有馬記念は “中央競馬の中で最も大きなレース”だとしても “中央競馬の中で最高峰のレース”ではありませんので、ここに臨んでくる馬のモチベーション(本気度)や状態面(余力の有無)は決して一様ではなく、各馬で明確に差が付くポイントとなっています。それもあって、近年の有馬記念で人気を背負いながらも馬券外に飛んだ馬の多くは、有馬記念を目標のレースとはしていなかった前走ジャパンC組の馬となっています。
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
---|---|---|---|---|---|---|
コックスプレート | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.00% | 100.00% | 100.00% | 49 | 65 |
菊花賞 | 2- 2- 2- 7/13 | 15.40% | 30.80% | 46.20% | 98 | 103 |
凱旋門賞 | 1- 1- 2- 5/ 9 | 11.10% | 22.20% | 44.40% | 670 | 210 |
天皇賞秋 | 3- 2- 1-12/18 | 16.70% | 27.80% | 33.30% | 0 | 74 |
ジャパンカップ | 2- 2- 4-44/52 | 3.80% | 7.70% | 15.40% | 0 | 58 |
ほんの数年前までは、ジャパンC参戦馬が中3週の間隔となる有馬記念にも大挙連戦するのが、一般的なローテーションとなっていました。しかし、2年前の有馬記念においては前走ジャパンC組が不振というデータの蓄積と知見も反映されてか、上位人気馬は全て「余力の有無」では問題にならない一定の間隔が空いたローテを踏んで有馬記念へと歩を進めていたことが、1〜5番人気の上位人気馬がそのまま1〜5着までに入線するという順当決着を生んだものと考えられます。
昨年の有馬記念でも1〜5番人気の上位人気馬に推されながらも飛んだのは、例のごとく前走ジャパンC組のヴェラアズールと、前走凱旋門賞組で極悪馬場かつ超ハイペースの過酷レースを経てきたタイトルホルダーという「余力の有無」の観点で問題があった2頭でした。その裏返しで、間隔が空いているローテで臨む人気馬は、順当に走る可能性が高い信頼の置けるパターンとなっています。
テレビ中継される枠順抽選会で、内枠を引いた陣営が歓喜する一方、外枠を引いた陣営が落胆するというのが毎年の光景となっていますが、実際には近5年中4年(21年を除く過去4年)では内枠は決して有利ではなかったのに内枠を喜ぶというあべこべな現象が起こっていました。
ただし、それも無理もない話で、近5年中4年(21年を除く過去4年)では、有馬記念の前週まではどちらかと言えば内有利寄りの馬場だったのが、有馬記念の当週(開催4週目)に入ってから馬場の傷みが広がって外有利寄りの馬場へと変貌していました。
実際に近5年の3着内好走馬15頭の中に内枠先行馬は1頭も含まれておらず、最も好走率が高くて有利なのは中枠で、7番人気以下の穴好走を果たした2頭は共に外枠の馬でした。
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
---|---|---|---|---|---|---|
1枠 | 0- 0- 0-10/10 | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0 | 0 |
2枠 | 0- 1- 0- 9/10 | 0.00% | 10.00% | 10.00% | 0 | 27 |
3枠 | 1- 1- 1- 7/10 | 10.00% | 20.00% | 30.00% | 67 | 69 |
4枠 | 1- 0- 2- 7/10 | 10.00% | 10.00% | 30.00% | 89 | 79 |
5枠 | 3- 1- 0- 6/10 | 30.00% | 40.00% | 40.00% | 69 | 63 |
6枠 | 0- 1- 0- 9/10 | 0.00% | 10.00% | 10.00% | 0 | 13 |
7枠 | 0- 1- 1- 8/10 | 0.00% | 10.00% | 20.00% | 0 | 93 |
8枠 | 0- 0- 1- 9/10 | 0.00% | 0.00% | 10.00% | 0 | 37 |
枠順抽選会での各陣営の反応も含めて「有馬記念=内枠有利」という認識を元に内枠から売れていくことも予想されますので、少なくとも妙味的には中〜外枠の馬の方に軍配が上がりそうです。
過去12年で7番人気以下の穴好走を果たしたのは、20年サラキア・18年シュヴァルグラン・17年クイーンズリング・15年ゴールドアクター・14年トゥザワールド・12年オーシャンブルー・11年エイシンフラッシュ・11年トゥザグローリーの8頭いますが、その内の4頭は過去に中山コースでの重賞勝利実績又はGI好走実績の持ち主で、残る4頭は中山コースでの重賞出走歴がない馬でした。
近年の有馬記念は人気馬が順当に走りやすいレースとなっていますが、その中で穴をあける馬についてはコース巧者から輩出される可能性が高いと言えます。
キムラヨウヘイの
推奨馬は
アプリで紹介!
ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
記事に紹介されているような分析が自分でできる! |
あらゆる切り口で競馬データを分析可能! |