2024年安田記念｜キムラヨウヘイの重賞アナライズ

キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2024年安田記念

京都マイルCSと直結しない安田記念

JRAにおける芝マイル路線の頂上決戦は安田記念とマイルチャンピオンシップという位置付けとなっていますが、この両レースは東京芝1600m⇔京都芝1600mという舞台設定の違いによる要求適性の食い違いから、好走する馬の顔触れはガラリと入れ替わるという“非直結”の傾向がありました。

実際に2009年から19年までの11年間の安田記念で3着以内に好走した馬の同年マイルCS成績は[2-1-1-13](複勝率23.5%)。同じ期間のマイルCSで3着以内に好走した馬の翌年安田記念成績は[0-1-2-19](複勝率13.6%)で、明らかな不振成績となっています。

どちらかのレースで凡走を喫した馬が、もう一方のレースで巻き返して好走を果たすというケースが頻発しており、具体的には安田記念の4着以下凡走馬から同年マイルCS3着以内好走馬が同11年間で11頭、マイルCS4着以下凡走馬から翌年安田記念3着以内好走馬が同11年間で9頭と大挙誕生しており、好走馬よりも凡走馬の方が走っている、というのが特筆すべき事象と言えるでしょう。

■データ１　 前年マイルCSで4着以下凡走から安田記念で3着以内好走した馬(09〜19年)

23年マイルCSにおいても、同年の安田記念16着大敗馬のナミュールが勝利して、同年の安田記念9着凡走馬のソウルラッシュが2着に食い込んだ一方で、同年の安田記念の2着馬シュネルマイスターと3着馬セリフォスが1番人気or2番人気という高い支持を集めながらも掲示板外に飛ぶという決着となりました。

よって、前年の京都マイルCSの好走馬は疑った目で見て、逆に凡走馬の巻き返しの方に着目をすべきです。

香港マイルと直結傾向しない安田記念

さらに京都マイルCSと並んで、安田記念と相性が悪いレースとしては香港(シャティン競馬場)の芝1600mも挙げられます。まず大前提として、芝短距離路線では日本馬よりも香港馬の方が格上なのは間違いありません。

直近だと4月に行われた香港で2番目に大きい芝マイルG1・チャンピオンズマイルで、日本馬3頭が揃って下位に沈んだのは、ひとえに同路線における日本馬と香港馬のレベル差を如実に反映するものだったと言えます。

にもかかわらず、安田記念では09年以降の15年間でそれなりの香港馬が16頭も出走しながらも全て5着以下に沈んでいるというのは、香港馬(シャティン芝1600mの実績馬)にとって安田記念は一種のハードルがあるという見方ができます。

■データ２　 安田記念の所属別成績（09年以降）


■データ３　 京都のマイルCSの所属別成績（09年以降）

過去に香港マイルで連対を果たした日本馬は、01年エイシンプレストン1着・05年ハットトリック1着・15年モーリス1着・18年ヴィブロス2着・19年アドマイヤマーズ1着の5頭ですが、エイシンプレストンとハットトリックとアドマイヤマーズの3頭は京都マイルCS好走実績馬であり安田記念では一度も好走できなかった馬でした。

逆に香港マイルで人気を背負いながらも掲示板外に凡走した日本馬は、近年だと17年サトノアラジン11着・18年モズアスコット7着・19年インディチャンプ7着・21年ダノンキングリー8着・21年ヴァンドギャルド6着・22年シュネルマイスター9着・22年ダノンスコーピオン6着・23年セリフォス７着の8頭ですが、ヴァンドギャルド以外の7頭は全て安田記念を筆頭とした東京芝1600mのG1連対実績馬でした。

香港芝1600mの実績馬は疑った目で見て、逆にそこの凡走馬の巻き返しの方に着目すべきです。

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