このオークスに出走する牝馬にとって距離2400mというのは、後にも先にもほぼ経験することがない過酷で長すぎる距離に分類できます。その上、前走までに距離1600m近辺の速い流れのレースを使われてきた出走馬が大半を占めており、それらの馬が一気の距離延長により、この距離に適したペースを刻むのは容易ではないために、長距離にしてはペースが流れやすくて“脱落戦(バテ合い)”になりがちです。そこで好走に至るためには、確かな地力と長距離をこなせるスタミナを備えている必要があります。
そんなオークスと、真逆のスピード勝負になりがちな桜花賞とでは、本質的にギャップが大きいレースだと考えるべきです。実際に近12年でオークスと桜花賞と両方好走したのは、計14頭と少なからずいますが、故障馬(早期引退馬)を除けばほぼ全ての該当馬が、その後もG1路線で主役級の活躍を見せた馬となっています。それ程の圧倒的な地力の持ち主でない限りは、距離ギャップを越えて桜花賞とオークスを両方好走するのは至難の業ということが読み取れます。
その上で、スピード勝負向きの桜花賞適性馬か、スタミナ勝負向きのオークス適性馬かどうかを見抜く大きな手掛かりに「馬体重」があります。
馬体重 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
400〜419kg | 0- 0- 1- 12/ 13 | 0.00% | 0.00% | 7.70% | 0 | 24 |
420〜439kg | 2- 0- 2- 32/ 36 | 5.60% | 5.60% | 11.10% | 24 | 23 |
440〜459kg | 2- 3- 1- 47/ 53 | 3.80% | 9.40% | 11.30% | 26 | 74 |
460〜479kg | 6- 6- 4- 33/ 49 | 12.20% | 24.50% | 32.70% | 45 | 127 |
480〜499kg | 0- 1- 1- 15/ 17 | 0.00% | 5.90% | 11.80% | 0 | 18 |
500〜519kg | 0- 0- 1- 8/ 9 | 0.00% | 0.00% | 11.10% | 0 | 30 |
馬体重 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
400〜419kg | 0- 0- 1- 15/ 16 | 0.00% | 0.00% | 6.30% | 0 | 45 |
420〜439kg | 0- 2- 2- 35/ 39 | 0.00% | 5.10% | 10.30% | 0 | 38 |
440〜459kg | 0- 2- 1- 44/ 47 | 0.00% | 4.30% | 6.40% | 0 | 31 |
460〜479kg | 9- 3- 3- 35/ 50 | 18.00% | 24.00% | 30.00% | 173 | 66 |
480〜499kg | 1- 3- 3- 12/ 19 | 5.30% | 21.10% | 36.80% | 26 | 102 |
500〜539kg | 0- 0- 0- 7/ 7 | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0 | 0 |
距離が短い桜花賞では「480〜499キロ(大型馬)」と「460〜479キロ(中型馬)」の馬が活躍傾向であるのに対して、距離が長いオークスでは「460〜479キロ(中型馬)」と「450キロ台以下(小型馬)」の馬の健闘が目立ちます。そうした傾向から、馬体重の大小次第で桜花賞でパフォーマンスを上げるタイプとオークスでパフォーマンスを上げるタイプとを峻別することができます。
近12年、桜花賞とオークスで好走馬した14頭のうち、オークスで桜花賞よりも着順を下げた3頭は全て470キロ以上の中大型馬でした。逆にオークスで桜花賞よりも着順を下げなかった11頭中9頭は460キロ台以下の小中型馬でした。
また近5年のオークスにおいては、470キロ以上の中大型馬で1〜5番人気の上位人気に推されていた馬は6頭全てが掲示板外に沈んでおり、逆に460キロ台以下の小中型馬で1〜5番人気の上位人気に推されていた馬は18頭中9頭という高確率で馬券内好走を果たしています。桜花賞組に限らずとも、中大型馬の人気馬は信頼度が低く、小中型馬の人気馬は信頼度が高いという見方が有効だと言えます。
馬体重以外にスタミナ勝負向きのオークス適性馬かどうかを見抜く手掛かりに「血統」も有効です。
種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
ステイゴールド | 1- 5- 1- 11/ 18 | 5.60% | 33.30% | 38.90% | 176 | 169 |
キズナ | 4- 2- 3- 44/ 53 | 7.50% | 11.30% | 17.00% | 187 | 132 |
エピファネイア | 3- 2- 4- 27/ 36 | 8.30% | 13.90% | 25.00% | 26 | 121 |
オルフェーヴル | 3- 3- 2- 27/ 35 | 8.60% | 17.10% | 22.90% | 65 | 115 |
ドリームジャーニー | 0- 2- 0- 4/ 6 | 0.00% | 33.30% | 33.30% | 0 | 113 |
Blame | 0- 0- 2- 4/ 6 | 0.00% | 0.00% | 33.30% | 0 | 90 |
ハービンジャー | 6- 5- 5- 49/ 65 | 9.20% | 16.90% | 24.60% | 111 | 89 |
ゴールドシップ | 3- 1- 2- 19/ 25 | 12.00% | 16.00% | 24.00% | 160 | 88 |
キングカメハメハ | 7- 3- 3- 31/ 44 | 15.90% | 22.70% | 29.50% | 116 | 85 |
以前にも牝馬の中長距離の上級レースでは「ステイゴールド系・キングカメハメハ産駒・ハービンジャー産駒・キズナ産駒」が特注血統であると紹介したことがありましたが、直近の同条件戦においても相変わらずそれら4種牡馬(系統)が高い単複回収率をマークし続けています。
近年のオークスでも、その特注血統の該当馬から「20年13番人気3着ウインマイティー(ゴールドシップ産駒)・21年16番人気3着ハギノピリナ(キズナ産駒)・22年10番人気2着スタニングローズ(キングカメハメハ産駒)」と言った激走例が生まれています。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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