新潟記念が行われる新潟芝外回りコースは、JRAの全コースの中でもホームストレッチ(最後の直線)の距離が最も長いコース形態です。また、新潟記念が行われる開催最終週は外が伸びる馬場になりがちで、各馬は馬場の悪い内目を避けてコースロス上等で外目を回すコース取りを選択する傾向があります。よってこの新潟記念は、ホームストレッチで息の長い末脚を繰り出せるかどうかが問われる条件と言うことができます。
息の長い脚を繰り出すというのは、具体的にはどれだけトビを維持してラップを落とさない走りをすることと言い換えられますが、それを実現させる上ではピッチ走法よりもストライド走法の馬の方が理に適っており、それは馬格がある馬体重が大きい馬が有利ということに繋がります。
馬体重 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
---|---|---|---|---|---|---|
〜439kg | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0 | 0 |
440〜459kg | 1- 0- 1- 16/ 18 | 5.60% | 5.60% | 11.10% | 25 | 76 |
460〜479kg | 1- 3- 4- 41/ 49 | 2.00% | 8.20% | 16.30% | 87 | 60 |
480〜499kg | 4- 5- 3- 47/ 59 | 6.80% | 15.30% | 20.30% | 47 | 75 |
500〜 | 4- 2- 2- 26/ 34 | 11.80% | 17.60% | 23.50% | 114 | 128 |
実際に近10年の新潟記念では、馬体重520キロ以上の超大型馬が複勝率38.5%で単複回収率200%超の好成績をマークしており、確率的にも期待値的にも馬格が大きければ大きい程に狙いが立つという見方ができます。
対照的に馬体重439キロ以下の小型馬は[0-0-0-10](複勝率0%)と低調成績で、2008年の勝ち馬アルコセニョーラまでさかのぼらないと好走馬は出ておらず、直近だと昨年は馬体重420キロ台のサリエラが1番人気を裏切る凡走を喫しました。
まず大原則として、3歳上の重賞オープン競走(3歳馬目線で言えば3歳6月から12月の古馬と相まみえる重賞オープン競走)において、そもそも3歳馬は期待値が低い存在となっています。
それは3歳馬の能力やレベル云々というよりも、今の馬券購入者が新味のある馬の方に期待をかけたがる傾向からその3歳馬が必要以上に好まれる現状と、事実上3歳馬有利の条件クラス競走における3歳馬の活躍ぶりによって、重賞オープン競走でも3歳馬が過大に評価されがちという現状が根本的な要因だと考えられます。
特に夏競馬の3歳上の重賞オープン競走で、3歳馬のベタ買い単複回収率が基準となる80%を超えたのは、過去11年では2016年と2021年のわずか2つの年だけでした(半数ほどの年は回収率50%にも満たないという惨状となっています)。
年・年月 | 着別度数 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
---|---|---|---|
2023年 | 1- 1- 1-14/17 | 26 | 67 |
2022年 | 2- 1- 3-11/17 | 41 | 62 |
2021年 | 4- 1- 3-15/23 | 93 | 73 |
2020年 | 1- 0- 0-13/14 | 36 | 16 |
2019年 | 1- 3- 0-15/19 | 25 | 48 |
2018年 | 1- 3- 3-17/24 | 17 | 67 |
2017年 | 3- 0- 1-14/18 | 66 | 42 |
2016年 | 2- 3- 1-13/19 | 236 | 99 |
2015年 | 1- 2- 3-20/26 | 10 | 116 |
2014年 | 1- 2- 2-16/21 | 17 | 70 |
2013年 | 1- 1- 1-17/20 | 25 | 36 |
その中でも3歳馬が比較的通用しやすいのは若駒と古馬との差が小さいスピード優先のカテゴリーである「短距離戦」であり、スピードよりも体力やスタミナ優先のカテゴリーである「中長距離戦」では若駒よりも歴戦の古馬に一日の長があります。
実際に3歳夏に距離2000m以上の3歳上重賞競走を好走した3歳馬は、2010年以降だと「ブラストワンピース・レインボーライン・ベルーフ・ヤマカツエース・ハープスター・ラブリーデイ・ソダシ・フェーングロッテン・トップナイフ・ノッキングポイント」の10頭しかおらず、そのほとんどの馬はその後にG1でも通用してくるレベルの馬たちでした。逆に「短距離戦」だとG1で通用するどころかその後に重賞でも通用しないレベルの馬も多く好走馬に名を連ねています。それだけこの時期の3歳馬が古馬相手に「中長距離」で勝負を挑むというのは、「短距離」とは比ではない高いハードルがあるということが言えます。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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