キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2025年フェアリーS

激走パターン1つ目は[大型馬(馬体重480キロ以上)]

3歳を迎えたばかりで体力的に未完成なこの時期の牝馬にとっては、やや酷とも言える冬場のタフ馬場かつ急坂の中山マイルという舞台条件だけあって、パワーとスタミナの担保がある“馬格のある馬”と、以前までは“中距離歴戦馬”の好走が目立つレースとなっていました。


■データ1  過去10年のフェアリーSの馬体重別成績

馬体重 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
〜399kg 0-  0-  0-  2/  2 0.00% 0.00% 0.00% 0 0
400〜419kg 0-  0-  3-  9/ 12 0.00% 0.00% 25.00% 0 94
420〜439kg 4-  3-  2- 35/ 44 9.10% 15.90% 20.50% 133 82
440〜459kg 1-  3-  1- 42/ 47 2.10% 8.50% 10.60% 74 55
460〜479kg 0-  2-  2- 20/ 24 0.00% 8.30% 16.70% 0 51
480〜499kg 5-  2-  2- 14/ 23 21.70% 30.40% 39.10% 284 121
500〜519kg 0-  0-  0-  3/  3 0.00% 0.00% 0.00% 0 0
520〜539kg 0-  0-  0-  3/  3 0.00% 0.00% 0.00% 0 0

実際に過去10年中5年(16年・17年・18年・21年・24年)で馬体重480キロ以上の馬が勝利しています。出走馬の大半が1勝馬という実質1勝クラス戦に近い3歳牝馬限定戦だけあって、例年では馬格がない馬の出走割合の方が圧倒的に高くなっており、馬体重480キロ以上の馬の出走割合は全体の2割程度(平均3〜4頭程度)に過ぎません。それでも高頻度で勝ち馬を輩出しているのが特筆すべき点です。

馬体重480キロ以上の馬が勝利できなかった年についても、19年は馬体重1位のグレイスアンが5番人気3着、20年は馬体重2位のポレンティアが5番人気3着、22年も馬体重2位のスターズオンアースが2番人気1着でしたので、毎年の様にごく一部の馬格に秀でた馬が必ずと言って良いほどに激走を果たしていることには変わりありません。

ただし、過去10年で馬体重500キロ超の馬となると1頭も好走しておらず、若駒牝馬にもかかわらず馬格がデカ過ぎるという馬はそもそも競走馬としての資質を欠くので上のクラスで活躍することは超レアケースです。あくまでも限度はあるという点は、注意は必要です(具体的には馬体重480キロ〜498キロまでが特注ゾーン)。

激走パターン2つ目は[短距離歴戦馬(主に高速決着時)]


■データ2  過去10年のフェアリーSの前走距離別成績

前走平地距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
同距離 8-  4-  5- 70/ 87 9.20% 13.80% 19.50% 168 72
今回延長 1-  3-  4- 45/ 53 1.90% 7.50% 15.10% 10 53
今回短縮 1-  3-  1- 13/ 18 5.60% 22.20% 27.80% 39 128

以前までは中距離歴戦馬、具体的には出走メンバーの中で最も中距離での実績面&経験面で強調できる戦歴の持ち主が高頻度で激走を果たしていました。例えば「15年8番人気2着ローデッド・16年10番人気2着ダイワドレッサー・21年8番人気2着ホウオウイクセル・22年5番人気1着ライラック」と言った激走例は全て、出走メンバーの中で前走最も長い距離を走っていた馬によるものでした。

ただし、それについては23年辺りから“潮目”が変わったという可能性が考えられます。それらはスタミナ面の担保がある中距離歴戦馬が走りやすいシチュエーションが背景としてあったわけでしたが、近年は決着時計が速くなるに従って同要素が問われづらくなってきており、むしろ今は走力に勝り&完成度でも勝る傾向にある短距離歴戦馬の方が走りやすいシチュエーションになりつつあります。

実際に22年以前でも時計が速かった年(16年・20年・21年)は、3着内好走馬9頭中4頭が前走で距離1400m以下を走っていた距離延長ローテ馬から輩出されていました(その4頭中3頭は5番人気以下の穴馬)。

そして本格的に馬場とペースが速くなった一昨年以降の23年と24年では、3着内好走馬6頭中3頭が前走で距離1400m以下を走っていた距離延長ローテ馬から輩出されており(その3頭全て6番人気以下の穴馬)、それらが更に幅を利かしてきているという直近のトレンドが読み取れます。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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