東京芝1600mで行われる牡馬牝馬混合の古馬重賞は、「冬のG3レースである東京新聞杯」と「春の最強マイラー決定戦の位置付けである安田記念」と「秋のG1前哨戦の位置付けである富士S」の計3レースが設定されていますが、今回の東京新聞杯だけが異質な特性を持つレースとなっています。
というのも、近年の東京芝は基本的に春開催と秋開催は最後の直線でどれだけ脚を使えるのかという、一にも二にも瞬発力こそが物を言う馬場になりやすい傾向となっています。ただし、この冬開催については、厳冬期で生育状況が良いとは言えない芝の状況と、幅員が狭くコーナー部分が拡大されるDコース使用という背景から、瞬発力の要求度は多少落ちて、より位置取り(前有利)やコース取り(内有利)という要素も問われる馬場になりやすい傾向があります。
実際に19〜23年までの5年間で、内有利の馬場傾向が発生した週の割合は春開催と秋開催ではそれぞれ1割ほどだったのに対して、冬開催では4割ほどとなっています。逆に外有利の馬場傾向が発生した週の割合は、春開催と秋開催ではそれぞれ3割ほどだったのに対して、冬開催では1度たりともありませんでした。つまりは同じ東京芝とはいえども「冬開催」と「春開催&秋開催」では別物として捉えるべきというわけです。
そんな季節ごとに違った顔を見せる東京芝で行われる計3レースの芝マイル重賞についても、それをストレートに反映する決着傾向となっています。安田記念と富士Sでは外目の枠順から直線で馬場の中〜外に持ち出して末脚を伸ばしてくるタイプが主な好走馬のパターンなのに対して、東京新聞杯では前に行くにしても差すにしても内目の枠順から馬場の内〜中を通って上手く立ち回るタイプが主な好走馬のパターンになっています。
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1枠 | 2- 0- 1-11/14 | 14.30% | 14.30% | 21.40% |
2枠 | 2- 2- 0-12/16 | 12.50% | 25.00% | 25.00% |
3枠 | 1- 1- 0-15/17 | 5.90% | 11.80% | 11.80% |
4枠 | 2- 2- 0-13/17 | 11.80% | 23.50% | 23.50% |
5枠 | 1- 1- 2-13/17 | 5.90% | 11.80% | 23.50% |
6枠 | 1- 1- 2-13/17 | 5.90% | 11.80% | 23.50% |
7枠 | 0- 1- 2-15/18 | 0.00% | 5.60% | 16.70% |
8枠 | 0- 1- 2-15/18 | 0.00% | 5.60% | 16.70% |
実際に昨年の東京新聞杯ではナミュールやジャスティンカフェの末脚を抑えて、最内枠を引き当てたウインカーネリアンの逃げ切り勝ちを収めました。
昨年秋のマイルCSについての回で、『春の安田記念と秋のマイルCSは東京芝1600m⇔京都芝1600mという舞台設定の違いによる要求適性の食い違いから、同じ芝マイルのG1レースでありながらも好走する馬の顔触れはガラリと入れ替わる』という、東京芝1600mと京都芝1600mの“非直結性”について取り上げました。
実際に同年の安田記念の凡走馬であるナミュールとソウルラッシュによるワンツー決着となり、逆に同年の安田記念の好走馬であるセリフォスとシュネルマイスターは共に人気を裏切って掲示板外に沈みました。
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
エリザベス女王杯 | 3- 1- 1- 1/ 6 | 50.00% | 66.70% | 83.30% |
マイルCS | 2- 0- 1-11/14 | 14.30% | 14.30% | 21.40% |
元町S | 2- 0- 0- 1/ 3 | 66.70% | 66.70% | 66.70% |
京都金杯 | 1- 2- 3-28/34 | 2.90% | 8.80% | 17.60% |
若潮S | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.00% | 50.00% | 50.00% |
ノベンバーS | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.00% | 100.00% | 100.00% |
それは安田記念とマイルCSについてだけではなく、全ての東京芝1600mのレースと京都芝1600mのレースについても当てはまる話ですので、この東京新聞杯においても京都芝1600mで行われる京都金杯&マイルCS組は確率的にはあまり振るわない傾向で、その中でも当時凡走していた組がここで巻き返しを見せるというケースが多々見受けられます。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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