最近の東京ダートコースでは、総じて外有利馬場バイアスが発生しています。先行力勝負の色合いが強い短距離においては、最後の直線よりもスタート直後の進路取りの内外の有利不利の方が、レース結果を大きく左右してきますので、それに直結する枠順の内外の有利不利は重要な要素となります。
一般的には芝スタート(外枠の馬の方が芝を走れる距離がわずかに長い)の東京ダート1600mが内枠不利条件として広く知られていますが、実際には内枠の馬でも外枠の馬でもほとんど同等にスタートダッシュは利くことになりますので、内枠不利が軽減されます。むしろ内枠の馬のダッシュが利きづらいダートスタートのコースの方がより内枠不利となっています。
| 枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1枠 | 4- 2- 1-58/65 | 6.20% | 9.20% | 10.80% | 52 | 23 |
| 2枠 | 8- 8- 2-54/72 | 11.10% | 22.20% | 25.00% | 108 | 69 |
| 3枠 | 9- 2- 8-56/75 | 12.00% | 14.70% | 25.30% | 76 | 80 |
| 4枠 | 1- 3-10-63/77 | 1.30% | 5.20% | 18.20% | 2 | 90 |
| 5枠 | 4- 6- 1-68/79 | 5.10% | 12.70% | 13.90% | 64 | 95 |
| 6枠 | 8- 3- 8-61/80 | 10.00% | 13.80% | 23.80% | 48 | 63 |
| 7枠 | 2- 8- 5-67/82 | 2.40% | 12.20% | 18.30% | 12 | 57 |
| 8枠 | 6-10- 7-60/83 | 7.20% | 19.30% | 27.70% | 47 | 120 |
近年の東京ダート1600mの重賞・OP競走でも8枠に次いで好成績なのは2枠と3枠となっています。過去10年のフェブラリーSと3歳オープン特別・ヒヤシンスSにおいて、前者の好走率は「4枠&5枠→2枠→3枠」の順、後者の好走率は「2枠→3枠→7枠&8枠」の順で、1枠が厳しいだけで意外と内枠勢も健闘しています。つまり巷で言われるほど内枠軽視・外枠重視の投票行動は正解ではないということです。
過去10年のフェブラリーSで3着内好走馬を多く輩出している前走レースは、根岸S組9頭・チャンピオンズC組8頭・東海S組5頭・東京大賞典組3頭の順となっていますが、前走レースに限らなければG3競走でありながらも好走馬を1年平均1頭超の計算となる13頭も輩出している前年秋の武蔵野S組こそが、実は最も有力なフェブラリーSのステップレースであるという見方ができます。
ただし、武蔵野Sの好走馬がフェブラリーSでもそのまま好走馬になるという意味での直結度に関しては、実はそこまで高くありません。
| 年 | 馬名 | 武蔵野S着順 | フェブラリーS着順 |
|---|---|---|---|
| 12→13 | イジゲン | 1 | 12 |
| ガンジス | 2 | 10 | |
| ダノンカモン | 3 | 8 | |
| 14→15 | ワイドバッハ | 1 | 6 |
| グレープブランデー | 3 | 4 | |
| 16→17 | ゴールドドリーム | 2 | 1 |
| カフジテイク | 3 | 3 | |
| 18→19 | サンライズノヴァ | 1 | 7 |
| クインズサターン | 2 | 11 | |
| 21→22 | ソリストサンダー | 1 | 4 |
| エアスピネル | 2 | 9 |
その要因は両レースの時計面のギャップです。馬場が軽い秋開催の武蔵野Sの方がフェブラリーSよりも時計が一つ二つ速くなるのが通常時のパターンとなっています。それによって求められる適性が食い違うことから、好走馬の顔ぶれが入れ替わってくることが往々にして起こっています。ただし、何らかの要因で、両レースの決着時計が近いという年の場合には、必然的に両レースの好走馬の顔ぶれが一致するという傾向に様変わりします。
| 前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 根岸S | 4- 2- 3- 8/17 | 23.50% | 35.30% | 52.90% | 122 | 125 |
| 東海S | 2- 1- 1- 8/12 | 16.70% | 25.00% | 33.30% | 39 | 81 |
| チャンピオンズC | 0- 2- 0- 1/ 3 | 0.00% | 66.70% | 66.70% | 0 | 83 |
| 東京大賞典 | 0- 1- 1- 5/ 7 | 0.00% | 14.30% | 28.60% | 0 | 54 |
| JBCスプリント | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0 | 0 |
| 川崎記念 | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0 | 0 |
| TCK女王盃 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0 | 0 |
強豪が集結するチャンピオンズCや東京大賞典での好走組が人気を集めやすいですが、前走3着内好走馬に限った前走レース別の成績では、根岸S組の好走頭数と単複回収率が他を圧倒しています。
チャンピオンズCと東京大賞典の好走組はもちろん強力ですが、共に単複回収率は50%未満と人気先行となっており、もう一つの前哨戦である旧東海S(現プロキオンS)の好走組は好走率も単複回収率も芳しくありません。
それに対して根岸Sはそれらの中では最も格下のG3競走であるのと、あまりレベルが高くないと見られる距離1400mのレースであることもあってか、やや軽視されがちですが、最近だと20年根岸S3番人気1着→フェブラリーS1番人気1着モズアスコット・21年根岸S10番人気2着→フェブラリーS8番人気3着ワンダーリーデル・22年根岸S6番人気1着→フェブラリー5番人気2着テイエムサウスダン・23年根岸S1番人気1着レモンポップ→フェブラリーS1番人気1着レモンポップなど、根岸Sで結果を残した馬は人気を問わずにそのままフェブラリーSでも高確率で連続好走を果たしています。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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