キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2024年京都記念

今冬開催に限っては非ディープ系と大型馬有利な京都芝

4年振りに本来の舞台条件である京都芝2200mで行われる京都記念。京都競馬場は昨年春に大規模改修工事を経てリニューアルオープンされましたが、スタンド改築と厩舎改築と一部コース改修などと共に、芝の路盤についても全面的な刷新作業が行われた上で芝が張られたとのことで、単純に大規模改修工事が行われる直前の京都芝にそのまま戻ったというわけではありません。

むしろ、その直近(19〜20年頃)の京都芝は、当時の馬場造りの流行りも反映されてか年々時計が掛かる仕様になっていたので、リニューアルオープンに伴って直近よりも一昔前の馬場(高速馬場)へと回帰したわけです。それを利するのは血統面で言えばディープインパクト産駒を筆頭としたディープインパクト系であり、馬体面で言えば小〜中型馬であるということは以前の回でも取り上げました。

実際にも昨年の京都芝での種牡馬別の勝利数トップはディープインパクト系のキズナで、一定の出走回数がいた種牡馬の中での勝率トップも同系のエイシンヒカリでした。そして、昨年の京都芝(距離1800m以上)で最も好走率が高かった馬体重のゾーンは420〜439キロの小型馬で複勝率3割超だったのに対して、逆に馬体重500キロ以上の大型馬は複勝率1割台の不振となっていました。

それら「ディープインパクト系有利」と「小〜中型馬有利」が新装京都芝の本来の傾向であると見ていますが、例年ならば10月からの秋開催の開幕前に行われる馬場の張替え作業が昨年に限っては行われなかったこともあってか、長期間に渡る競馬開催で使い倒されている今の京都芝ではその従来の傾向はリセットされており、結論としてはそれとは真逆の「非ディープインパクト系」と「大型馬」が重視すべき属性であると見られます。


■データ1  今年の京都芝の種牡馬別成績

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率
キズナ 7- 2- 2-27/38 18.40% 23.70% 28.90%
ロードカナロア 6- 4- 1-24/35 17.10% 28.60% 31.40%
エピファネイア 5- 4- 1-22/32 15.60% 28.10% 31.30%
ハービンジャー 3- 3- 2-23/31 9.70% 19.40% 25.80%
ゴールドシップ 3- 2- 1-15/21 14.30% 23.80% 28.60%
ジャスタウェイ 3- 0- 1- 8/12 25.00% 25.00% 33.30%
ドゥラメンテ 2- 3- 0-23/28 7.10% 17.90% 17.90%
リアルスティール 2- 1- 2-10/15 13.30% 20.00% 33.30%
ダイワメジャー 2- 1- 0-16/19 10.50% 15.80% 15.80%
イスラボニータ 2- 0- 2- 6/10 20.00% 20.00% 40.00%

今年の京都芝の種牡馬別成績TOP10では、ディープインパクトは圏外で、ディープインパクト系はキズナとリアルスティールの2種牡馬のみが名を連ねています。そのキズナは勝利数こそトップであるものの、回収率の面では単勝回収率67%・複勝回収率47%という低い数字にとどまっていることからも期待に応えられているとは言い難いです。


■データ2  今年の京都芝1800m以上の馬体重別成績

馬体重 着別度数 勝率 連対率 複勝率
〜399kg 0-  0-  1-  1/  2 0.00% 0.00% 50.00%
400〜419kg 0-  1-  0- 10/ 11 0.00% 9.10% 9.10%
420〜439kg 2-  1-  1- 22/ 26 7.70% 11.50% 15.40%
440〜459kg 3-  4-  7- 39/ 53 5.70% 13.20% 26.40%
460〜479kg 3-  6- 11- 52/ 72 4.20% 12.50% 27.80%
480〜499kg 8-  3-  0- 47/ 58 13.80% 19.00% 19.00%
500〜519kg 6-  7-  5- 40/ 58 10.30% 22.40% 31.00%
520〜539kg 2-  3-  0- 16/ 21 9.50% 23.80% 23.80%
540〜 1-  0-  0-  1/  2 50.00% 50.00% 50.00%

今年の京都芝の距離1800m以上では、昨年最も好成績を残していた小型馬は成績を半減させる不振ぶりで、逆に昨年は振るわなかった馬体重500キロ以上の大型馬が複勝率3割程という好成績をマークしています。

昨秋開催の結果がアテにならない今冬開催の京都芝

今冬開催の京都芝とは根本的にレース傾向が異なる、昨春開催&昨秋開催の京都芝のレース結果は必ずしもアテにならないということも言えるはずです。実際に「昨秋開催の京都芝→今冬開催の京都芝」というローテを歩んだ馬は先週までに115頭いましたが、その成績は3着内好走率26.1%・単勝回収率43%・複勝回収率45%というかなり低い数字が並んでいます。

例えば先週のきさらぎ賞では、昨秋開催の京都芝でのパフォーマンスが評価されて3番人気に推されたジャスティンアースが馬券外の5着に終わった一方で、今冬開催の京都芝での好走実績を持つウォーターリヒトが人気薄ながら2着に食い込むという決着だったのがその典型です。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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