キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2025年天皇賞春

天皇賞春(京都)は前残りが穴パターン

2010年以降に京都競馬場で行われた天皇賞春で、二桁人気ながらも好走したのは12年14番人気1着ビートブラック(逃げ切り)など延べ6頭いますが、その内5頭は“前残り”のパターンでした。開催2週目の馬場で行われる為、長距離戦だとしてもスタミナよりもスピードと立ち回り性能が問われがちなので、総じて前目の位置取り&内目の進路取りで上手く立ち回った馬が恵まれやすいということだと考えられます。

それに対して阪神大賞典では、6年前は10頭立てで「道中通過順9番手(ブービー追走)→10番手(最後方追走)→7番手」という極端な後方有利決着に、5年前も13頭立てで「道中通過順4番手→12番手(ブービー追走)→13番手(最後方追走)」という同様の極端な後方有利決着であるなど、“前崩れ”が波乱パターンとなっています。

それは、阪神大賞典は天皇賞春と比較してもスタミナ要素が極めて強く要求されるレースになる為に、一般的にはメリットになる位置取りの高さも、むしろ追走によりスタミナを削ぐデメリットとして作用する側面の方が大きくなるということが考えられます。

つまり阪神大賞典と天皇賞春では、脚質傾向的には真逆のレースであるというのが、一つのキーポイントと言えます。

実際に阪神大賞典を4角4番手以内の先行する形で好走した馬は、天皇賞春では近15年で26頭中10頭が馬券内に好走している一方、4角5番手以下から差す形で好走した馬は16頭中2頭しか馬券に絡めていないというのも、後方有利の阪神大賞典と前有利の天皇賞春の関係性を如実に表しています。


■データ1  前走阪神大賞典組の天皇賞春好走馬一覧(2010年以降/阪神施行年除く)

馬名 阪神大賞典の4角位置取り
24年 テーオーロイヤル 3番手
24年 ブローザホーン 5番手
24年 ディープボンド 3番手
23年 ジャスティンパレス 2番手
23年 ディープボンド 2番手
18年 レインボーライン 4番手
18年 クリンチャー 3番手
17年 シュヴァルグラン 2番手
17年 サトノダイヤモンド 4番手
16年 カレンミロティック 1番手
16年 シュヴァルグラン 4番手
15年 ゴールドシップ 2番手
15年 カレンミロティック 5番手
12年 ビートブラック 2番手
11年 ナムラクレセント 2番手

昨年の天皇賞春でも阪神大賞典を先行して勝利していたテーオーロイヤルが連勝を収めるという結果でしたが、今年も阪神大賞典組では当時の逃げ先行馬を重視するのが定石と言えます。

京都芝長距離戦はステイゴールド系⇔阪神芝長距離戦はキングカメハメハ系&ハーツクライ系

今の日本競馬の芝中長距離路線において、六大勢力を形成するのは「ディープインパクト系とハーツクライ系とステイゴールド系とキングカメハメハ系とエピファネイア産駒とハービンジャー産駒」という構図となっていますが、それらは阪神もしくは京都向きのタイプで大きく二分することができます。


■データ2  京都芝2200m以上の種牡馬別成績(2019年以降)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
ディープインパクト 26- 13- 17-104/160 16.30% 24.40% 35.00% 87 73
キズナ 14- 12- 11- 56/ 93 15.10% 28.00% 39.80% 73 102
ゴールドシップ 9-  8-  3- 48/ 68 13.20% 25.00% 29.40% 171 145
オルフェーヴル 9-  6-  8- 55/ 78 11.50% 19.20% 29.50% 66 88
ハーツクライ 8-  7- 11- 90/116 6.90% 12.90% 22.40% 42 48
エピファネイア 8-  5-  3- 46/ 62 12.90% 21.00% 25.80% 79 66
ハービンジャー 7- 12-  9- 70/ 98 7.10% 19.40% 28.60% 115 83
ドゥラメンテ 7-  3-  1- 32/ 43 16.30% 23.30% 25.60% 91 62
ルーラーシップ 5-  9-  5- 49/ 68 7.40% 20.60% 27.90% 37 77
キングカメハメハ 5-  5-  3- 48/ 61 8.20% 16.40% 21.30% 87 47
ステイゴールド 4-  5-  5- 22/ 36 11.10% 25.00% 38.90% 41 99
ジャスタウェイ 4-  3-  7- 28/ 42 9.50% 16.70% 33.30% 58 52

■データ3  阪神芝2200m以上の種牡馬別成績(2019年以降)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
ディープインパクト 28- 28- 25-167/248 11.30% 22.60% 32.70% 94 77
ハーツクライ 18- 13- 15-135/181 9.90% 17.10% 25.40% 61 55
キズナ 16- 14- 11- 63/104 15.40% 28.80% 39.40% 142 100
オルフェーヴル 11- 12-  8- 84/115 9.60% 20.00% 27.00% 46 64
ルーラーシップ 10- 13- 15-110/148 6.80% 15.50% 25.70% 45 71
エピファネイア 9- 10- 13- 73/105 8.60% 18.10% 30.50% 118 84
ドゥラメンテ 8-  8-  6- 34/ 56 14.30% 28.60% 39.30% 178 106
ゴールドシップ 8-  5-  8- 55/ 76 10.50% 17.10% 27.60% 48 58
キングカメハメハ 7- 14-  6- 75/102 6.90% 20.60% 26.50% 42 65
ジャスタウェイ 6-  9-  9- 39/ 63 9.50% 23.80% 38.10% 55 107
ハービンジャー 6-  8- 13- 88/115 5.20% 12.20% 23.50% 54 72
ノヴェリスト 5-  3-  4- 21/ 33 15.20% 24.20% 36.40% 95 89
ワークフォース 4-  3-  0- 19/ 26 15.40% 26.90% 26.90% 118 71
レイデオロ 4-  2-  2-  5/ 13 30.80% 46.20% 61.50% 251 136
リオンディーズ 4-  2-  1-  9/ 16 25.00% 37.50% 43.80% 181 91

両コースの種牡馬別成績を見ての通り好走血統がガラリと入れ替わるということが起きており、特に総じて下り坂での走りが苦手なハーツクライ系は京都で不振、下り坂での走りが得意なステイゴールド系は京都で好成績なのに対して阪神で不振、急坂が得意なキングカメハメハ系は阪神で好成績なのに対して京都で不振という点が特徴的となっています。

あとハービンジャー産駒は京都向きで、エピファネイア産駒は阪神向き、王者ディープインパクト系はどちらも高いレベルの好成績をマークしていますが強いて言えば京都がベターとなっています。

それらを裏付ける結果となったのが3年前の“阪神”天皇賞春で、上位4頭中3頭をキングカメハメハ系の馬が占めました。2年前の“京都”天皇賞春では、ディープインパクト系とステイゴールド系のワンツースリーという決着でした。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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