ここでは特殊な立ち位置の一戦と言えるだろう小倉芝1800mで行われる中京記念で機能し得るポイントと、同レースに限らず芝の重賞レース全般に通ずるポイントについて取り上げます。
2024年の中京芝1600mで行われた中京記念では、出走馬16頭中15頭が前走距離1600m以下を使っていたマイラーばかりが集結していましたが、21年と22年に小倉芝1800mで行われた中京記念ではそうなってはいませんでした。
2年前の中京記念では出走馬16頭中11頭が前走距離1600m以下を使っていたマイラーの出走が多くを占めていましたが、対照的に3年前の中京記念では出走馬12頭中6頭が前走距離2000m以上の中距離馬でした。
前者はマイラー同士による距離1800mのレース、後者は中距離馬同士による距離1800mのレースと言い換えることができると思いますが、そこで有利になってくるのは「多数派」に属する馬の方です。実際に前者の中京記念はマイラーが掲示板を独占した一方で、後者の中京記念は中距離馬が上位4頭中3頭を占めていました。
着順 | 馬名 | 前走レース(距離) | キャリアハイ重賞実績 |
1着 | ベレヌス | 谷川岳ステークス(1600m) | 無し |
2着 | カテドラル | 安田記念(1600m) | 京成杯AH1着 |
3着 | ファルコニア | マイラーズカップ(1600m) | マイラーズC3着 |
4着 | ミスニューヨーク | ヴィクトリアマイル(1600m) | ターコイズS1着 |
5着 | ヴァリアメンテ | 米子ステークス(1600m) | 無し |
その2例だけではなくそれ以外の小倉芝1800mの重賞オープン競走でも概ね同様の傾向となっています。もちろん、出走頭数が多ければ好走頭数も必然的に多くなるという部分を差し引いてもそうなっているという話です。
ようは実際にレースの施行距離にかかわらず、出走馬の多数がマイラーであればマイラーにとって走りやすいマイル質のレース(マイラーによるマイラーのためのレース)になりがちですし、その逆もまた然りということが言えます。
年による施行舞台の変動を問わずに、過去の中京記念で人気を背負って飛ぶパターンの一つは、前走G1出走組です。
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
3勝 | 0- 0- 1- 2/ 3 | 0.00% | 0.00% | 33.30% | 0 | 76 |
OPEN非L | 1- 1- 2- 5/ 9 | 11.10% | 22.20% | 44.40% | 100 | 102 |
OPEN(L) | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0 | 0 |
G3 | 1- 0- 3- 3/ 7 | 14.30% | 14.30% | 57.10% | 62 | 148 |
G2 | 2- 1- 2- 3/ 8 | 25.00% | 37.50% | 62.50% | 211 | 156 |
G1 | 1- 0- 1-17/19 | 5.30% | 5.30% | 10.50% | 25 | 16 |
過去10年で前走G1出走組の上位人気馬(1〜5人気馬)は[1-0-1-17]で複勝率10.5%・単複回収率21%と散々で、他のどのクラスのレースの出走組よりも遥かに低い数字となっています。
これは中京記念特有の傾向というよりも、今の日本競馬の芝G3全般について言える傾向です。21年以降の芝G3において、前走G1出走組の上位人気馬は単複回収率76%で、これは全10クラス(新馬〜G1)の中で2番目に低い数字となっています。
そして、これと真逆なのがダートの重賞レースで、前走中央G1出走組を買うだけで単複回収率がプラスになる年も珍しくありません。これらの要因としては芝とダートにおけるG1レースを始めとした各クラスの価値の違いにあります。
ダート路線ではほんの一握りのG1&G2レースに対し、その他大多数のG3レース&オープン特別レースという構図で、クラス間のレベルの格差は大きいのに対して、芝路線では各クラスのレース数がバランス良く配置されているので、クラス間のレベルの格差はそこまでは大きくありません。にもかかわらず、過剰に前走クラスが意識されるせいで、前走クラスが高ければ高いほどに回収率が低いという逆転現象に繋がっているものと考えられます。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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