昨年の金鯱賞は最内枠から終始最内を立ち回る競馬をしたアラタが6番人気3着と穴をあけましたが、それに限らずとも最近の冬春開催の中京芝重賞レースでは極端内枠有利の傾向が高頻度で出現しているというのが最新トレンドとなっています。
以下の列挙の通り、昨年は9重賞レース全てで、1〜2番枠を引き当てた馬が好走しました。
京都金杯3着プレサージュリフト(1番枠)
シンザン記念1着ライトクオンタム(2番枠)
愛知杯3着マリアエレーナ(2番枠)
日経新春杯1着ヴェルトライゼンデ(2番枠)
シルクロードS1着ナムラクレア(2番枠)
きさらぎ賞1着フリームファクシ(2番枠)
金鯱賞3着アラタ(1番枠)
ファルコンS2着カルロベローチェ(2番枠)
高松宮記念3着トゥラヴェスーラ(1番枠)
それらのレースで逆に8枠を引いた好走馬は金鯱賞の断然1番人気プログノーシスの1頭だけでした。重賞以外の平場レースでも2枠の成績が抜けて良好だったことからも、決して偶然の連続ではなく必然の傾向だったという見方ができるはずです。
その背景としては、昨年まで改修工事中だった京都競馬場の代替開催がこの中京競馬場で多く行われたことに伴って、芝の張替えを実施するタイミング(回数)を増やすなど、通常時よりも馬場を綺麗に保つ馬場造園課の積極的な取り組みが効力を発揮しているものと考えられます。
通常開催に戻った今年は、芝の張替え作業こそ行われていないものの、従来(3週間)よりも長い5週間に渡って養生がされているとのことで、JRAのHPに掲載されている馬場概要によると従来の「概ね良好な状態」よりもトーンアップの「全体的には良好な状態」と発表されているだけに、引き続き内枠有利の傾向が出現する可能性が高いです。
中京芝2000mというのは、ほんの少し前までは“逃げ残り”傾向と“先行有利”傾向が顕著な舞台条件となっていました。
実際に2年前までの中京芝2000mで行われた重賞レースでは逃げ先行有利決着が定番となっており、特に21年金鯱賞から22年金鯱賞の1年間に行われた5レース全てで逃げ馬が3着内に好走して、しかも内4レースでは8番人気以下の人気薄馬が激走するという極端な逃げ有利傾向が発生していました。
ただし、そういう目に見えて顕著な傾向というものに対しては、もちろんレース戦略を組み立てる騎手サイドも把握&研究して臨むことになりますので、それを抗おうとする方向性の乗り方の工夫がされることになります。
脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
平地・逃げ | 16- 10- 10- 37/ 73 | 21.90% | 35.60% | 49.30% |
平地・先行 | 34- 30- 29-149/242 | 14.00% | 26.40% | 38.40% |
平地・中団 | 10- 18- 24-235/287 | 3.50% | 9.80% | 18.10% |
平地・後方 | 7- 13- 8-217/245 | 2.90% | 8.20% | 11.40% |
平地・マクリ | 4- 0- 0- 9/ 13 | 30.80% | 30.80% | 30.80% |
脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
平地・逃げ | 15- 7- 11- 44/ 77 | 19.50% | 28.60% | 42.90% |
平地・先行 | 32- 33- 32-146/243 | 13.20% | 26.70% | 39.90% |
平地・中団 | 23- 26- 17-235/301 | 7.60% | 16.30% | 21.90% |
平地・後方 | 5- 8- 13-221/247 | 2.00% | 5.30% | 10.50% |
平地・マクリ | 0- 1- 2- 4/ 7 | 0.00% | 14.30% | 42.90% |
脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
平地・逃げ | 8- 7- 3- 35/ 53 | 15.10% | 28.30% | 34.00% |
平地・先行 | 17- 18- 24-106/165 | 10.30% | 21.20% | 35.80% |
平地・中団 | 19- 21- 18-185/243 | 7.80% | 16.50% | 23.90% |
平地・後方 | 5- 2- 3-153/163 | 3.10% | 4.30% | 6.10% |
平地・マクリ | 0- 1- 1- 4/ 6 | 0.00% | 16.70% | 33.30% |
実際に近3年の中京芝2000mの全レースにおける脚質別成績を見ると、2021年では逃げ馬の好走率は50%近くあったものが2023年には34%まで大幅に低下しており、その一方で2021年では差し馬の好走率は18.1%にとどまっていたものが2023年には23.9%まで上昇しています。
元来のコース形態に基づくレース傾向を超えて、騎手意識に基づく乗り方の工夫から、逃げ馬を容易には残させることなく差し馬でも届かせられるというレースが年々増しているというのが最新トレンドとして読み取れます。
具体的には直近の同コースで行われた重賞レースの中日新聞杯が典型ですが、以前よりも騎手が前半のペースと動き出しのタイミングを早くするレースが増えたことが、従来の先行有利一辺倒からの変化に繋がっているものと考えます。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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