キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2025年NHKマイルC

近年の先行好走馬は1番人気馬と2番人気馬のみ→穴なら追い込み馬

2020年秋開催以降の東京芝コースは、冬開催以外では内有利の馬場バイアスがほぼ消滅して、なおかつ一にも二にも末脚がモノを言う馬場、端的に言えば差し有利傾向へと化しているのが最新トレンドとなっています。また、下級条件戦よりも上級条件戦の方が、レースにおける末脚の比重が高まるので差しが決まり易いというのが通例ですので、その上級条件戦の最高峰に位置するG1では特に顕著な差し有利傾向が生まれているのが実情です。


■データ1  20年秋以降の東京芝G1の脚質別成績

脚質上り 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
平地・逃げ 0-  3-  1- 27/ 31 0.00% 9.70% 12.90% 0 73
平地・先行 8-  7-  7- 87/109 7.30% 13.80% 20.20% 63 45
平地・中団 19- 14- 13-171/217 8.80% 15.20% 21.20% 157 73
平地・後方 3-  7-  8-119/137 2.20% 7.30% 13.10% 22 70

実際に20年の秋開催以降の東京芝のG1(34戦)において、逃げて勝利した馬は1頭もおらず、4角2番手から勝利した馬も1頭のみとなっています。また先行競馬で好走した馬は人気馬が多く、二桁人気の人気薄で4角3番手以内から好走した馬も1頭もいません。逆に人気薄で激走した馬は中団以降からレースを進めていた馬ばかりで、その9頭中5頭は道中二桁通過順位の追い込み馬でした。

このNHKマイルCにおいても、昨年こそ好位からレースを進めた1番人気ジャンタルマンタルと2番人気アスコリピチェーノによる力通りの決着でしたが、一昨年は道中二桁通過順位の3頭(9番人気1着シャンパンカラー・8番人気2着ウンブライル・3番人気3着オオバンブルマイ)によるワンツースリー決着。3年前も道中二桁通過順位のマテンロウオリオンが2着に好走してカワキタレブリーが18番人気ながら3着に激走するという決着。4年前は11番人気4着馬と15番人気5着馬は共に道中二桁通過順位でした。

21年以降のNHKマイルCで先行して好走したのは1番人気馬と2番人気馬だけで、逆に人気薄で激走したのは道中二桁通過順位の追い込み馬ばかりであることからも、やはり一発を狙うならば中団よりも後ろから追い込んでくる脚質の馬の方に山を張るべきと言えます。

皐月賞が高速決着の年は同好走善戦馬に注目


■データ2  過去10年のNHKマイルCの前走レース別成績(複勝率順)

前走レース名 着別度数 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
アネモネS 0- 1- 0- 0/ 1 100.00% 0 950
弥生賞 1- 0- 0- 2/ 3 33.30% 123 50
フラワーC 0- 1- 0- 2/ 3 33.30% 0 86
皐月賞 3- 1- 0- 9/13 30.80% 104 58
桜花賞 2- 3- 0-13/18 27.80% 45 54
毎日杯 0- 2- 0- 6/ 8 25.00% 0 187
アーリントンC 1- 0- 5-26/32 18.80% 22 219
ニュージランドT 2- 2- 2-38/44 13.60% 79 56
ファルコンS 1- 0- 2-19/22 13.60% 134 61
スプリングS 0- 0- 1- 8/ 9 11.10% 0 25

過去10年のNHKマイルCにおいて、主要ローテの中で最も高い好走率をマークしているのは前走皐月賞組です。皐月賞は基本的には高速決着だとマイル適性が問われるレースになり、低速決着だと中長距離適性が問われるレースになるので、前者の年の皐月賞勝ち馬はダービーでは意外に飛ぶケースが多く、後者の年の皐月賞勝ち馬はダービーでもほぼ崩れないという結果となっています。それは皐月賞とNHKマイルCについても同様のことが言えます。

過去10年の前走皐月賞組の好走例は「15年1着クラリティスカイ(皐月賞5着)・16年2着ロードクエスト(皐月賞8着)・19年1着アドマイヤマーズ(皐月賞4着)・24年1着ジャンタルマンタル(皐月賞3着)」の4例で、いずれの年も皐月賞は勝ち時計1分58秒台前半以下の高速決着でした。

皐月賞がマイル適性を問われる高速決着だった場合には、皐月賞で善戦した馬がその延長線上にあるNHKマイルCでも好結果を収め、皐月賞がマイル適性を問われない低速決着だった場合には、皐月賞で惨敗を喫した馬がNHKマイルCで巻き返しているという関係性が読み取れます。昨年のNHKマイルCでも高速決着だった皐月賞で好走したジャンタルマンタルが1着という結果でした。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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