キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2024年ヴィクトリアマイル

スローペースだと差し有利⇔平均ペースだと先行有利

先週のNHKマイルCでは『2020年秋以降の東京芝コースは一にも二にも末脚こそがモノを言う馬場で、差し有利傾向へと化しているのが最新トレンド』・『特にG1レースではことさら顕著な差し有利傾向が生まれているのが実情』と指摘しましたが、東京芝G1の中でもこのヴィクトリアマイルは「スローペースだと差し有利⇔平均ペースだと先行有利」という当レース特有の傾向があります。

それは「スローペースは瞬発力を生かしたいクチの差し馬にとって都合が良いペース」であり、「平均ペースはペース耐性に乏しいタイプが少なくない牝馬の差し馬にとっては不歓迎で、スピードと持続力を生かしたいクチの逃げ先行馬にとって都合が良いペース」という側面の方が強調されるために、一般論とは真逆のことが起きているというわけです。


■データ1  過去11年でスローペースだった年(17.18.21年)の脚質別成績

脚質上り 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
平地・逃げ 0- 0- 0- 3/ 3 0.00% 0.00% 0.00% 0 0
平地・先行 0- 0- 1-12/13 0.00% 0.00% 7.70% 0 26
平地・中団 3- 2- 2-16/23 13.00% 21.70% 30.40% 148 174
平地・後方 0- 1- 0-13/14 0.00% 7.10% 7.10% 0 12

■データ2  過去11年で平均ペースだった年(上記年以外)の脚質別成績

脚質上り 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
平地・逃げ 1-  0-  1-  6/  8 12.50% 12.50% 25.00% 353 1157
平地・先行 3-  3-  3- 19/ 28 10.70% 21.40% 32.10% 36 97
平地・中団 4-  5-  3- 52/ 64 6.30% 14.10% 18.80% 76 74
平地・後方 0-  0-  1- 39/ 40 0.00% 0.00% 2.50% 0 4

実際に近11年で、スローペースで流れたのは17年と18年と21年の3つでしたが、好走馬9頭中8頭を道中通過順位7番手以下の差し馬が占めるなど、軒並み差し決着となっています。

逆に平均ペースで流れた残る8つの年では「13年5番人気3着マイネイサベル(2番手追走)・14年ヴィルシーナ11番人気1着(逃げ)・15年12番人気2着ケイアイエレガント(2番手追走)&18番人気3着ミナレット(逃げ)・22年18番人気4着ローザノワール(逃げ)」など、逃げ馬もしくはそれに準ずる2番手追走馬が激走または激走未遂を果たしています。

スローペースだと中距離組が買いパターン⇔平均ペースだと短距離組が穴パターン

そして、脚質面以外に問われる距離適性についても、スローペースで流れるか平均ペースで流れるか次第で、大きく左右されることになります。


■データ3  過去11年でスローペースだった年(17.18.21年)の前走距離別成績

前走平地距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
同距離 2- 1- 3-22/28 7.10% 10.70% 21.40% 117 73
今回延長 0- 0- 0-10/10 0.00% 0.00% 0.00% 0 0
今回短縮 1- 2- 0-12/15 6.70% 20.00% 20.00% 8 165

■データ4  過去11年で平均ペースだった年(上記年以外)の前走距離別成績

前走平地距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
同距離 2-  6-  1- 46/ 55 3.60% 14.50% 16.40% 42 60
今回延長 3-  1-  3- 29/ 36 8.30% 11.10% 19.40% 138 100
今回短縮 3-  1-  4- 41/ 49 6.10% 8.20% 16.30% 28 204

スローペースで流れた3つの年の好走馬9頭は全て前走で距離1600m以上のレースに出走していた馬で、17年11番人気2着デンコウアンジュと21年10番人気2着ランブリングアレーは共に前走距離1800mのレースに出走していた馬でした。逆に前走で距離1400m以下のレースに出走していた馬は17年3番人気11着レッツゴードンキや21年2番人気6着レシステンシアなど総じて振るわない結果となっていました。

それに対して平均ペースで流れた8つの年の好走馬24頭中7頭は前走で距離1400m以下のレースに出走していた馬で、しかもその全てが上位1〜3番人気以外で穴激走も多く含まれるという結果でした。

また、最有力ステップレースの阪神牝馬ステークスは、その点で言えばスローペースで中距離型に有利なレースになりがちとなっています。よって、阪神牝馬ステークスを好走した中距離型の馬が、平均ペースで短距離型が有利になりやすいヴィクトリアマイルで人気を裏切るというケースが毎年の様に発生しているというのもポイントとなります。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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