先月のシルクロードSを取り上げた回では『スプリンターズSと真逆の決着になるシルクロードS』というタイトルを銘打ちました。それは生粋のスプリンターが走りやすいスプリンターズSと対極に位置する京都芝1200mのシルクロードSでは、前年のスプリンターズSで好走した馬は人気を裏切りがちという危険パターンとなり、逆に前年のスプリンターズSで凡走した馬が巻き返しがちという買いパターンとなることを指摘しました。
実際に今年のシルクロードSでは、前年のスプリンターズS好走馬こそ不在だったものの、スプリンターズSで凡走した2頭の内の1頭のアグリが巻き返しを見せてくれました。
それと同じ理屈で「京都芝1200mのシルクロードS≠中山芝1200mのオーシャンS」という関係性が成り立ちます。
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
シルクロードS | 3- 2- 2-31/38 | 7.90% | 13.20% | 18.40% | 184 | 61 |
ラピスラズリS | 2- 0- 0- 8/10 | 20.00% | 20.00% | 20.00% | 156 | 48 |
スプリンターズS | 1- 1- 2- 3/ 7 | 14.30% | 28.60% | 57.10% | 62 | 151 |
カーバンクルS | 1- 1- 1- 4/ 7 | 14.30% | 28.60% | 42.90% | 44 | 68 |
洛陽S | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.00% | 50.00% | 50.00% | 550 | 160 |
香港スプリント | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.00% | 50.00% | 50.00% | 100 | 55 |
アクアマリンS | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.00% | 100.00% | 100.00% | 850 | 290 |
(※赤文字は中山芝1200mで行われるレース)
実際に過去10年のオーシャンSの前走レース別成績では、シルクロードS組は母数の多さから好走馬の頭数ベースでは最も多く輩出しているものの、率ベースで見れば[3-2-2-31](複勝率18.4%)という水準に満たない成績にとどまっています。その一方で単勝回収率だけは184%という高水準の成績となっていて、シルクロードSで敗れて人気を落とした馬がオーシャンSで巻き返しているということが読み取れます。
実際に同期間内のシルクロードS組でオーシャンSを3着内に好走したのは「15年ベステゲシェンク4番人気3着」・「18年キングハート10番人気1着・ナックビーナス2番人気2着」・「21年コントラチェック11番人気1着」・「22年ジャンダルム2番人気1着・22年ナランフレグ4番人気2着・22年ビアンフェ5番人気3着」の計7頭いましたが、ナランフレグを除く6頭はシルクロードSで4着以下に凡走を喫していた馬でした。
また、その「シルクロードS凡走→オーシャンS好走」だった6頭は、全てそれ以前に中山芝のオープン競走での好走実績の持ち主でしたので、不得手コース条件から得意コース条件替わりでの一変劇だったというわけです。
ちなみにナランフレグについては、その後に高松宮記念とスプリンターズS、春秋スプリントG1競走を連続好走したことからも、高い能力と幅広い適性を持つ例外的な存在だったということが言えます。
京都芝1200m(シルクロードS)と中山芝1200m(オーシャンS)の具体的に何が違うのかと言えば、末脚が生きるペースになりやすい前者は差しが決まりやすく、逆に前半からのスピードと後半の渋とさが求められるが後者は、先行馬がそのまま残りやすいという点です。
脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
平地・逃げ | 1- 2- 2- 5/ 10 | 10.00% | 30.00% | 50.00% |
平地・先行 | 6- 4- 1- 27/ 38 | 15.80% | 26.30% | 28.90% |
平地・中団 | 3- 3- 5- 50/ 61 | 4.90% | 9.80% | 18.00% |
平地・後方 | 0- 1- 2- 47/ 50 | 0.00% | 2.00% | 6.00% |
脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
平地・逃げ | 21- 9- 9- 69/ 108 | 19.40% | 27.80% | 36.10% |
平地・先行 | 36- 38- 32- 293/ 399 | 9.00% | 18.50% | 26.60% |
平地・中団 | 39- 48- 47- 559/ 693 | 5.60% | 12.60% | 19.30% |
平地・後方 | 12- 14- 19- 461/ 506 | 2.40% | 5.10% | 8.90% |
実際に中山以外の全場の芝1200mの重賞レースの脚質別成績と、オーシャンSの過去10年の脚質別成績を比べると、差し追い込み脚質馬の成績は前者の方が全て上回っており、逆に逃げ先行脚質馬の成績は後者の方がほぼ全て上回っています。
他場で末脚を武器に好走実績を積み上げている馬よりも、中山芝1200mで先行力を武器に好走実績を積み上げている馬の方を優先するのが先決と考えられます。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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