秋の古馬G1シリーズに向けて重要な前哨戦の位置付けとなっている毎日王冠。天皇賞(秋)かマイルCS、あるいは海外のG1レースを見据えてココから始動するというハイレベルなメンバーが揃う一戦ですが、やはり前哨戦だけあって目先のG2勝利よりも目標のG1勝利を志向している馬同士の戦いとなるだけに、できるだけ消耗したくないという意識から総じて前半からペースが落ち着きやすく、ほんの数年前までは強い前残り傾向が見られる一戦となっていました。
実際に13年から19年までの7年間で逃げ馬が4連対という一方で、人気を裏切る凡走を喫した馬の多くが差し追い込み馬でした。しかし、それらの馬が一転してペースが流れる天皇賞秋で巻き返し、というのが典型的な穴パターンとなっていました。
その潮目が変わったのが20年秋で、それを境に東京芝コースでは内有利の馬場バイアスがほぼ消滅し、一にも二にも末脚がモノを言う馬場(端的に表せば差し有利傾向)へと変貌しました。この毎日王冠においても前残りが見込みづらい差し有利傾向へと様変わりしています。近3年の毎日王冠では道中で中段以降に位置していた差し追い込み馬が、2頭馬券に絡むという決着が続いています。
脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 | 平均単勝オッズ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
平地・逃げ | 1- 2- 1- 41/ 45 | 2.20% | 6.70% | 8.90% | 10 | 32 | 57.6 |
平地・先行 | 16- 10- 13-120/159 | 10.10% | 16.40% | 24.50% | 71 | 80 | 47 |
平地・中団 | 21- 23- 22-211/277 | 7.60% | 15.90% | 23.80% | 123 | 64 | 47.8 |
平地・後方 | 6- 9- 9-168/192 | 3.10% | 7.80% | 12.50% | 28 | 32 | 117.4 |
(※後方馬は平均単勝オッズにも表れる通り超人気薄が大半を占める為に率は低く出る)
例外的に冬開催だけは厳冬期で生育状況が良いとは言えない芝の状況と、幅員が狭くコーナー部分が拡大されるDコース使用という背景から、瞬発力の要求度は多少落ちて比較的「内&前有利傾向」になりやすいですが、それ以外の春&秋開催においては「差し有利傾向」がほぼほぼ鉄板で、昨秋開催の東京芝重賞レースで穴をあけた馬のほとんどは差し追い込み馬でした。
今年の毎日王冠も数年前までの前残り狙いの考えは捨てて、差し有利傾向に乗ずることができる純粋に末脚に秀でている馬を重視するのが正解と見ます。
3歳馬vs古馬という構図で行われる3歳以上の重賞を検討する上で重要なソースとなるのが、それ以前に古馬との対戦経験がほぼ無い3歳馬の世代レベルです。その世代レベルが高ければ3歳馬にチャンスがあるという見方ができますし、逆に低ければ3歳馬にはチャンスが乏しいという見方ができます。
特にこの毎日王冠は3歳世代のトップ路線を歩んできた馬(主に前走ダービー組)が、おおよそ初めて一線級の古馬と激突するレースとなっていますので、その優劣判断は馬券結果を左右する重要なポイントとなります。
その世代レベルを見極める術としては、過去年との各種対戦成績データの比較が有効です。実際に6〜9月までに行われた3歳以上の上級クラスの芝競走における3歳馬の成績(好走頭数)を過去年と今年で比較してみると、3勝クラスでは近3年の3歳馬は平均5頭好走しているところが今年は11頭好走、OPクラスでは平均7頭好走しているところが今年は6頭好走となっています。
年・年月 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
2024年 | 5- 4- 2-14/25 | 20.00% | 36.00% | 44.00% |
2023年 | 2- 2- 3-20/27 | 7.40% | 14.80% | 25.90% |
2022年 | 1- 3- 1- 4/ 9 | 11.10% | 44.40% | 55.60% |
2021年 | 1- 2- 0- 6/ 9 | 11.10% | 33.30% | 33.30% |
2020年 | 2- 1- 0- 5/ 8 | 25.00% | 37.50% | 37.50% |
主に3歳春までの重賞・OP競走で一定以上の結果を残した馬というのは、3歳夏以降は3勝クラス〜OPクラスに合流しますので、それらのクラス内での成績比較が有効となります。短距離戦出走馬の割合が大きいOPクラスではさほどですが、中距離戦出走馬の割合が大きい3勝クラスでは例年に無いほどの活躍を見せていることからも、現3歳世代のレベルは例年以上に高いという見方ができるはずです。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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