キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2024年エリザベス女王杯

牝馬の中長距離重賞は「ステゴ系・キンカメ産駒・ハービン産駒・キズナ産駒」が特注血統

牝馬限定戦ではオークスに次いで2番目に長い距離で行われるエリザベス女王杯。基本的に牡馬よりもスタミナ面で劣り距離適性が短めに出る牝馬にとって、2200mというのはイレギュラーな距離設定になります。そんな牝馬同士による中長距離の上級クラスのレースでは、多数の走り切れない馬と、一部の走り切れる馬という距離適性の面での差がダイレクトに競走結果に反映されます。

まず考えるべきは、この距離でも力を出せるのか、という点になり、そこで大きな手掛かりとなるのは「血統」です。牝馬の中長距離の種牡馬別成績の序列は、全体リーディングとはまるで様相が異なってきます。


■データ1  牝馬限定・距離2000m以上の重賞レースの種牡馬別成績(17年以降/機会数16以上)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
ステイゴールド 1-  5-  1- 11/ 18 5.60% 33.30% 38.90% 176 169
キズナ 6-  2-  4- 50/ 62 9.70% 12.90% 19.40% 183 123
オルフェーヴル 3-  3-  2- 27/ 35 8.60% 17.10% 22.90% 65 115
エピファネイア 3-  3-  5- 32/ 43 7.00% 14.00% 25.60% 22 107
ハービンジャー 8-  7-  5- 50/ 70 11.40% 21.40% 28.60% 113 98
キングカメハメハ 7-  3-  3- 33/ 46 15.20% 21.70% 28.30% 111 82
ゴールドシップ 3-  1-  2- 22/ 28 10.70% 14.30% 21.40% 143 78
ダイワメジャー 0-  1-  4- 19/ 24 0.00% 4.20% 20.80% 0 72
スクリーンヒーロー 4-  2-  0- 18/ 24 16.70% 25.00% 25.00% 124 71
ディープインパクト 6- 12- 11-128/157 3.80% 11.50% 18.50% 28 68
ドゥラメンテ 3-  3-  2- 27/ 35 8.60% 17.10% 22.90% 25 67
ルーラーシップ 2-  5-  2- 45/ 54 3.70% 13.00% 16.70% 15 67
ロードカナロア 3-  0-  1- 15/ 19 15.80% 15.80% 21.10% 28 42
ヴィクトワールピサ 1-  0-  1- 15/ 17 5.90% 5.90% 11.80% 39 40
ハーツクライ 1-  4-  4- 66/ 75 1.30% 6.70% 12.00% 6 23
キタサンブラック 1-  1-  0- 15/ 17 5.90% 11.80% 11.80% 38 21

狙い撃つべき特注血統としては、以前にも「ステイゴールド系・キングカメハメハ産駒・ハービンジャー産駒・キズナ産駒」と紹介しましたが、直近の同条件レースにおいても相変わらずそれら4種牡馬(系統)が高い単複回収率をマークし続けています。

今年の同条件レースを振り返っても、まず年始の愛知杯ではキングカメハメハ産駒(タガノパッション)が8番人気2着と穴をあけ、マーメイドSとローズSはともにキズナ産駒とハービンジャー産駒のワンツー決着で、オークスと秋華賞ではともにハービンジャー産駒(チェルヴィニア)が勝利を収めました。

過去10年のエリザベス女王杯でも6番人気以下の人気薄で複数回好走した種牡馬はキズナ産駒とステイゴールド産駒だけです。

京都のエリザベス女王杯なら日本騎手を重視

エリザベス女王杯は一昨年までの3年間は京都競馬場の改修工事に伴って阪神競馬場(阪神芝内回り2200m)で行われていましたが、今年は本来の京都競馬場(京都芝外回り2200m)で行われます。

阪神芝内回り2200mで行われる重賞レースは、通常の年だと宝塚記念の一戦だけですが、そこで特に強さを発揮するのが海外騎手でした。阪神芝2200mで行われた一昨年のエリザベス女王杯も海外騎手によるワンツー決着でした。

京都芝2200mで行われるエリザベス女王杯となれば、騎手の勢力図もガラリと一変して然るべきと考えられます。実際に過去11年のエリザベス女王杯で、京都芝2200mで行われた8年間では、海外騎手による19年ラッキーライラック(スミヨン騎手)と18年リスグラシュー(モレイラ騎手)という印象的な勝利こそあったものの、実は海外騎手が馬券内に入線したのはその2例だけで、トータルでは[2-0-0-12](複勝率14.3%)で、必ずしも海外騎手>日本騎手というわけではなく、むしろ印象以上に内実は日本騎手が活躍しているということが言えます。


■データ2  京都芝2200mの騎手所属別成績(11年以降/1〜5番人気限定)

騎手分類 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
美浦 6- 11-  5- 30/ 52 11.50% 32.70% 42.30% 74 85
栗東 116-109-105-396/726 16.00% 31.00% 45.50% 73 79
外国 11-  3-  7- 31/ 52 21.20% 26.90% 40.40% 98 72

■データ3  阪神芝2200mの騎手所属別成績(11年以降/1〜5番人気限定)

騎手分類 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
美浦 5-  3-  2- 44/ 54 9.30% 14.80% 18.50% 32 39
栗東 93- 88- 82-323/586 15.90% 30.90% 44.90% 68 78
外国 11-  6-  7- 16/ 40 27.50% 42.50% 60.00% 182 108

それは瞬発力比べが繰り広げられるコースやレースでは日本騎手に軍配が上がるのに対して、持続力比べが繰り広げられるコースやレースでは海外騎手に軍配が上がるということに起因すると考えられます。元来タフな急坂の非根幹距離の内回りの阪神芝内回り2200mは豪腕に物を言わせる海外騎手が日本騎手を圧倒していましたが、同じ距離設定でも平坦で外回りの京都芝外回り2200mでは“柔よく剛を制す”でキレを引き出すことに長けている日本騎手も太刀打ち可能というわけです。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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