2023年阪神ジュベナイルF｜キムラヨウヘイの重賞アナライズ

キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2023年阪神ジュベナイルF

阪神芝1600mと東京芝1600mは直結コース

この阪神ジュベナイルフィリーズが行われる舞台である阪神芝1600mを高いレベルの時計で乗り切るという資質は、東京芝1600mで求められるモノと通じる部分が大きく、双方のコースで行われるレースは直結しやすいです。

その好例が阪神芝1600mで行われた昨年までの近３年のマイルチャンピオンシップの結果です。そこでは「安田記念(東京芝1600m)≒マイルCS(阪神芝1600m)」という図式が成り立ちましたので、マイルCSの3着内好走馬9頭中4頭が同年の安田記念好走馬から輩出されて、同9頭中6頭が過去に東京芝1600mのG1好走実績がある馬から輩出されるという“直結傾向”が裏付けられる決着が続きました。

一転して、４年振りに京都芝1600mで施行された今年のマイルCSでは、「安田記念(東京芝1600m)≠マイルCS(京都芝1600m)」という図式に入れ替わりましたので、同年の安田記念好走馬として人気を背負ったシュネルマイスターとセリフォスは共に馬券外に飛んで、逆に安田記念好走馬でもなく、東京芝1600mのG1好走実績馬でもない３頭によるワンツースリーという、近３年とは全く異なる“非直結決着”となりました。

それらの近年のマイルCSの決着からも読み取れる通り、阪神芝1600mで行われるレースを予想する上では、直結コースである東京芝1600mで行われたレースの結果を大いに参考にすべきです。

■データ１　 阪神ジュベナイルFの前走コース別の成績（過去10年）

実際に近９年の阪神JFの３着内好走馬の約半数を前走東京芝1600m組(ほぼ全て好走馬)が占めています。昨年の結果も、1着リバティアイランドは前走東京芝1600mの重賞レース連対馬で、2着シンリョクカも前走東京芝1600mの新馬戦勝ち上がり馬。出走馬の中で6頭のみの前走東京芝1600m組または東京芝1600m好走実績馬の中から好走馬2頭を含む掲示板入線馬3頭が輩出されました。

2年前までは“西高東低”→昨年からは“東高西低” の２歳戦線

今年11月までに行われた２歳１勝クラス以上のレースでは、美浦所属馬は[20-18-20-115]勝率11.6%/連対率22%/複勝率33.5%に対して、栗東所属馬は[23-23-23-167]勝率9.7%/連対率19.8%/複勝率29.5%で、量は栗東所属馬でも質は美浦所属馬に軍配が上がっています。

日本競馬は長らく“西高東低”と言われていましたが、２歳戦線においても栗東所属馬が美浦所属馬を圧倒していました。その潮目が変わったのが昨年からで、今年もその潮流を引き継いで美浦所属馬に分があるという勢力図となっています。

■データ２　 22~23年の11月までに行われた２歳１勝クラス以上のレースの東西所属別成績


■データ３　 18~21年の11月までに行われた２歳１勝クラス以上のレースの東西所属別成績

それについてはジャパンカップの際にも詳しく取り上げた通り、美浦所属のノーザンファーム生産馬の大半が拠点としている外厩施設のノーザンファーム天栄の躍進というのが最大の背景であると考えられます。また、美浦トレセンの坂路改修もその一助となっている可能性もあります。

各馬の戦歴を見比べる際にも、従来ならレベルの高い関西で行われた栗東所属馬が主役のレースを経てきた馬を評価すべきだったところを、今は関東で行われた美浦所属馬が主役のレースでのし上がってきた馬を評価する必要があります。

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