キーンランドCが行われる札幌芝1200mは、数あるスプリントコースの中でも中京芝1200mに次いで当該距離よりも長い距離の適性(スタミナと末脚性能)が問われる舞台設定です。中京芝1200mは主に直線の長さによるものですが、札幌芝1200mは直線こそ短いものの、直線に向かうまでのコーナー部分が緩やかな造りなので、中団以降に位置する差し追い込み馬が脚を伸ばしやすいという、コース形態によるものと見られます。
また、毎年開催終盤に設定されているキーンランドCでは、馬場のダメージが蓄積されやすい洋芝ということもあり、多くの年で時計が掛かる馬場や内目が荒れた馬場になりがちです。そこでは通常にも増してスピード一辺倒で押し切るのは困難で、距離1200m超実績を持つ末脚に秀でた馬が俄然有利になり得るというわけです。
前走距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
同距離 | 7- 9- 7- 94/117 | 6.00% | 13.70% | 19.70% |
今回延長 | 1- 0- 1- 13/ 15 | 6.70% | 6.70% | 13.30% |
今回短縮 | 2- 1- 2- 17/ 22 | 9.10% | 13.60% | 22.70% |
実際に近年札幌芝1200mで行われた重賞では、距離延長ローテや同距離ローテで挑む馬よりも、決してメジャーではない距離短縮ローテで挑む馬の方が回収率の面でも好走率の面でも好成績を残しています。
4年前は前走中京記念(芝1600m)を経て臨んだディメンシオンが9番人気3着、3年前は前走京王杯スプリングCを経て臨んだセイウンコウセイが9番人気3着で、昨年は前走ヴィクトリアマイルを経て臨んだナムラクレアが1着でした。それらの年と時計の掛かり方や馬場バイアスなど似たシチュエーションでの施行となりそうな今年のキーンランドCでも、距離短縮ローテ馬の勝利もしくは激走が見られる可能性が考えられます。
基本的に短距離の上のクラスのレースでは馬格に秀でた馬が活躍するのが常ですが、その中にあってこのキーンランドCでは意外なほどに小さな馬が活躍している傾向が見受けられます。
馬体重 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
420〜439kg | 1- 0- 0- 2/ 3 | 33.30% | 33.30% | 33.30% |
440〜459kg | 2- 1- 3- 16/ 22 | 9.10% | 13.60% | 27.30% |
460〜479kg | 3- 5- 2- 37/ 47 | 6.40% | 17.00% | 21.30% |
480〜499kg | 2- 2- 2- 37/ 43 | 4.70% | 9.30% | 14.00% |
500〜519kg | 1- 1- 2- 24/ 28 | 3.60% | 7.10% | 14.30% |
520〜 | 1- 1- 1- 8/ 10 | 9.10% | 18.20% | 27.30% |
その要因としては小さな馬にとって走りやすい平坦性の強いコース形態、直線が短めのコース形態、あとは夏場の一戦であることも関係しているはずです。
先週行われたCBC賞では、出走馬の中で最も馬体重が小さかった440キロのドロップオブライトが勝利。2着のスズハロームと16番人気であわやの4着に食い込んだメイショウソラフネも共に馬体重450キロ以下の小さめの馬でした。基本的に寒い時季の方が大型馬の成績が上がり、暑い時季の方が小型馬の成績が上がるというデータとなっています。
春競馬 | 夏競馬 | 秋競馬 | |
---|---|---|---|
大型馬(500キロ以上) | 25.20% | 22.30% | 24% |
小型馬(439キロ以下) | 14.20% | 19.00% | 15.60% |
※牝馬かつ大型馬 | 22.40% | 20.70% | 21.80% |
※牡馬かつ小型馬 | 15.30% | 17.90% | 14.50% |
「夏は牝馬」という競馬ファンなら誰もが知るところの有名な格言がありますが、実際には牝馬だとしても大型馬であれば寒い時季の方が好成績ですし、牡馬だとしても小型馬であれば暑い時季の方が好成績ですので、季節によって競走成績を左右するのは性別ではなく馬体重というのが言えるはずです。
牝馬の方が小型馬の割合が大きいので、夏は牝馬の方が走るように見えているだけで、あくまでも着眼すべきは性別ではなく馬体重の方であるということです。酷暑の中京ほどではないにしても、たびたび真夏日になっている今の札幌でも気候的には大型馬よりも小型馬の方が走りやすいシチュエーションが想定されます。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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