阪神競馬場のスタンドリフレッシュ工事に伴う開催日程の変更のため、2年振りに中京芝1200mで行われる今年のセントウルS。この12年に大規模改修された新装中京芝1200mの最たる特徴としては、他場の芝1200mと比べてスタミナと末脚の性能の確かさが要求される点にあります。それによって生粋のスプリンタータイプの馬よりも、距離1200mよりも長い距離をこなせる様なマイラー寄りタイプの馬に向くコースとなっています。
それは近年のセントウルSの決着パターンを振り返っても明らかで、通常のスケジュール通りに阪神芝1200mで行われていた年のセントウルSはスプリント色の強いレースになりがちで、その直近7年(2014〜2019と2023)の3着内好走馬21頭中19頭は前走でも距離1000〜1200mのレースを走っていた馬が占めていました。
前走で距離1600mのレースに出走していた馬で勝利を収めた唯一のケースは15年のアクティブミノルでしたが、その前走ニュージーランドTでは15着大敗を喫していたことからも “ただ距離1600mのレースに名を連ねていただけ”というのが実際の所で、その後も距離1200mに特化した活躍を見せる馬だったことからも、マイラーではなく生粋のスプリンターだったからこそ阪神芝1200mで走ったというパターンでした。
それが変則的なスケジュールにより中京芝1200mで行われた3年間(2020〜2022)では、好走馬9頭中6頭は前走距離1400m以上のレースを経たローテーションの馬で、また好走馬9頭中8頭は距離1400m以上の重賞好走実績の持ち主が占めました。こちらは生粋のスプリンターではなかったからこそ中京芝1200mで走ったというパターンがメインとなっています。
前走距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
同距離 | 19- 15- 22-267/323 | 5.90% | 10.50% | 17.30% |
今回延長 | 0- 0- 1- 9/ 10 | 0.00% | 0.00% | 10.00% |
今回短縮 | 13- 17- 9-161/200 | 6.50% | 15.00% | 19.50% |
セントウルSの例だけではなく、12年以降に中京芝1200mで行われた重賞は合わせて32レースありましたが、その連対馬64頭中30頭という約半数が距離短縮ローテ馬から輩出されています。出走数自体は距離短縮ローテ馬よりも同距離ローテ馬の方が1.5倍以上多いことからも、距離短縮ローテ馬で臨むという馬、より本質的には距離1400m以上を守備範囲としている様なマイラー寄りのタイプの馬にとってアドバンテージがある舞台条件ということが言えます。
中京芝1200mで行われたセントウルSでマイラー寄りのタイプが躍動していた背景としては、同コースがスタミナと末脚の良さが求められる条件だからでした。よって、脚質的にもスピードに秀でている逃げ(先行)タイプの馬よりも、脚を溜めて直線で末脚を使える差し(追い込み)タイプ馬の方が有利ということが言えます。
脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
平地・逃げ | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.00% | 0.00% | 0.00% |
平地・先行 | 2- 1- 2- 6/11 | 18.20% | 27.30% | 45.50% |
平地・中団 | 1- 2- 1-14/18 | 5.60% | 16.70% | 22.20% |
平地・後方 | 0- 0- 0-15/15 | 0.00% | 0.00% | 0.00% |
実際に阪神芝1200mで行われた直近7回では、昨年14番人気で勝利したテイエムスパーダや15年に10番人気で勝利したアクティブミノルなど逃げ馬が3勝2着1回という好成績をマークして、4角3番手以内で通過した逃げ先行馬が毎年必ず好走馬に名を連ねていました。それが中京芝1200mで行われた直近3回では、逃げ馬の好走例は一度もなく、4角3番手以内の逃げ先行馬が1頭も馬券内に残れないという年もありました。
脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
平地・逃げ | 3- 1- 0- 3/ 7 | 42.90% | 57.10% | 57.10% |
平地・先行 | 2- 2- 2- 18/ 24 | 8.30% | 16.70% | 25.00% |
平地・中団 | 2- 2- 4- 31/ 39 | 5.10% | 10.30% | 20.50% |
平地・後方 | 0- 2- 1- 28/ 31 | 0.00% | 6.50% | 9.70% |
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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