この函館スプリントSというレースは、一言で言えば“渋滞レース”です。同レースに限らず、開催序盤に行われる函館芝1200mの多頭数レースは、狭いコース形態かつ内有利馬場という舞台設定であることから、ローリスクの外目から差す競馬では馬場バイアス不利によってそう簡単には間に合いませんので、勝利するためにはリスクを背負ってでも馬場バイアス有利の内目を狙う競馬をする必要があります。
そして、それを狙ってくる少なからずの人馬がせめぎ合う中で、もはや運の領域ですが結果的にスムーズな競馬ができたという一握りの馬が最も勝利に近付けるというわけです。
そんな函館スプリントSでは、稀に頭数が揃わなかった場合にはその限りではなくなるので順当決着傾向となりますが、頭数が揃った場合にはその渋滞に巻き込まれてまともに力を発揮できない馬が必ずと言って良いほどに複数頭出てくることで波乱決着傾向となります。
年 | 勝ち馬 | 頭数 | 馬連 | 馬単 | 3連複 | 3連単 |
23 | キミワクイーン | 16 | 3100 | 5590 | 3600 | 21410 |
22 | ナムラクレア | 16 | 3000 | 3850 | 25650 | 88700 |
20 | ダイアトニック | 16 | 5710 | 8290 | 13200 | 64550 |
19 | カイザーメランジェ | 13 | 1910 | 3900 | 1200 | 14460 |
18 | セイウンコウセイ | 16 | 10410 | 16560 | 11690 | 81900 |
17 | ジューヌエコール | 13 | 3090 | 6000 | 13120 | 55520 |
16 | ソルヴェイグ | 16 | 17090 | 36650 | 43840 | 397650 |
15 | ティーハーフ | 16 | 19550 | 29240 | 200320 | 944140 |
14 | ガルボ | 14 | 27340 | 63720 | 89720 | 872270 |
13 | パドトロワ | 16 | 9040 | 21330 | 16510 | 162690 |
12 | ドリームバレンチノ | 11 | 330 | 1330 | 13180 | 72540 |
11 | カレンチャン | 12 | 810 | 1430 | 950 | 4260 |
10 | ワンカラット | 15 | 900 | 1770 | 3060 | 13220 |
実際に2010年以降の函館スプリントSで、馬連配当が1000円未満の穏当決着だった3年(10・11・12年)は全てフルゲートに満たない出走頭数の年でしたし、三連単配当が15000円未満の穏当決着だった3年(10・11・19年)も全てフルゲートに満たない出走頭数の年でした。逆にフルゲート16頭立てだった年では、7年中4年で馬連が万馬券、6年で三連複が万馬券、3年で三連単が10万馬券の波乱決着でした。
フルゲートで行われる函館スプリントSでは、そういう紛れが起こる可能性が高い、より具体的に言えば不運により有力馬が走り切れない可能性が一定以上あるという前提に立った穴予想をするのが効率的であるということが言えるはずです。
紛れの中身について掘り下げると、23年函館スプリントSで渋滞の影響を受けた馬(道中4番手以降追走、4コーナーで位置取りを下げた馬)は3着トウシンマカオ(1枠)・4着カイザーメランジェ(2枠)・13着レイハリア(1枠)・14着ヴィズアサクセス(3枠)で、20年の同該当馬は7着エイティーンガール(2枠)・9着マリアズハート(1枠)と、内枠の馬ばかりでした。当たり前の話ですがやはり内枠の馬の方がそういうリスクに遭う可能性が高いと言えます。
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1枠 | 3- 0- 3-11/17 | 17.60% | 17.60% | 35.30% |
2枠 | 3- 2- 2- 7/14 | 21.40% | 35.70% | 50.00% |
3枠 | 3- 5- 1-10/19 | 15.80% | 42.10% | 47.40% |
4枠 | 2- 0- 3-13/18 | 11.10% | 11.10% | 27.80% |
5枠 | 3- 4- 0-10/17 | 17.60% | 41.20% | 41.20% |
6枠 | 1- 4- 0-13/18 | 5.60% | 27.80% | 27.80% |
7枠 | 0- 1- 2-11/14 | 0.00% | 7.10% | 21.40% |
8枠 | 3- 0- 3- 4/10 | 30.00% | 30.00% | 60.00% |
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1枠 | 3- 8- 4- 73/ 88 | 3.40% | 12.50% | 17.00% |
2枠 | 1- 2- 6- 82/ 91 | 1.10% | 3.30% | 9.90% |
3枠 | 2- 4- 4- 76/ 86 | 2.30% | 7.00% | 11.60% |
4枠 | 2- 3- 7- 72/ 84 | 2.40% | 6.00% | 14.30% |
5枠 | 4- 2- 3- 76/ 85 | 4.70% | 7.10% | 10.60% |
6枠 | 3- 4- 2- 75/ 84 | 3.60% | 8.30% | 10.70% |
7枠 | 1- 3- 3- 94/101 | 1.00% | 4.00% | 6.90% |
8枠 | 1- 2- 1- 84/ 88 | 1.10% | 3.40% | 4.50% |
10年以降の函館開幕週のフルゲート16頭立ての芝1200mにおいて、1〜3番人気馬の道中4番手以降追走馬の複勝率が最も高いのは8枠ですが、4番人気以下馬の道中4番手以降追走馬の複勝率が最も高いのは1枠となっています。
極端に前に行く馬については枠順の内外はあまり関係ありませんが、差す馬については上位人気馬≒能力が高い馬であればリスクの低い外目の枠順の方が力を出し切りやすいという意味ではベターで、非上位人気馬≒能力がギリギリ足りない馬であれば一発が狙いやすいという意味では詰まるリスクはあるとしても内目の枠順を引き当てることが前提となるということです。
キムラヨウヘイの
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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