キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2024年秋華賞

ハイレベル3歳世代は春の実績馬を重視

先週の3歳以上重賞の毎日王冠では3歳トップ勢vs古馬トップ勢の実質初対戦となるレースだけに、3歳馬の世代レベルがポイントになると記しました(結果はハイレベル3歳世代の大将格だったシックスペンスが勝利)。今週の秋華賞においても、それと同様にこの3歳馬の世代レベルを読み解くことが重要なポイントとなります。

他の世代と相まみえるわけでもなく、同じ世代同士の一戦で何故それが重要なのかと言えば、3歳春までの世代限定戦のレベルが高ければ3歳秋でもそれまでの勢力図が維持される可能性が高く、逆にレベルが低ければ、相対的にレベルが高くなる夏の間に古馬相手のレースで頭角を現してきた上がり馬が勢力図を一変させる可能性があるという考え方ができるからです。

その世代レベルを見極める術としては、過去年との各種対戦成績データの比較と、ノーザンファーム勢の活躍度合いから測ることができます。先週の重複となるのでザックリと結論を示す形としますが、過去年と比較しても現3歳世代はこれまで古馬相手に好結果を残していることからも、ダービーでも桜花賞でもオークスでもノーザンファーム勢ばかりが上位入線を果たしていたことからも、世代レベルは高いと見て良いはずです。


■データ1  ローズS上位馬の前走出走レースと春G1出走歴の馬

  前走出走レース 春重賞出走歴
1着クイーンズウォーク オークス
2着チェレスタ 1勝クラス ×
3着セキトバイースト 桜花賞
4着タガノエルピーダ オークス
5着レガレイラ ダービー

■データ2  紫苑S上位馬の前走出走レース

  前走出走レース 春重賞出走歴
1着クリスマスパレード 関東オークス
2着ミアネーロ オークス
3着ボンドガール クイーンS
4着レイククレセント 1勝クラス ×
5着フォーザボーイズ 1勝クラス

先月に行われた秋華賞トライアル(ローズS・紫苑S)においても、ほぼ春の実績馬ばかりが好走して、夏の上がり馬はほぼ不発に終わったという結果だったことからもそれは裏付けられますので、秋華賞でも夏の上がり馬より春の実績馬を中心視すべきです。

牝馬の中長距離重賞は「ステゴ系・キンカメ産駒・ハービン産駒・キズナ産駒」が特注血統

牝馬限定戦ではオークス・エリザベス女王杯に次いで3番目に長い距離設定の2000mで行われる秋華賞。基本的に牡馬よりもスタミナ面で劣り距離適性が短めに出る牝馬にとって、牡馬にとっては一般的な距離でも牝馬にとって2000mというのはイレギュラーな距離設定と言えます。そんな牝馬同士による中長距離の上級クラスレースでは、多数の走り切れない馬と、一部の走り切れる馬という距離適性の面での差がダイレクトに競走結果に反映されることになります。

そこで大きな手掛かりとなるのは「血統」です。通常とは異なるイレギュラーな適性が問われるという意味で、牝馬の中長距離のレースの種牡馬別成績の序列は、全体リーディングとはまるで様相が異なってきます。


■データ3  牝馬限定の距離2000m以上の重賞レースの種牡馬別成績(17年以降/機会数16以上)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
ステイゴールド 1-  5-  1- 11/ 18 5.60% 33.30% 38.90% 176 169
キズナ 6-  2-  4- 48/ 60 10.00% 13.30% 20.00% 189 128
オルフェーヴル 3-  3-  2- 27/ 35 8.60% 17.10% 22.90% 65 115
エピファネイア 3-  3-  4- 31/ 41 7.30% 14.60% 24.40% 23 109
ハービンジャー 7-  7-  5- 49/ 68 10.30% 20.60% 27.90% 113 99
キングカメハメハ 7-  3-  3- 33/ 46 15.20% 21.70% 28.30% 111 82
ゴールドシップ 3-  1-  2- 21/ 27 11.10% 14.80% 22.20% 148 81
スクリーンヒーロー 4-  2-  0- 18/ 24 16.70% 25.00% 25.00% 124 71
ドゥラメンテ 3-  3-  2- 26/ 34 8.80% 17.60% 23.50% 26 69
ルーラーシップ 2-  5-  2- 44/ 53 3.80% 13.20% 17.00% 15 69
ディープインパクト 6- 12- 11-128/157 3.80% 11.50% 18.50% 28 68
ダイワメジャー 0-  0-  4- 19/ 23 0.00% 0.00% 17.40% 0 62
ロードカナロア 3-  0-  1- 15/ 19 15.80% 15.80% 21.10% 28 42
ヴィクトワールピサ 1-  0-  1- 15/ 17 5.90% 5.90% 11.80% 39 40
ハーツクライ 1-  4-  4- 66/ 75 1.30% 6.70% 12.00% 6 23
キタサンブラック 1-  1-  0- 14/ 16 6.30% 12.50% 12.50% 41 23

そこで狙い撃つべき特注血統としては、以前にも「ステイゴールド系・キングカメハメハ産駒・ハービンジャー産駒・キズナ産駒」と紹介しましたが、今年の牝馬中長距離重賞レースで複数回好走しているのはキズナ産駒とハービンジャー産駒だけであるなど、最近も相変わらずそれら4種牡馬(系統)が猛威を振るっていますので、今回も引き続きプッシュします。

逆に狙いづらい血統としては、全体リーディングでトップ圏内常連の超主流血統だけに一般的な条件よりもパフォーマンスを落としがちなディープインパクト産駒・ハーツクライ産駒や、短距離志向が強いダイワメジャー産駒・ロードカナロア産駒や、気性的に徐々に距離が保ちづらくなりがちなキタサンブラック産駒が挙げられます。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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