1-  2-  1-  6/ 10 10.00% 30.00% 40.00% 37 68
2番人気 0-  2-  0-  8/ 10 0.00% 20.00% 20.00% 0 43
3番人気 1-  1-  1-  7/ 10 10.00% 20.00% 30.00% 57 68
4番人気 1-  1-  1-  7/ 10 10.00% 20.00% 30.00% 91 86
5番人気 0-  1-  2-  7/ 10 0.00% 10.00% 30.00% 0 106
6番人気 1-  0-  3-  6/ 10 10.00% 10.00% 40.00% 108 133
7番人気 2-  1-  0-  7/ 10 20.00% 30.00% 30.00% 289 130
8番人気 1-  0-  0-  9/ 10 10.00% 10.00% 10.00% 156 43
9番人気 0-  1-  0-  9/ 10 0.00% 10.00% 10.00% 0 40
10番人気 3-  1-  2-  4/ 10 30.00% 40.00% 60.00% 522 340
11番人気〜 0-  0-  0- 50/ 50 0.00% 0.00% 0.00% 0 0

まず2014年以降の世代限定戦を除く重賞レースで「ハンデ戦以外」の人気馬複勝率は4割強なのに対して、「ハンデ戦」の人気馬複勝率は4割弱となっています。そして、「ハンデ戦以外」かつ「牝馬限定戦」の人気馬複勝率は4割弱で中穴馬複勝率は15%程なのに対して、「ハンデ戦」かつ「牝馬限定戦」の人気馬複勝率は3割強で中穴馬複勝率は20%程です。

つまりは、人気馬の複勝率が下がる「ハンデ戦」はそれ以外のレースよりも出走メンバー間の能力差を拮抗させていると言えますし、同様に人気馬の複勝率が下がって中穴馬の複勝率が上がる「牝馬限定戦」はそれ以外のレースよりも出走メンバーの能力が拮抗していると言えますので、その「両方」が揃うレースは最も拮抗戦≒大混戦になりやすいと導けます。

そこで何が起きるのかと言えば、微々たる能力差よりも適性面が明暗を分けやすいことと、そしてそれ以上に展開面が物を言う決着になりがちということです。

マーメイドSでは近10年中7年で6番人気以下の人気薄馬が勝利していて、その7頭中3頭が道中二桁通過順位の追い込み馬、残り4頭中3頭が道中1〜2番手通過の逃げ&番手馬でした。こうした極端な戦法を採ったことで結果的に展開が嵌まり、勝利に至りました。

また、マーメイドSに限らず23年以降に行われた「ハンデ戦」かつ「牝馬限定戦」は計11レースあり、その内7レースは展開で決まったと言える様な決着の仕方(完全前残り決着or追い込み決着)となっていました。

昨年までのマーメイドSと舞台条件は大きく異なるとはいえ、同じ牝馬限定のハンデ重賞であることには変わりない今年の府中牝馬Sにおいても、展開が嵌まる馬(逃げるか追い込むか極端な戦法を採る馬)から入るという選択こそ正解に近付けるはずです。

穴をあけるのは追い込み馬ばかりの今の東京芝コース

その極端な戦法を採る馬の中でも、逃げ馬より追い込む馬の方に有利になる可能性が高いのが、今の東京芝コースです。

同コースは20年秋開催を境にして、内有利の馬場バイアスがほぼ消滅して、なおかつ一にも二にも末脚がモノを言う馬場、端的に言い表せば差し有利馬場へと変貌をしたという説明をこれまで何度かしてきました。それによって、厳冬期の荒れ馬場かつ幅員の狭いDコース使用の冬開催は例外として、それ以外の春開催&秋開催の重賞では特に後方から追い込む馬の方が多く穴をあけるという珍しい現象が起こっています。


■データ2  24年以降の東京芝×牝馬重賞(2歳戦除く)の脚質別成績

脚質上り 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
平地・逃げ 0-  0-  0-  9/  9 0.00% 0.00% 0.00% 0 0
平地・先行 1-  3-  0- 29/ 33 3.00% 12.10% 12.10% 14 40
平地・中団 6-  5-  2- 49/ 62 9.70% 17.70% 21.00% 402 68
平地・後方 2-  1-  7- 27/ 37 5.40% 8.10% 27.00% 15 190

ここ最近の東京芝の牝馬重賞を振り返っても、フローラSでは道中16番手追走の18番人気タイセイプランセスが3着に激走、ヴィクトリアマイルでは4角17番手追走の7番人気シランケドが3着に激走、オークスでは道中18番手追走の10番人気タガノアビーが3着に激走など、本来はあまり馬券に絡むことがない道中二桁通過順位の追い込み馬の激走が続いています。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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