何よりも体力が問われるダートのトップ戦線においては、素質で走っている若駒よりもキャリアを重ねている古馬の方が絶対的に有利という下地があります。よって、若駒が古馬混合ダート重賞・オープン競走で好結果を残すことは容易なことではありません。その若駒というのは「成長途上の3歳馬」と、「斤量の恩恵が外される4歳前半馬」の2パターンを指します。
大抵の年の3〜4歳馬については、古馬混合ダート重賞・オープン競走での対戦成績が「3歳時には振るわず→4歳冬も振るわず→4歳春以降から上昇」という成績の推移を歩みます。 その「4歳冬も振るわず」となっている最たる要因は上の世代との斤量差で、4歳前半馬にとっては成長して古馬との力量差を埋めていく分だけ古馬との斤量差も縮小されていくので、それらが相殺される格好でその期間内は古馬との成績の差を中々詰められないということになります。そして、成長して力量は上がる一途という中で、斤量差は変わらないという4歳春以降から活躍が拡大していくというのが毎年恒例の不変の流れとなっているというわけです(※3歳秋だと概ね斤量差2キロ→4歳冬だと斤量差1キロ→4歳春以降は一貫して斤量差なし)。
年齢 | 着別度数 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
4歳 | 1- 1- 1- 12/ 15 | 20.00% | 17 | 28 |
5歳 | 5- 3- 3- 25/ 36 | 30.60% | 57 | 108 |
6歳 | 2- 2- 5- 34/ 43 | 20.90% | 14 | 73 |
7歳 | 2- 3- 1- 30/ 36 | 16.70% | 48 | 36 |
8歳 | 0- 1- 0- 12/ 13 | 7.70% | 0 | 39 |
着別度数 | 単勝回収値 | 複勝回収値 | |
2023年 | 3- 3- 4-25/35 | 37 | 51 |
2022年 | 2- 0- 1-27/30 | 11 | 21 |
2021年 | 4- 3- 0-32/39 | 55 | 52 |
2020年 | 1- 3- 0-21/25 | 20 | 38 |
2019年 | 3- 2- 2-23/30 | 30 | 44 |
2018年 | 0- 2- 1-20/23 | 0 | 37 |
2017年 | 4- 3- 1-22/30 | 37 | 42 |
過去の東海Sでも参戦例がそこまで多くないとはいえ4歳馬が振るわないレース傾向となっていますが、それは決して母数が少ないことによる偶然の産物なのではなく、同レース以外も含めた1〜3月に行われる全てのダート重賞オープン競走まで手を広げてみても、4歳馬の単複回収率は「2023年44%・2022年16%・2021年54%・2020年29%・2019年36%・2018年19%・2017年40%」となっており、近7年連続で極めて低調な数字が並んでいます。
4歳馬を買うとしたら斤量差縮小のハードルを乗り越えられる根拠がある馬で、逆にその根拠がない馬は危険人気馬になり得るということです。実際に2013年以降の東海Sにおいて4歳馬で好走を果たした馬は4頭いましたが、内2頭は前走で今回の斤量を超えたハンデを背負わされた古馬混合オープン競走で好走歴がある馬で、逆に言えばそれが無い4歳馬はほとんど馬券外に飛んでいます。
芝のオープンクラス路線においては、1年の中でG1とG2とG3とオープン特別のレースがそれぞれ万遍なく組まれていますが、ダートのオープンクラス戦線においてはG1とG2のレースは片手で数えられる程しか組まれておらず、G3のレースについても芝の2割程しか組まれていません。その一方でオープン特別のレースだけは芝とあまり変わらない数が組まれています。
それによって芝路線ではオープンクラス内のレースの格毎のレベル差というのはあまり大きくありませんが、ダート路線ではレースの格毎のレベル差が必然的に大きくなりますので、前走出走レースの格が高い馬が強い馬である可能性が高いということが言えます。
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
3勝 | 2- 0- 0- 4/ 6 | 33.30% | 33.30% |
OPEN非L | 0- 0- 1-14/15 | 0.00% | 6.70% |
OPEN(L) | 1- 0- 1-20/22 | 4.50% | 9.10% |
G3 | 1- 1- 1- 5/ 8 | 12.50% | 37.50% |
G2 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.00% | 0.00% |
G1 | 1- 3- 1- 9/14 | 7.10% | 35.70% |
実際に一昨年の東海Sでは「前走中央ダートG1レース出走馬」は7番人気スワーヴアラミス・1番人気オーヴェルニュ・2番人気サンライズホープの3頭のみで、それらが1着・2着・4着であわや馬券内独占という決着でした。このように単純に前走出走レースの格が高い馬を重視するという戦略が有効になり得ます。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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