キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2025年小倉牝馬S

牝馬の距離2000m以上のレースでは「キズナ産駒・ステイゴールド系・ハービンジャー産駒・キングカメハメハ産駒」に注目

昨年まで同時期に行われていた牝馬限定のハンデ重賞の愛知杯(中京芝2000m)を引き継ぐ形で、今年から新設重賞として行われる小倉牝馬S(小倉芝2000m)。施行コースこそ変われども距離は変わらないので、牝馬限定戦の中では長い距離で行われる一戦、という点で距離適性こそが明暗を分ける重要なポイントになります。

というのも、牡馬のレースでは2000mというのは何の変哲もないごく一般的な距離設定ですが、基本的に牡馬よりもスタミナ面で劣り距離適性が短めに出る牝馬にとって、この2000mというのはイレギュラーな距離設定になります。そんな牝馬同士による中~長距離の上級クラスのレースでは、多数の走り切れない馬と、一部の走り切れる馬という距離適性の面での差が、ダイレクトに反映されることになります。

まず考えるべきは、このイレギュラーな距離設定でも力を出せるのか、という点になります。そこで大きな手掛かりとなるのは「血統」です。


■データ1  牝馬限定の距離2000m以上の重賞レースの種牡馬別成績(17年以降/機会数16以上)

種牡馬 着別度数 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
ステイゴールド 1-  5-  1- 11/ 18 38.90% 176 169
キズナ 6-  2-  4- 51/ 63 19.00% 180 121
オルフェーヴル 3-  3-  2- 28/ 36 22.20% 63 112
エピファネイア 3-  3-  5- 33/ 44 25.00% 21 105
ハービンジャー 8-  7-  5- 51/ 71 28.20% 111 96
キングカメハメハ 8-  3-  3- 34/ 48 29.20% 126 85
ゴールドシップ 3-  1-  2- 22/ 28 21.40% 143 78
ダイワメジャー 0-  1-  4- 19/ 24 20.80% 0 72
スクリーンヒーロー 4-  2-  0- 18/ 24 25.00% 124 71
ディープインパクト 6- 12- 11-129/158 18.40% 27 67
ルーラーシップ 2-  5-  2- 45/ 54 16.70% 15 67
ドゥラメンテ 3-  3-  2- 28/ 36 22.20% 25 65
キタサンブラック 1-  2-  0- 16/ 19 15.80% 34 62
ロードカナロア 3-  0-  1- 16/ 20 20.00% 27 40
ヴィクトワールピサ 1-  0-  1- 15/ 17 11.80% 39 40
ハーツクライ 1-  4-  4- 67/ 76 11.80% 6 23

以前にも何度か『牝馬の中~長距離の上級レースは「ステイゴールド系・キングカメハメハ産駒・ハービンジャー産駒・キズナ産駒」が特注血統』と紹介しました。昨年の同条件レースを振り返っても、まず年始の愛知杯ではキングカメハメハ産駒(タガノパッション)が8番人気2着と穴をあけて、夏のマーメイドSと秋のローズSはともにキズナ産駒とハービンジャー産駒のワンツー決着で、3歳G1のオークスと秋華賞ではともにハービンジャー産駒(チェルヴィニア)が勝利を収めたとおり、“特注血統強し”と言えるレース結果が続きました。

やはり特殊な適性が求められる条件だけに、そこで輝きを見せる個性はそう簡単には埋没することはなく、取って代わる存在もそう簡単には現れないということでしょう。

中長距離実績が物を言う小倉芝2000mの重賞レース

小倉芝2000mは最初の1コーナーまでの距離が約472メートルとかなり長いコース形態であるため、序盤のペースが速くなりやすいという特徴があります。例えば小倉記念では、近13年中9年で前半3F通過タイムが34秒台以下の速いペースとなっています。また、仮に序盤からペースが流れなかったとしても、道中半ばから一気にレースが動く展開になりやすいので、どちらに転んだとしても長く脚を使う持続力とスタミナが問われるレースになりがちということが言えます。

それによって、小倉芝2000mの上級クラス競走では、意外な程に前走で距離が長いレースを走っていた馬&過去に距離が長いレースでの好走実績を有している馬がよく走る傾向があります。


■データ2  小倉芝2000m×重賞レースの前走距離別成績(2010年以降)

前走距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率
同距離 14- 11- 10-123/158 8.90% 15.80% 22.20%
今回延長 4-  5-  6- 90/105 3.80% 8.60% 14.30%
今回短縮 3-  5-  5- 36/ 49 6.10% 16.30% 26.50%
500m以上延長 0-  0-  0-  3/  3 0.00% 0.00% 0.00%
500m以上短縮 1-  1-  2- 10/ 14 7.10% 14.30% 28.60%

例えば変則的に小倉芝2000mで行われた20年の愛知杯では、出走馬の中で4頭しかいなかった距離2200m以上のレースでの好走実績を持つ馬の中から、アルメリアブルーム(5番人気2着)・レイホーロマンス(11番人気3着)が好走しました。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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