キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2023年ジャパンカップ

今の東京芝のトップクラス戦は末脚が全て

前回の東京芝G1レースの天皇賞(秋)の際にも扱った内容ですが、今の東京芝は20年秋開催を境にして内有利の馬場バイアスがほぼ消滅して、なおかつ一にも二にも末脚が物を言う差し追い込み有利馬場へと変貌しています。

その上で、クラスが上がれば上がるほど最後の直線での末脚の要求度合いが高まり、差しが決まりやすくなるものなので、最高峰のクラスに位置する重賞レースではことさら顕著な差し追い込み有利傾向が生まれています。


■データ1  20年秋以降の東京芝の古馬重賞の位置取り別成績

脚質上り 着別度数 複勝率
平地・逃げ 2-  2-  1- 40/ 45 11.10%
平地・先行 16-  8- 10-125/159 21.40%
平地・中団 20- 26- 23-206/275 25.10%
平地・後方 6-  8- 11-165/190 13.20%
平地・マクリ 0-  0-  0-  2/  2 0.00%

実際に20年秋以降の3歳上&4歳上の東京芝重賞レースで、最も好成績を残しているのは「差し脚質」の馬です。また、9番人気以下の人気薄ながらも3着内好走を果たした11頭中8頭は、道中二桁通過順位または道中最後方追走の「追い込み脚質」の馬から輩出されています。その裏返しで、全コース合算した場合だと最も高い成績を残している「逃げ脚質」が、45頭中5頭好走(複勝率11%)で最も低い成績となっています。

今年の天皇賞(秋)ではイクイノックスこそ力の違いとしか言いようがない先行抜け出しの横綱競馬での勝利でしたが、2着と3着には道中シンガリ追走&ブービー追走の追い込み馬2頭が食い込むという追い込み有利決着でした。

それはハイペースだったのが要因と思われるかも知れませんが、スローペースだった昨年のジャパンCでも、道中二桁通過順位だった差し追い込み馬2頭によるワンツーという差し有利決着でした。今の東京芝のトップクラスのレースでは差す競馬に徹してくる馬を重視すべきです。

今年のノーザンファーム生産馬は“東高西低”

日本競馬は“西高東低”というのが長らく定説となっており、今でも全体の勝利数や重賞レースの勝利数でも西が東を圧倒している状況があります。ただし、その全体的な差は年々縮小傾向にある上、日本競馬で最大のシェアを誇るノーザンファーム(NF)生産馬に限っては、一昨年までは“西高東低”でしたが、今年は“東高西低”に形勢逆転となっています。

NF系の関東馬は外厩として主にNF天栄が使われており、関西馬は主にNFしがらきが使われていますが、この逆転劇の背景としてはNF天栄の躍進による所が大きいと考えられます。


■データ2  今年のノーザンファーム生産馬の所属別成績(重賞レースのみ)

調教師分類 着別度数 勝率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
美浦 24- 13- 10-110/157 15.30% 29.90% 104 69
栗東 21- 28- 18-239/306 6.90% 21.90% 32 53

特に重賞レースでは、休み明け初戦でレースに使われる馬が多くて外厩力がより問われてきますので、さらに“東高西低”の色が濃くなっています。関東馬は単勝回収率100%以上をマークしているのに対して、一握りの在厩での調整力が高いトップ厩舎以外の関西馬は関東馬の牙城をなかなか崩せず、それでも以前までの関西馬が軒並み強かった時代のイメージで過大評価されがちということもあってか、極端に期待値(回収率)が落ちていることが読み取れます。

NF系における“東高西低”は現在進行中の止められない潮流であり、関東馬にとってはトレセンの施設面の不利も改善されつつあるだけに、これから更に加速していく可能性すら考えられます。

今年の日本競馬における最高峰の一戦であり、メイチで仕上げられた馬同士の一戦となるだろう今回のジャパンCだからこそ、最後は調整力の勝負という側面も出てくるはずですが、そこではNF系の関東馬に分がありそうです。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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