先月のシルクロードSを取り上げた回では『スプリンターズSとの出し入れがポイント』というタイトルを銘打って、ハイペース展開がトレンドで生粋のスプリンターが走りやすくなっている中山芝1200mのスプリンターズSと、それと対極に位置するコース形態で緩いペースになりやすい京都芝1200mのシルクロードSとでは、“逆のレース”になりがちということを記しました。そこではスプリンターズSの好走馬はシルクロードSでは凡走傾向が、逆にスプリンターズSの凡走馬がシルクロードSでは激走傾向が認められるということです。
今回のオーシャンSは中山芝1200mで行われる重賞ですので、「スプリンターズS≠シルクロードS」という関係性の延長線上に、「シルクロードS≠オーシャンS」という関係性も浮かび上がります。
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
---|---|---|---|---|---|---|
シルクロードS | 3- 2- 3-29/37 | 8.10% | 13.50% | 21.60% | 189 | 69 |
ラピスラズリS | 2- 0- 0- 4/ 6 | 33.30% | 33.30% | 33.30% | 260 | 80 |
スプリンターズS | 1- 1- 2- 2/ 6 | 16.70% | 33.30% | 66.70% | 73 | 176 |
カーバンクルS | 1- 1- 1- 7/10 | 10.00% | 20.00% | 30.00% | 31 | 48 |
京阪杯 | 1- 1- 0- 4/ 6 | 16.70% | 33.30% | 33.30% | 55 | 45 |
洛陽S | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.00% | 50.00% | 50.00% | 550 | 160 |
香港スプリント | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.00% | 50.00% | 50.00% | 100 | 55 |
過去10年のオーシャンSにおいて前走シルクロードS組は[3-2-3-29](複勝率21.6%)という水準未満級の全体成績となっていますが、その一方で単勝回収率は189%という高水準の成績となっています。シルクロードS組は全体的にはそこまで走らないものの、同レースで敗れ人気を落とした馬が巻き返している、ということが読み取れます。
また、過去10年の前走シルクロードS組の好走馬8頭中4頭は、シルクロードSが京都芝1200mではなく中京芝1200mで行われた21~23年のたった3年間にまとめて輩出されていますので、純粋に京都芝1200mで行われたシルクロードSでは更に悪い全体成績となります。
実際に京都芝1200mで行われた前走シルクロードS組でオーシャンSを好走したのは、15年ベステゲシェンク4番人気3着、18年キングハート10番人気1着、18年ナックビーナス2番人気2着、24年バースクライ3番人気3着の計4頭ですが、全てシルクロードSでは4着以下に凡走を喫していました。
さらにはその4頭の内3頭はそれ以前に中山芝のオープン競走での好走実績の持ち主でしたので、不得手から得意コース条件替わりでの一変劇だったというわけです。今年もシルクロードSは好走組よりも凡走組、その中でも特に中山実績馬に要注目です。
京都芝1200m(シルクロードS)と中山芝1200m(オーシャンS)の具体的に何が違うのかと言えば、最たるは後半の末脚が生きるペースになりやすい前者は差しが決まりやすく、逆に前半からのスピードと後半の渋とさが求められるが後者は先行馬がそのまま残りやすいという点にあります。
脚質 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
---|---|---|---|---|---|---|
平地・逃げ | 1- 2- 2- 5/ 10 | 10.00% | 30.00% | 50.00% | 31 | 137 |
平地・先行 | 5- 4- 0- 29/ 38 | 13.20% | 23.70% | 23.70% | 201 | 60 |
平地・中団 | 4- 3- 6- 49/ 62 | 6.50% | 11.30% | 21.00% | 48 | 83 |
平地・後方 | 0- 1- 2- 46/ 49 | 0.00% | 2.00% | 6.10% | 0 | 20 |
実際に過去10年のオーシャンSの脚質別成績では、逃げ馬の好走率が5割であるなど、総じて逃げ先行脚質馬が優位の成績となっています。また、オーシャンSは例年だと開催2週目(3日目)の施行でしたが、開催スケジュールの改変にともなって今年から開幕週(初日)の施行となりました。この中山芝1200mで開幕週(初日)にオープン競走が行われるのは19年カーバンクルS以来というレアケースとなり、同レースは逃げたモズスーパーフレアが勝利して2〜3着にも道中3番手追走馬がそのまま粘り込むという「行った行った」の決着でした。同シチュエーションとなる今回も同様の決着となる可能性は十分に考えられます。
いずれにしても、差しも決まる他場で末脚を武器に好走実績を積み上げている馬よりも、この中山芝1200mで先行力を武器に好走実績を積み上げている馬の方を優先するのが先決です。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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