阪神競馬場のスタンドリフレッシュ工事に伴う開催日程変更のため、本来の中京競馬場ではなく2020年以来4年振りに小倉競馬場で行われる愛知杯。
今回の舞台である小倉芝2000mは、最初の1コーナーまでの距離が約472メートルとかなり長いコース形態であるために序盤のペースが速くなりやすく、実際に同舞台で通常行われる唯一の重賞レースである小倉記念は、近12年中8年で前半3F通過タイムが34秒台以下の速いペースとなっています。また、もしも序盤からペースが流れなかったとしても、その場合には道中半ばから一気にレースが動く展開になりやすいので、どちらに転んだとしても長く脚を使う持続力とスタミナが問われるレースになりがちということが言えます。
それらのことから、小倉芝2000mの上級クラスのレースでは王道の中距離のレースにもかかわらず、意外な程に距離が長いレースを経てきた馬&距離が長いレースでの好走実績を有する馬がよく走る傾向があります。
前走平地距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
同距離 | 13- 11- 10-117/151 | 8.60% | 15.90% | 22.50% |
今回延長 | 4- 4- 5- 86/ 99 | 4.00% | 8.10% | 13.10% |
今回短縮 | 3- 5- 5- 35/ 48 | 6.30% | 16.70% | 27.10% |
500m以上延長 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.00% | 0.00% | 0.00% |
500m以上短縮 | 1- 1- 2- 10/ 14 | 7.10% | 14.30% | 28.60% |
2020年の愛知杯でも出走馬の中で4頭しかいなかった距離2200m以上のレースでの好走実績を持つ馬の中から、アルメリアブルーム(5番人気2着)・レイホーロマンス(11番人気3着)という2頭の人気薄が好走しました。
牝馬限定のレースではオークス・エリザベス女王杯に次いで、3番目(タイ)に長い距離設定である2000mで行われるのが愛知杯です。牡馬のレースでは2000mというのはごく一般的な距離設定ですが、基本的に牡馬よりもスタミナ面で劣り距離適性が短めに出る牝馬にとって、この2000mというのはイレギュラーな距離設定になります。そんな牝馬同士による中長距離の上級クラスのレースでは、多数の走り切れない馬と、一部の走り切れる馬という距離適性の面での差が如実に競走結果に反映されます。
その走り切れない馬と走り切れる馬を分け隔てる最大のポイント、またそれを読み解く最大のヒントは血統にあります。通常とは異なるイレギュラーな適性が問われるという意味で、牝馬の中長距離のレースの種牡馬別成績の序列は、全体リーディングとはまるで様相が異なってきます。端的に言えば、通常評価すべきリーディング上位種牡馬の産駒は軽視して、逆にこの条件に特化して強さを見せる曲者種牡馬の産駒を狙い撃つことこそが、高配当への最短ルートとなり得るというわけです。
種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
キズナ | 8-11- 8-48/75 | 10.70% | 25.30% | 36.00% |
ハービンジャー | 4- 4-11-38/57 | 7.00% | 14.00% | 33.30% |
オルフェーヴル | 3- 5- 4-25/37 | 8.10% | 21.60% | 32.40% |
キングカメハメハ | 4- 4- 0-17/25 | 16.00% | 32.00% | 32.00% |
ハーツクライ | 7- 7- 5-43/62 | 11.30% | 22.60% | 30.60% |
ドゥラメンテ | 6- 5- 3-33/47 | 12.80% | 23.40% | 29.80% |
スクリーンヒーロー | 4- 3- 1-19/27 | 14.80% | 25.90% | 29.60% |
ディープインパクト | 7- 6-11-60/84 | 8.30% | 15.50% | 28.60% |
以前にも『牝馬の中長距離の上級レースは「ステイゴールド系・キングカメハメハ産駒・ハービンジャー産駒・キズナ産駒」が特注血統』と紹介したことがありましたが、最新の22年以降の集計データでも全く同様にそれら4種牡馬(系統)が相変わらず好成績をマークしてTOP4に君臨し続けています。やはり特殊な適性が求められる条件だけに、そこで輝きを見せるという際立つ個性はそう簡単には埋没することはないし、取って代わる存在もそう簡単には現れないということでしょう。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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