ただし、一昨年は勝利したのは逃げ馬のパンサラッサではありましたが、2着と3着には差し追い込み馬が食い込むという差し有利寄りの決着でしたし、昨年にいたっては道中後方待機の2頭によるワンツーという予想とは真逆の完全な差し決着となってしまいました。
年度 | 1着馬の脚質 | 2着馬の脚質 | 3着馬の脚質 | 3着内好走馬の3角通過順位の平均 |
23 | 差し | 差し | 逃げ | 6.3 |
22 | 逃げ | 差し | 差し | 5.7 |
21 | 先行 | 先行 | 先行 | 3.3 |
20 | 先行 | 先行 | 先行 | 3 |
19 | 先行 | 先行 | 差し | 4 |
18 | 先行 | 先行 | 逃げ | 2.3 |
17 | 先行 | 差し | 逃げ | 4 |
何故それまで絶対先行有利レースだった中山記念で、2年連続で従来の傾向とは異なる差し決着が起こったのかと言えば、一番の理由はメンバーレベルが低いレースだったからと考えます。
出走してくる人馬は誰もが勝利を目指して力の限りを尽くし合うG1レースを除いて、基本的にはメンバーレベルが高いレースほどいわゆる“凡戦”になりやすいものです。能力が高い馬ほどに先を見据える競馬を志向するのと、ギャンブルはせずに無難な形で自身のパフォーマンスを出し切るということに注力するということで、それらが集結するレースは大人しいレースに、言い換えれば観客目線ではハラハラドキドキ感の薄い見所の乏しい凡戦が形成されがちというわけです。
逆に能力が見劣る馬ほどギャンブル騎乗や変化のあるレースで活路を求めるということで、それらが集結するレースは激しいレースになりがちというわけです。
実際に20年以降に行われたG2レースで特にハイレベルメンバーが集結したレースだったのは、20年中山記念・20年チューリップ賞・21年金鯱賞・22年金鯱賞・22年札幌記念・22年毎日王冠の6レースがあげられますが、22年毎日王冠以外の5レースの3着内好走馬15頭中13頭は4角4番手以内の逃げ先行馬が占めているという先行有利傾向が読み取れます。逆に低レベルメンバーによるG2レースでは、逃げ馬が案外振るわずに、差し馬が健闘しているという傾向が読み取れます。
脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
平地・逃げ | 2- 1- 1- 2/ 6 | 33.30% | 66.70% | 3821 | 383 |
平地・先行 | 3- 3- 4-10/20 | 15.00% | 50.00% | 112 | 107 |
平地・中団 | 1- 1- 1-23/26 | 3.80% | 11.50% | 11 | 23 |
平地・後方 | 0- 1- 0-18/19 | 0.00% | 5.30% | 0 | 9 |
平地・マクリ | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.00% | 0.00% | 0 | 0 |
脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
平地・逃げ | 7- 4- 5- 41/ 57 | 12.30% | 28.10% | 111 | 88 |
平地・先行 | 23- 25- 19-137/204 | 11.30% | 32.80% | 88 | 119 |
平地・中団 | 23- 24- 26-241/314 | 7.30% | 23.20% | 71 | 80 |
平地・後方 | 3- 2- 5-221/231 | 1.30% | 4.30% | 8 | 33 |
平地・マクリ | 1- 0- 1- 2/ 4 | 25.00% | 50.00% | 415 | 130 |
この中山記念においても、4年前まではG1実績馬が多数参戦して数あるG2レースの中でも屈指の好メンバーが揃うレースだったことが単調な先行有利決着傾向を誘発したと考えられて、逆にここ3年はG1実績馬の参戦が減少してメンバーレベルが急激に低下したことが従来とは異なる決着傾向を誘発したと考えられます。
今年の中山記念もG1勝ち馬は2頭のみという、かつてとは隔世の感のある非ハイレベルメンバーによるレースとなりますので、従来の傾向とは異なる非先行有利決着となる可能性が高いと見ます。
キムラヨウヘイの
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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