2025年安田記念｜キムラヨウヘイの重賞アナライズ

キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2025年安田記念

東京の安田記念≒新装京都のマイルCS

JRAにおける芝マイル路線の頂上決戦は、春の安田記念と秋のマイルCSの2戦という位置付けとなっています。しかし、両レースは東京芝1600m⇔京都芝1600mという舞台設定の違いにより、求められる適性面の食い違いから、好走する馬の顔触れはガラリと入れ替わるという“非直結”の傾向がありました。

実際に09年から19年までの11年間の安田記念で3着以内に好走した馬の同年マイルCS成績は[2-1-1-13](複勝率23.5％)で、同じ期間のマイルCSで3着以内に好走した馬の翌年安田記念成績は[0-1-2-19](複勝率13.6％)となっていて、GI好走馬というハイレベルな母集団であることを踏まえれば明らかな不振成績となっていました。逆にどちらかのレースで凡走を喫した馬が、もう一方のレースで巻き返して好走を果たすというケースが頻発していました。

しかし、20年秋以降の東京芝コースの変貌（内有利の馬場バイアスがほぼ消滅して、なおかつ一にも二にも末脚がモノを言う馬場に）と、23年春の京都競馬場のリニューアル（コース形態の一部改修と芝の路盤について全面的な刷新）による新装京都芝コースの傾向変化（外枠有利のコースと差し有利の馬場に）とが相まって、それ以前までの「安田記念≠マイルCS」という関係性ではなく、それ以後は一転して「安田記念≒マイルCS」の関係性と捉えるのが正解です。

実際に24年の安田記念で好走した日本馬２頭(2着ナミュール＆3着ソウルラッシュ)はともに、新装京都芝で初めて施行された23年のマイルCSの好走馬でした。

■データ1　 近年の安田記念好走馬の芝マイルG1好走実績

近年の安田記念では、新装京都のマイルCSか、もしくは安田記念と同じ東京のマイルG1レースか東京と、東京と似た阪神のマイルG1レースでの連対実績馬しかほぼ馬券に絡めていませんので、まずは同実績を持ち合わせる馬のみに絞り込むのが先決と言えます。

シャティン(香港競馬)のマイルと直結しない安田記念

新装京都芝のマイルCSとは異なり、今でも安田記念と相性が悪いレースとしてはシャティン(香港競馬)の芝1600mが挙げられます。

まず大前提として、特にここ最近の芝短距離路線では日本馬よりも香港馬の方が格上(ハイレベル)ですが、それにもかかわらず安田記念では09年以降の16年間でそれなりの香港馬が17頭も出走していながら内16頭が5着以下に沈んでいることからも、香港馬(シャティン芝1600m実績馬)にとって安田記念というレースは一種のハードルがあるという見方ができます。その中で唯一好走した昨年の勝ち馬ロマンチックウォリアーについては、本来中距離馬であり、シャティン芝1600mの実績馬というワケではありませんでした（戦績は2戦1勝）。

■データ2　 安田記念の所属別成績（09年以降）

近年、香港マイルで人気を背負いながらも掲示板外に凡走した日本馬は、17年サトノアラジン11着・18年モズアスコット7着・19年インディチャンプ7着・21年ダノンキングリー8着・21年ヴァンドギャルド6着・22年シュネルマイスター9着・22年ダノンスコーピオン6着・23年セリフォス7着・24年ジャンタルマンタル13着の9頭が挙げられますが、そのうちヴァンドギャルド以外の8頭は全て安田記念を筆頭とした東京芝1600mのG1連対実績馬でした。つまりは、シャティン芝1600mの実績馬について疑った目で見て、逆にそこでの凡走馬の巻き返しの方に着目すべきです。

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