かつて今よりもフルゲート頭数が遥かに多い設定だった時代に言われたという格言“ダービーポジション”ではありませんが、2019年までのダービーでは「逃げ先行馬」が最も有利なポジショニングとなっていました。
脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
平地・逃げ | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 84 | 57 |
平地・先行 | 2- 0- 1-11/14 | 14.30% | 14.30% | 21.40% | 0 | 135 |
平地・中団 | 1- 3- 3-30/37 | 2.70% | 10.80% | 18.90% | 369 | 70 |
平地・後方 | 1- 1- 0-12/14 | 7.10% | 14.30% | 14.30% | 0 | 455 |
脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
平地・逃げ | 0- 1- 1- 5/ 7 | 0.00% | 14.30% | 28.60% | 0 | 192 |
平地・先行 | 3- 1- 2- 17/ 23 | 13.00% | 17.40% | 26.10% | 496 | 258 |
平地・中団 | 2- 5- 3- 48/ 58 | 3.40% | 12.10% | 17.20% | 10 | 34 |
平地・後方 | 1- 0- 1- 35/ 37 | 2.70% | 2.70% | 5.40% | 7 | 10 |
平地・マクリ | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.00% | 100.00% | 100.00% | 530 | 180 |
しかし、2020年を境にしてその潮目はガラリと変わり、「逃げ先行馬」ではなく「差し追い込み馬」が有利なポジショニングとなっているのが直近のダービーとなっています。
実際に2020年以降の人気薄激走馬としては「20年10番人気3着ヴェルトライゼンデ・21年9番人気3着ステラヴェローチェ・22年7番人気3着アスクビクターモア・23年6番人気3着ハーツコンツェルト」が挙げられ、アスクビクターモア以外の3頭は「差し追い込み馬」でした。例外のアスクビクターモアはその後に菊花賞でレコード勝利を挙げている通り、有利なポジショニングで恵まれたというよりも能力の高さによって激走を果たしたという見方をすべきでしょう。
また、2019年以前の人気薄走馬の大半はトライアルレース組から輩出されていましたが、2020年以降は上で名前を挙げた4頭中3頭は皐月賞組でした。
早期育成が主流となり皐月賞でのダービーの優先出走権が拡大された今となっては、強い馬というのはキチンと皐月賞に間に合うように早い段階から実績を積んでいるものなので、皐月賞とそれに間に合わなかった馬同士によるトライアルレースのレベル差が以前よりも更に大きくなっているということがその背景として考えられます。
まとめると今のダービーでは「差し追い込み馬」と「皐月賞組」を重視すべきということです。
今年のNHKマイルCで皐月賞3着馬のジャンタルマンタルが勝利したことで、近10年のNHKマイルCにおける皐月賞組の好走例は15年1着クラリティスカイ・16年2着ロードクエスト・19年1着アドマイヤマーズに次いで4例目となりました。そして、その4例に共通するのは皐月賞が1分58秒台前半以下の高速決着だったという点です。そんなスピード過多のタイプが走りやすい高速決着の皐月賞は、NHKマイルCに直結する一方で、ダービーの方には直結しないということが言えます。
それに対して、中長距離適性が問われて総合的な地力を有しているタイプが選抜されやすい低速決着の皐月賞は、NHKマイルCに直結しない一方で、ダービーの方に直結するということも言えます。
年 | 皐月賞馬 | ダービー人気 | ダービー着順 |
22年 | ジオグリフ | 4 | 7 |
19年 | サートゥルナーリア | 1 | 4 |
17年 | アルアイン | 4 | 5 |
16年 | ディーマジェスティ | 1 | 3 |
15年 | ドゥラメンテ | 1 | 1 |
14年 | イスラボニータ | 1 | 2 |
13年 | ロゴタイプ | 2 | 5 |
09年 | アンライバルド | 1 | 12 |
07年 | ヴィクトリー | 2 | 9 |
06年 | メイショウサムソン | 1 | 1 |
05年 | ディープインパクト | 1 | 1 |
04年 | ダイワメジャー | 4 | 6 |
02年 | ノーリーズン | 2 | 8 |
実際に過去25年の皐月賞において、前者の高速決着(勝ち時計が2分未満)だった年の勝ち馬はダービーで「1着3回2着1回3着1回着外8回」で凡走例も多くなっている一方で、後者の低速決着(勝ち時計が2分以上)だった年の勝ち馬はダービーで「1着3回2着4回3着2回着外1回」でほぼパーフェクト好走となっています。
その中で唯一の着外は12年5着ゴールドシップでしたが、この年の皐月賞は近15年では最も遅い勝ち時計でしたので、あまりに遅すぎる決着だった場合には中長距離適性を超えて長距離適性が問われてしまうという見方もできます(ゴールドシップはその後に菊花賞と天皇賞春という長距離G1レースを制覇)。
まとめると、高速決着と超低速決着の皐月賞勝ち馬はダービーで信頼できず、それ以外の中速〜低速決着の皐月賞はダービーで信頼できるというわけです。
キムラヨウヘイの
推奨馬は
アプリで紹介!
ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
記事に紹介されているような分析が自分でできる! |
あらゆる切り口で競馬データを分析可能! |