キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2024年札幌記念

ハイレベルな香港G1レース組に注目

G2の中でも“スーパーG2”とも称される札幌記念だけあって、今年も出走馬の過半数(12頭中7頭)をG1好走実績馬が占めるという好メンバーが集結しました。過去10年の同レースの3着内好走馬を振り返っても、実に7割(30頭中21頭)の馬が前走G1出走組から輩出されている様に、ハイレベルな組み合わせの中で好走する為にはそれなりの地力が備わっていることが何よりの前提となります。

その馬の地力の高さをはかる上で、どのような戦歴を辿っている馬やどのような実績を持つ馬に着目すべきなのかと言えば、数ある国内外のG1の中でも特に香港のG1を高く評価すべきというのが最新トレンドと見ます。


■データ1  芝G1〜G2レースの前走海外出走レース別成績(22年以降/最少機会数2)

前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率
香港カップ 2- 2- 0- 3/ 7 28.60% 57.10% 57.10%
クイーンエリザベス2世C 2- 0- 0- 3/ 5 40.00% 40.00% 40.00%
香港マイル 1- 1- 0- 4/ 6 16.70% 33.30% 33.30%
1351ターフスプリント 1- 0- 0- 1/ 2 50.00% 50.00% 50.00%
ドバイシーマC 1- 0- 0- 6/ 7 14.30% 14.30% 14.30%
凱旋門賞 1- 0- 0- 5/ 6 16.70% 16.70% 16.70%
香港スプリント 1- 0- 0- 3/ 4 25.00% 25.00% 25.00%
ドバイターフ 0- 2- 0- 6/ 8 0.00% 25.00% 25.00%
ドバイワールドC 0- 0- 0- 4/ 4 0.00% 0.00% 0.00%
ゴドルフィンM 0- 0- 0- 2/ 2 0.00% 0.00% 0.00%
チャンピオンズM 0- 0- 0- 2/ 2 0.00% 0.00% 0.00%

実際に22年以降の芝G1〜G2の前走場所別成績では、国内全ての競馬場よりも前走海外組が最も高い好走率となっています。その内訳の前走海外個別レース別成績を見ると香港のG1組が軒並み上位に名を連ねており、逆にドバイや欧州のG1組は人気に応えられないケースが目立っています。

特にここ1年間では芝G1〜G2での前走香港組は13頭中9頭好走というハイアベレージなのに対して、前走香港以外の海外組は15頭全て凡走という両極端な結果です。

その要因としては遠征距離の観点から近場の香港だと馬へのダメージが最小限に抑えられるのと、何よりも香港のG1のレベルが近年かなり上がってきているからでしょう。また、日本競馬と対極に位置すると言っても過言ではない欧州競馬とは異なり、親和性が高いという点もありそうです(欧州競馬で強い馬が日本競馬で強いとは限らないのに対して、香港競馬で強い馬は日本競馬でもそのまま強い)。

「本気度」と「仕上がりの早さ」がキー

G2というのは主にG1のステップレースに位置付けられるレースが設定されています。この札幌記念も、三歳三冠レースの最終戦である菊花賞&秋華賞、秋古馬三冠レースの初戦である天皇賞秋、凱旋門賞やブリーダーズカップターフなどの海外の大レースを目標とする馬にとって、非常に使い勝手の良いステップレースとして機能しています。

特に有力視される馬であればあるほどに、目の前の勝利よりもその先のG1レースに向けての調整的な色合いも少なからずあるのがG2(G1ステップレース)である札幌記念において、特に重視すべき要素は「本気度」と「仕上がりの早さ」の2点です。

それは2011年のトーセンジョーダンを最後に12年連続で1番人気馬が勝利を挙げられていないことにも表れています。札幌記念よりも秋の大レースに軸足を置いた前哨戦なりの勝負気配で臨んでくるトップホースを、「本気度」と「仕上がりの早さ」で上回る2番手グループの馬が出し抜くという決着が毎年の様に繰り返されているというわけです。

「本気度」についてはケースバイケースで個別の馬の事情から汲み取る他にありませんが、「仕上がりの早さ」については各馬の休み明け初戦ローテの成績から読み取ることができます。


■データ2  札幌記念の勝ち馬の生涯鉄砲成績(18年以降)

勝ち馬 休み明け初戦の着度数 休み明け初戦の連対率
23年 プログノーシス 6-1-1-0 88%
22年 ジャックドール 4-0-0-3 57%
21年 ソダシ 3-1-1-1 67%
20年 ノームコア 3-1-1-2 57%
19年 ブラストワンピース 4-0-1-5 40%
18年 サングレーザー 3-3-1-1 75%

近6年連続で札幌記念は休み明け初戦の馬が勝利を収めていますが、それらの勝利馬は軒並み鉄砲巧者であり、連戦ローテよりも休み明け初戦に好成績を残していたというのが確固たる共通点として指摘できるところになります。実際に近6年の勝ち馬は全て生涯鉄砲成績が連対率40%以上というハイアベレージの持ち主でした。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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