七夕賞が行われる福島芝2000mのコース形態の特徴としては、最初のコーナーを迎えるまでの直線の長さ(約500m)と、最後のゴール前の直線の短さ(約300m)が挙げられます。
その特徴面から言えば福島芝2000mと似ているコースは阪神芝内回り2200mです。そこで行われた昨年の宝塚記念では先行勢が全て二桁着順に沈んで、上位入線馬の大半を道中二桁通過順位の差し追い込み勢が占めるという極端な決着となったのが好例です。その特徴を有するコース形態でなおかつ頭数が一定以上揃っているレースの場合には、序盤の隊列が固まるまでに時間を要しがちで、結果的にペースが速く、展開も厳しくなり、差し有利決着(先行不利決着)が起こりやすくなります。
その基本傾向を前提として、「出走頭数の多少」と「馬場の良し悪し」によって、それが変動します。出走頭数が多くて馬場が悪い時には差し有利傾向が助長されて、逆に出走頭数が少なくて馬場が良い時にはそれが阻害されるということです。
まず「出走頭数」については、21年以降の福島芝2000mで少頭数(11頭立て以下)だったレースは12ありましたが、その全てで4角3番手以内の馬が連対し、12レース中9レースで4角3番手以内の馬が勝利を収めていました。少頭数立ての場合には、ホームストレッチの長さによるペースアップ効果が大分薄れるということがその要因として考えられます。
脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
平地・逃げ | 4- 0- 1- 20/ 25 | 16.00% | 16.00% | 20.00% |
平地・先行 | 14- 10- 6- 55/ 85 | 16.50% | 28.20% | 35.30% |
平地・中団 | 3- 11- 16-112/142 | 2.10% | 9.90% | 21.10% |
平地・後方 | 1- 1- 2-110/114 | 0.90% | 1.80% | 3.50% |
平地・マクリ | 2- 2- 0- 2/ 6 | 33.30% | 66.70% | 66.70% |
脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
平地・逃げ | 0- 1- 0- 6/ 7 | 0.00% | 14.30% | 14.30% |
平地・先行 | 3- 3- 2-14/22 | 13.60% | 27.30% | 36.40% |
平地・中団 | 3- 2- 3-29/37 | 8.10% | 13.50% | 21.60% |
平地・後方 | 0- 0- 1-26/27 | 0.00% | 0.00% | 3.70% |
平地・マクリ | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.00% | 0.00% | 0.00% |
そして「馬場」については、近6年の七夕賞で差し有利決着だった18年、19年、20年、22年の4年中3年は雨の影響が残る馬場状態でした。逆に先行有利決着だった23年は完全な良馬場で、21年は稍重発表でも福島県沖地震により春の福島開催中止後の夏開催2週目ということもあって良好な馬場状態でした。
また、七夕賞に限らず13年以降の福島芝2000mのオープン競走で稍重〜不良だったレースでは、例外なく全て中団以下に位置した馬が勝利を収めています。今年の七夕賞は「多頭数15頭立て」・「土日は雨予報で渋化馬場の可能性」という差し有利傾向が助長される材料が揃っていますので、差し馬を中心視したい所です。
七夕賞はハンデキャップ競走として行われますが、そのハンデのベースとなる斤量については、馬の年齢別(月別)と距離別に細かく設定されています。例えば3歳7月のオープン競走だと短距離戦では3歳馬と古馬との斤量差は3キロですが、中長距離戦では4キロとなっています。これは距離別に斤量差の影響度合いが異なるという見方がされているからです。
距離以外でもレースの施行条件によって、斤量差の影響は大小さまざまあるわけですが、ハンデキャッパーは馬のキャリアに応じてハンデを付けるという形であって、施行条件によってハンデの幅を増やしたり減らしたりさせることはありませんので、ハンデが利きやすい施行条件は必然的に軽ハンデ馬が有利なレースとなり、ハンデが利きづらい施行条件は必然的に重ハンデ馬が有利なレースとなります。
斤量 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
〜51kg | 0- 0- 1- 6/ 7 | 0.00% | 0.00% | 14.30% |
52kg | 0- 0- 1- 9/ 10 | 0.00% | 0.00% | 10.00% |
53kg | 0- 1- 2- 12/ 15 | 0.00% | 6.70% | 20.00% |
54kg | 2- 1- 2- 21/ 26 | 7.70% | 11.50% | 19.20% |
55kg | 0- 4- 2- 19/ 25 | 0.00% | 16.00% | 24.00% |
56kg | 1- 1- 0- 21/ 23 | 4.30% | 8.70% | 8.70% |
56.5kg | 0- 0- 1- 3/ 4 | 0.00% | 0.00% | 25.00% |
57kg | 6- 2- 0- 21/ 29 | 20.70% | 27.60% | 27.60% |
57.5kg〜 | 1- 1- 1- 10/ 13 | 7.70% | 15.40% | 23.10% |
斤量は瞬発力(初速や加速)の面に大きく影響するとされていますので、それが問われづらい小回りコースの芝2000mというのは、斤量が物を言いづらい施行条件だと言えます。実際に過去10年の七夕賞では53キロ以下の軽ハンデ馬は未勝利で、57キロ以上の重めのハンデの馬の活躍が目立つというレース傾向となっています。
キムラヨウヘイの
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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