キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2024年有馬記念

直近年の12月後半の中山芝レースは内有利傾向

有馬記念では枠順抽選会で内枠を引いた陣営が歓喜し、その一方で外枠を引いた陣営が落胆するというのが毎年お馴染みの光景となっていますが、実際には6〜4年前においては内枠よりも外枠の方が有利なのに内枠を喜んで外枠を嘆くという奇妙な現象が起こっていました(※6年前は15番枠を引いたシュヴァルグランが9番人気3着激走・4年前は14番枠を引いたサラキアが11番人気2着激走)。


■データ1  有馬記念&ホープフルS週(5回中山7日目以降)の枠順別成績

  2017
枠番 着別度数 連対率
1〜3枠 6-8-4-73 15.38%
6〜8枠 7-5-9-79 12.00%

  2018
枠番 着別度数 連対率
1〜3枠 4-5-5-70 10.7%
6〜8枠 7-8-6-79 15.0%

  2019
枠番 着別度数 連対率
1〜3枠 7-3-7-75 10.9%
6〜8枠 8-5-7-76 13.5%

  2020
枠番 着別度数 連対率
1〜3枠 2-5-4-46 12.3%
6〜8枠 5-5-5-42 17.5%

  2021
枠番 着別度数 連対率
1〜3枠 9-3-5-74 13.2%
6〜8枠 4-7-6-73 12.2%

  2022
枠番 着別度数 連対率
1〜3枠 6-6-8-80 12.0%
6〜8枠 4-5-6-93 8.3%

  2023
枠番 着別度数 連対率
1〜3枠 4-6-12-74 10.4%
6〜8枠 5-5-2-90 9.8%

それも無理もない話で、6〜4年前は全て有馬記念の前週までは外有利馬場ではなかったのが、有馬記念週に入ってから馬場が堪え切れずに外有利に傾くという馬場バイアスの推移となっていました。

ただし、馬場の耐久性保持を重視してエアレーション作業が実施されていなかった3年前については、有馬記念週でも内有利の馬場バイアスのままになっていました。そして、その3年前の馬場整備を踏襲した昨年についても、内有利の馬場バイアスが発生して、(6〜4年前のイレギュラーとは相反する)有馬記念当日は他レースでも内有利のレースが繰り広げられていました。それらと同様の馬場整備がされている今年も、内有利というのを念頭に入れた予想を組み立てるのが吉です。

世代レベルは古馬>3歳馬

毎年の3歳世代馬の“世代レベル”と“秋古馬三冠レースにおける成績”は見事なまでの連動性が認められます。


■データ2  古馬混合・芝オープン競走での3歳馬成績(秋天の前週まで)と古馬三冠レースでの3歳馬成績)

  着度数 複勝率 秋天&JC&有馬での3歳馬勝利数
2024年 [5-2-2-28] 24% 現在0勝
2023年 [3-3-1-32] 18% 0勝
2022年 [3-2-4-15] 38% 2勝
2021年 [8-3-7-20] 47% 2勝
2020年 [2-5-0-29] 19% 0勝
2019年 [4-5-1-34] 23% 0勝
2018年 [3-6-6-29] 34% 2勝
2017年 [3-0-3-29] 17% 0勝
2016年 [4-3-2-24] 27% 1勝
2015年 [2-2-4-39] 17% 0勝
2014年 [3-3-2-29] 22% 0勝
2013年 [1-1-4-33] 15% 0勝
2012年 [9-4-3-33] 33% 2勝
2011年 [3-2-4-34] 21% 1勝
2010年 [5-4-4-16] 45% 2勝

近年、天皇賞秋の前週までに古馬混合・芝オープン競走で3歳世代馬の活躍が顕著(複勝率30%超)だったのは2010年・2012年・2018年・2021年の4つの年でしたが、それらの年だけは秋古馬三冠レースで3歳世代馬が複数勝利(2勝以上)を挙げており、逆にそれ以外の年は古馬世代を下回る勝利数(1勝以下)にとどまっていました。

もっと突き詰めると、複勝率が33%以上だと必ず2勝以上で3歳馬優勢、複勝率が21〜27%だと0勝と1勝が半々で3歳馬がやや劣勢、複勝率が19%以下だと必ず0勝で3歳馬が劣勢という“完全連動”と言える結果が出ています。

今年の3歳世代馬はどうなのかと言うと、近15年では7番目というちょうど真ん中の複勝率24%で、上記に当てはめると3歳馬がやや劣勢の年という見方ができます。

3歳馬が通用しづらい天皇賞秋⇔通用しやすい有馬記念

ただし、世代レベル的にはやや劣勢の3歳馬ですが、元来有馬記念は3歳馬有利ですので完全無視というわけにはいきません。天皇賞秋は3歳馬が(再び)出走可能になった1987年から2023年までの37年間で、3歳馬はわずか4頭しか勝利を挙げられておらず、鬼門と言うべきレースになっています。

その背景としては、3歳10月時点で古馬との斤量差が2キロ(だけ)というのも一因と見られますが、その後の3歳11月施行のジャパンC、3歳12月施行の有馬記念でも古馬との斤量差は同じく2キロのままです。

今が伸び盛りで成長過程にある3歳馬にとって、同じ斤量差ならば必然的に対戦時期がより後ろになればなる程メリットが大きいと考えられます。そのため天皇賞秋では3歳馬の勝利数が過去37年間で4勝止まりなのに対して、ジャパンCでは同期間内に6勝、有馬記念では同期間内に13勝という数字に表れています。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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