キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2025年中山牝馬S

展開に左右される面が大きい牝馬ハンデ重賞レース

中山牝馬Sは過去10年で1番人気から3番人気までの複勝率が30%に対して、4番人気から6番人気までの複勝率が43.4%と上回っていて中波乱傾向の一戦となっています。その最たる背景としては「ハンデ戦」かつ「牝馬限定戦」であるからです。

まず、2014年以降の世代限定戦を除く重賞で「ハンデ戦以外」の人気馬複勝率は4割強あるのに対して、「ハンデ戦」の人気馬複勝率は4割弱で数字が明確に下がります。そして、「ハンデ戦以外」かつ「牝馬限定戦」の人気馬複勝率は4割弱なのに対して、「ハンデ戦」かつ「牝馬限定戦」の人気馬複勝率は3割強。逆に穴馬の好走率は「ハンデ戦」かつ「牝馬限定戦」が最も高い数字となります。

つまりは、「ハンデ戦」は他のレースよりも出走メンバー間の能力差を拮抗させていると言えますし、「牝馬限定戦」はそれ以外のレースよりも出走メンバーの能力が拮抗していると言えますので、その「両方」が揃うレースは最も拮抗戦(混戦)になりやすいのです。

そこで何が起きるのかと言えば、微々たる能力差よりも適性面が明暗を分けやすいのと、それ以上に展開面が物を言う(展開次第で着順が大きく入れ替わる)という決着になりがちです。

中山牝馬Sにおいても、近13年中8年で5番人気以下の穴寄りの馬が勝利しており、その8頭中3頭が逃げ切りです。残る5頭中4頭が道中で中団以降に位置した馬の差し切り勝利で、軒並み極端な戦法を採ったことが結果的に展開に嵌まったことで勝利に至ったという内容でした。


■データ1  過去10年の中山牝馬Sの道中通過順位別成績

道中(2角)通過順位 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
1番手 2-  1-  0-  7/ 10 20.00% 30.00% 30.00% 170 94
2〜4番手 1-  2-  1- 29/ 33 3.00% 9.10% 12.10% 37 77
5〜7番手 1-  3-  3- 28/ 35 2.90% 11.40% 20.00% 27 63
8番手以下 6-  4-  6- 58/ 74 8.10% 13.50% 21.60% 184 107

また、中山牝馬S以外のここ最近行われた「ハンデ戦」かつ「牝馬限定戦」を振り返ってみても、25年小倉牝馬Sは道中8番手以下追走馬による掲示板独占という差し追い込み有利決着で、展開で決まったと言える様なレースが多く見られます。

今年の中山牝馬Sでも穴を狙うとすれば、各馬の能力云々から導くよりも、その能力差を凌駕してしまう可能性が高い展開が嵌まる馬(逃げるか追い込むか極端な戦法を採る馬)から入るという選択こそ正解に近付けるはずです。

渋化馬場なら逃げ馬が狙い目⇔良馬場なら差し追い込み馬が狙い目

逃げる馬か追い込む馬か、どちらの方に山を張るのがより正解に近付けられるのかと言えば、馬場状態が大きなヒントとなります。前述した穴で逃げ切り勝利を飾った3頭は全て稍重〜重馬場の馬場が渋った年でした。また5番人気以下で2着に連対した21年のロザムールも不良馬場の年でした。逆に穴で差し切り勝利した4頭中3頭は良馬場だった年でした。


■データ2  過去13年の中山牝馬Sの脚質別成績(良馬場時)

脚質上り 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
平地・逃げ 0-  0-  0-  8/  8 0.00% 0.00% 0.00% 0 0
平地・先行 1-  3-  1- 21/ 26 3.80% 15.40% 19.20% 48 66
平地・中団 7-  6-  4- 36/ 53 13.20% 24.50% 32.10% 268 126
平地・後方 0-  0-  2- 32/ 34 0.00% 0.00% 5.90% 0 60
平地・マクリ 0-  0-  0-  1/  1 0.00% 0.00% 0.00% 0 0

総じて馬場が悪くなると騎手がバテるのを恐れて騎乗するのもあってか緩い流れに傾きがちで逃げ馬の人気薄激走を助長し、逆に馬場が良いと騎手がアグレッシブに騎乗するのもあってか道中から展開が動きがちで、差し馬の人気薄激走を助長するという傾向が指摘できます。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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