キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2023年朝日杯フューチュリティS

阪神芝1600mと東京芝1600mは直結コース

今週末の朝日杯フューチュリティSは阪神芝1600mで行われる2歳馬によるG1レースです。同じコースで行われる阪神ジュベナイルフィリーズについての先週コラムで、『東京芝1600mと阪神芝1600mは似た適性が求められるので、双方のコースで行われるレースは直結しやすい』ということを取り上げました。

実際にその阪神JFのレース結果は、勝ち馬アスコリピチェーノこそ漏れてしまいましたが、出走馬の中で3頭しかいなかった東京芝1600m好走実績馬(コラム推奨馬)である「ステレンボッシュ・コラソンビート・サフィラ」が、それぞれ2〜4着までの上位入線を果たしました。昨年の阪神JFでも同様に、一握りの東京芝1600m好走実績馬だった「リバティアイランド・シンリョクカ」が1〜2着というワンツー決着だったのも含めて、近10年の同レースの3着内好走馬の過半数が東京芝1600m好走実績馬から輩出されていることになりました。それは朝日杯FSにおいても同じことが言えるはずです。


■データ1  朝日杯FSの前走コース別成績(阪神施行の14年以降)

前走コース 着別度数 勝率 連対率 複勝率
東京・芝1600 5- 2- 3- 8/18 27.80% 38.90% 55.60%
京都・芝1600外 1- 2- 1-12/16 6.30% 18.80% 25.00%
東京・芝1800 1- 1- 0- 9/11 9.10% 18.20% 18.20%
阪神・芝1400 1- 0- 0-10/11 9.10% 9.10% 9.10%
京都・芝2000 1- 0- 0- 2/ 3 33.30% 33.30% 33.30%
東京・芝1400 0- 2- 2-27/31 0.00% 6.50% 12.90%
阪神・芝1600外 0- 2- 1-10/13 0.00% 15.40% 23.10%

実際に中山芝1600mで施行されていた13年以前には前走東京芝1600m組&東京芝1600m好走実績馬は振るわなかったものの、阪神芝1600mで施行されるようになった14年以降からは様相が一変して前走東京芝1600m組&東京芝1600m好走実績馬が一大勢力を築くようになり、前走出走レース別の成績も共に東京芝1600mで行われるレースである「1位サウジアラビアロイヤルC・2位ベゴニア賞」がツートップとなっています。

昨年の朝日杯FSでも、出走馬の中で3頭しかいなかった前走東京芝1600m組から、「1着ドルチェモア(前走サウジアラビアRC1着)・3着レイベリング(前走新馬戦1着)」が好走しました。

阪神JFの関東馬ワンツースリーからも裏付けられる“東高西低”の2歳戦線

これも前回のコラムの続きとなりますが、現2歳戦線はほんの少し前までの“西高東低”が絶対的な常識とされていた時代からは想像もできなかった“東高西低”の勢力図を形成しており、実際に先週の阪神JFも初めて美浦所属馬によるワンツースリーという“東高西低”という新たな時代を象徴するような決着となりました。


■データ2  本年の2歳1勝クラス以上の東西所属別成績

調教師分類 着別度数 勝率 連対率 複勝率
美浦 25- 22- 25-149/221 11.30% 21.30% 32.60%
栗東 28- 30- 28-216/302 9.30% 19.20% 28.50%

■データ3  本年の2歳重賞の東西所属別成績

調教師分類 着別度数 勝率 連対率 複勝率
美浦 7-  4-  6- 34/ 51 13.70% 21.60% 33.30%
栗東 5-  8-  6- 78/ 97 5.20% 13.40% 19.60%

今年も全体的な成績では栗東所属馬が美浦所属馬を上回っていますので、今でもG1レースなど局所的な分野を除いては、“東高西低”よりも“西高東低”として扱われることの方が圧倒的に多い印象です。

ただし、それはまだ“西高東低”の時代に育成や調教をされていたベテラン勢の活躍によるもので、悪く言えば“過去の遺産”や“貯金”でそうなっているだけと見るのが妥当と考えます。

地殻変動が起こった正に今のタイミングで育成や調教をされている新世代については 従来とは一線を画す“東高西低”の成績に傾いているだけに、これらの新世代が主力を形成することになる2〜3年後には全方位的に“東高西低”というのが競馬ファンの中でも新常識となる可能性が高いと考えられます。

その新常識が浸透する前段階の新世代の馬については、好走率はもとより妙味の面でも美浦所属馬の優勢傾向が中長期で続くことが見込まれますので、その先物買いが有効となってくるはずです。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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