ここでも何度か紹介しているとおり20年秋開催を境に東京芝コースでは内有利の馬場バイアスがほぼ消滅して、なおかつ一にも二にも末脚がモノを言う馬場(差し有利傾向)へと変貌をしました。
具体的に東京芝コースで内有利の馬場バイアスが発生した日は、年間を通して18年は計8日間で、19年は計10日間、20年前半(冬&春開催)は半年で計7日間ありましたが、20年後半(秋開催)から24年までの4年弱では19日間と約半減しています。また、その19日間の内、10日間は開催期間が圧倒的に少ない冬開催に集中していました。
冬開催は生育状況が良くない芝の状況と、幅員が狭くコーナー部分が拡大されるDコース使用という背景から、瞬発力の要求度は多少落ちて比較的「内&前有利傾向」になりやすいのです。
それに加えてこの東京芝2500mは、最初のコーナーまでの距離が長くなおかつ坂を超えるというコース形態から、たった100mしか施行距離が変わらない東京芝2400mと比較しても格段にスタミナが問われる舞台条件となっています。
差し有利の馬場傾向とスタミナ要求度が高い舞台条件とが相まって、道中は極力スタミナを温存した中団以降の位置取りから、脚を小出しに使うことなく直線だけで末脚を開放するような競馬をする馬にとってチャンスが回ってきやすいレースになることが想定されます。
馬名 | 脚質 | |
---|---|---|
20年1着 | オーソリティ | 先行 |
2着 | ラストドラフト | 差し |
3着 | サンアップルトン | 追い込み |
馬名 | 脚質 | |
---|---|---|
21年1着 | オーソリティ | 先行 |
2着 | マイネルウィルトス | 差し |
3着 | フライライクバード | 差し |
馬名 | 脚質 | |
---|---|---|
22年1着 | ブレークアップ | 先行 |
2着 | ハーツイストワール | 差し |
3着 | ヒートオンビート | 差し |
馬名 | 脚質 | |
---|---|---|
23年1着 | ゼッフィーロ | 追い込み |
2着 | マイネルウィルトス | 差し |
3着 | チャックネイト | 差し |
実際に20年以降のアルゼンチン共和国杯では4年連続で差し追い込み馬が2頭以上馬券内に好走しており、先行して好走したのは20年1着&21年1着オーソリティ(21年ジャパンC2着)と22年1着ブレークアップ(23天皇賞春4着)というその後の中長距離G1レースでも通用するほどのレベルの馬で、逆に大穴をあけた20年9番人気3着サンアップルトンは道中二桁通過順位の追い込み馬だったということからも、やはり恵まれる可能性が高いのは後ろから行く馬の方であるということが言えます。
そういう競馬をどの馬がしてくるのかと言えば、走る馬自体の脚質も重要ですが、それ以上に騎乗する騎手の意図もかかわってきます。
今の東京芝の中長距離戦で求められる「スタミナ温存の中団待機+直線だけ末脚開放」という我慢する競馬ができる騎手と、そうではない騎手とでは、成績(馬のパフォーマンス)に大きな差が生じてくるというわけです。
特に今年は同週に行われる米ブリーダーズカップに日本馬が大挙参戦することで、トップジョッキーが軒並み不在という異常事態だけに、なおさら上下の差が大きくなる騎手力が物を言うことになりそうです。
騎手 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
---|---|---|---|---|---|---|
ルメール | 40-21-10-28/99 | 40.40% | 61.60% | 71.70% | 124 | 104 |
川田将雅 | 10- 8- 4-25/47 | 21.30% | 38.30% | 46.80% | 55 | 61 |
田辺裕信 | 9-15- 9-40/73 | 12.30% | 32.90% | 45.20% | 115 | 113 |
和田竜二 | 6- 3- 5-23/37 | 16.20% | 24.30% | 37.80% | 136 | 101 |
武豊 | 3- 4- 3-22/32 | 9.40% | 21.90% | 31.30% | 36 | 81 |
M.デム | 5- 8- 6-43/62 | 8.10% | 21.00% | 30.60% | 37 | 64 |
戸崎圭太 | 6-15- 7-64/92 | 6.50% | 22.80% | 30.40% | 46 | 68 |
三浦皇成 | 6- 5- 8-45/64 | 9.40% | 17.20% | 29.70% | 70 | 69 |
横山武史 | 4- 5- 8-47/64 | 6.30% | 14.10% | 26.60% | 18 | 52 |
菅原明良 | 5- 6- 6-48/65 | 7.70% | 16.90% | 26.20% | 97 | 75 |
坂井瑠星 | 1- 3- 4-26/34 | 2.90% | 11.80% | 23.50% | 82 | 69 |
幸英明 | 0- 2- 5-23/30 | 0.00% | 6.70% | 23.30% | 0 | 71 |
岩田望来 | 0- 3- 6-30/39 | 0.00% | 7.70% | 23.10% | 0 | 38 |
大野拓弥 | 3- 3- 5-40/51 | 5.90% | 11.80% | 21.60% | 55 | 81 |
松山弘平 | 1- 2- 7-38/48 | 2.10% | 6.30% | 20.80% | 4 | 36 |
内田博幸 | 2- 3- 3-35/43 | 4.70% | 11.60% | 18.60% | 15 | 43 |
津村明秀 | 1- 2- 4-33/40 | 2.50% | 7.50% | 17.50% | 15 | 42 |
吉田豊 | 2- 1- 5-41/49 | 4.10% | 6.10% | 16.30% | 36 | 76 |
横山和生 | 2- 3- 0-27/32 | 6.30% | 15.60% | 15.60% | 25 | 45 |
北村宏司 | 2- 0- 3-29/34 | 5.90% | 5.90% | 14.70% | 144 | 201 |
永野猛蔵 | 2- 2- 2-40/46 | 4.30% | 8.70% | 13.00% | 30 | 27 |
柴田大知 | 1- 1- 2-34/38 | 2.60% | 5.30% | 10.50% | 182 | 98 |
石橋脩 | 0- 2- 2-35/39 | 0.00% | 5.10% | 10.30% | 0 | 30 |
石川裕紀 | 0- 2- 2-36/40 | 0.00% | 5.00% | 10.00% | 0 | 176 |
木幡巧也 | 0- 1- 1-38/40 | 0.00% | 2.50% | 5.00% | 0 | 14 |
東京芝中長距離とそれに類似する京都芝中長距離の騎手別成績(20年秋以降)はこの通りですが、我慢できる騎乗スタイルの筆頭格であるルメール騎手は圧倒的な好走率と人気を一手に受ける立場でありながらも単勝回収率と複勝回収率が共に100%を超えるという好成績をマークしているのに対して、逆にアグレッシブな騎乗をするデムーロ騎手と川田騎手は回収率が大分低くなっており、前付けの意識が高い松山騎手と坂井瑠騎手は期間内にわずか1勝にとどまっています。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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