キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2024年大阪杯

斤量経験と斤量実績がポイント

中央競馬では昨年から『馬齢重量(3歳9月まで)および3(4)歳以上馬競走の別定重量における基礎重量を引き上げ』との斤量ルール変更がなされました。それに伴って古馬G1レースの負担重量も58キロ(牝馬56キロ、以下同)に統一されました。一昨年までも春秋の天皇賞と安田記念と宝塚記念とエリザベス女王杯の5レースについては負担重量が58キロと規定されていましたので、それらのレースについては現状維持となり、この大阪杯も含めた大多数のレースでは負担重量が1キロ引き上げられたという格好です。

この斤量ルール変更がどのような変化を生み出すのかについては、元々から負担重量が58キロと規定されていた上記5レースにおいて、「斤量経験」と「斤量実績」が鍵を握っていたという点に注目します。それらのレースでは前走時の斤量が58キロ以上(牝馬56キロ以上)で今走では同斤量または斤量減での出走となる馬が好成績を残しており、前走時の斤量が57.5キロ以下(牝馬55.5キロ以下)で今走では斤量増での出走となる馬は成績が振るわない傾向が認められます。


■データ1  安田記念&天皇賞春の牡馬の前走斤量別成績(2015年以降)

前走斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
49.5〜53kg(斤量増) 0-  0-  0-  3/  3 0.00% 0.00% 0.00% 0 0
53.5〜55kg(斤量増) 1-  1-  2- 24/ 28 3.60% 7.10% 14.30% 13 36
55.5〜57kg(斤量増) 10- 10- 11-171/202 5.00% 9.90% 15.30% 36 50
58〜59kg(同斤量〜斤量減) 4-  3-  3- 18/ 28 14.30% 25.00% 35.70% 334 133

特に大阪杯と同じく春競馬に行われる天皇賞春と安田記念では、同斤量または斤量減での出走となる馬の単複回収率が100%を大きく超えている程でしたので、この大阪杯においても今度同様のことが起きる可能性が考えられます。

斤量ルール変更(古馬G1は斤量増⇔3歳クラシックは斤量維持)によって斤量経験の乏しさが弱点となっている4歳馬

古馬G1レースの負担重量が58キロに統一された一方で、3歳馬の馬齢重量については従来通り57キロ(牝馬55キロ、以下同)のままですので、それが適用される3歳クラシックを含む3歳G1レースの負担重量も57キロのままとなっています。

よって、従来ならば4歳馬はクラシックと大阪杯では同じ斤量57キロでの出走だったのが、昨年からはクラシックよりも1キロ重い斤量を背負わなければならなくなりました。それは大阪杯だけでなく古馬G1レース全てにおいて言える話ですが、そこでは重斤量経験が乏しい3〜4歳前半の少キャリア馬と、斤量ルール変更に伴って重斤量経験が豊富な4歳後半以降の多キャリア馬という構図が生まれることになります。

現4歳世代馬については各所で世代レベルが疑問視されていますが、それと共に斤量ルール変更に伴う重斤量経験の差が、現時点での競走成績の世代間格差にも繋がっているということも考えられます。実際に世代レベル云々があまり言われていなかった昨年の4歳世代馬においても、4歳前半はG1レースで年長世代相手に圧倒的劣勢となっていました。


■データ2  2023〜24年の上半期古馬G1レースの年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
3歳 0-  0-  0-  3/  3 0.00% 0.00% 0.00% 0 0
4歳 2-  3-  2- 38/ 45 4.40% 11.10% 15.60% 12 25
5歳 5-  4-  3- 35/ 47 10.60% 19.10% 25.50% 64 87
6歳 2-  2-  2- 28/ 34 5.90% 11.80% 17.60% 162 68
7歳 1-  1-  2- 20/ 24 4.20% 8.30% 16.70% 134 64
8歳 0-  0-  1-  7/  8 0.00% 0.00% 12.50% 0 96

今年のフェブラリーSでは斤量58キロだった4歳馬のオメガギネスとドゥラエレーデが人気を裏切る大敗を喫して、4歳馬の中では最も重めの斤量実績があったミックファイアが7着に健闘しました。高松宮記念でも4歳馬の中で唯一、58キロでの実績があったビックシーザーだけが一桁着順の健闘を見せて、それ以外の58キロでの実績や経験が無かった4歳馬4頭は全て二桁着順に沈みました。

今回の大阪杯は人気上位を4歳勢が占めるという様相ですが、その中でも重斤量実績の有無で上げ下げを行う必要があります。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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