JRAにおける芝マイル路線の頂上決戦は春の安田記念と秋のマイルCSの2戦という位置付けとなっていますが、その両レースは東京芝1600m⇔京都芝1600mという舞台設定の違いによる要求適性の食い違いから、同じ芝マイルのG1レースでありながらも好走する馬の顔触れはガラリと入れ替わるという“非直結”の傾向がありました。
実際に09年から19年までの11年間の安田記念で3着以内に好走した馬の同年マイルCS成績は[2-1-1-13](複勝率23.5%)で、同じ期間のマイルCSで3着以内に好走した馬の翌年安田記念成績は[0-1-2-19](複勝率13.6%)であり、GI好走馬というハイレベルな母集団であることを踏まえれば明らかな不振成績となっていました。
その両レースの間にある“ギャップ”を乗り越えて春秋のマイル頂上決戦を同一年に制したのは、絶対的な王者として能力値が抜きん出ていたモーリスと、大本命馬アーモンドアイに致命的な不利があった年のインディチャンプとわずか2頭しかいませんでした。
逆にどちらかのレースで凡走を喫した馬が、もう一方のレースで巻き返して好走を果たすというケースも頻発しており、安田記念で4着以下に凡走した馬から同年マイルCSで連対を果たしたという馬は、09年から19年までの11年間で大挙11頭も誕生しています。
年 | 馬名 | 安田記念 | マイルCS |
---|---|---|---|
9 | カンパニー | 4 | 1 |
10 | エーシンフォワード | 10 | 1 |
12 | サダムパテック | 9 | 1 |
13 | ダイワマッジョーレ | 9 | 2 |
14 | フィエロ | 8 | 2 |
14 | ダノンシャーク | 4 | 1 |
15 | フィエロ | 4 | 2 |
16 | イスラボニータ | 5 | 2 |
17 | エアスピネル | 5 | 2 |
18 | ペルシアンナイト | 6 | 2 |
19 | ダノンプレミアム | 16 | 2 |
ここ3年の阪神芝1600mで行われたマイルCSでは、安田記念と好走馬が似通よるという“直結傾向”となっていましたが、再び京都芝1600mで行われるマイルCSでは“非直結傾向”に重きを置いて見るべきで、安田記念で適性が合わずに好走に至らなかった馬の巻き返しを狙い撃つというのが定石と言えるでしょう。
今春リニューアルオープンされた京都芝コースは、先々週まで道悪時を除いて一貫して超高速〜高速の馬場水準となっていました。しかし、その高速馬場設定が崩れたのが先週開催で、もちろん雨の影響があったことを勘案しても先々週以前までとは雰囲気が変わってきたという印象があります。そして、この11月半ばの開催を境にして馬場の様相がガラリと転化するというのは、実は19年以前でも毎年恒例のことでした。
よって、ひと口に京都芝と言っても、1〜10月までの通常開催と11月半ば以降の末期開催とでは、切り分けて考える必要があるというわけですが、それを如実に反映しているのが血統傾向です。
種牡馬 | 着別度数 | 勝率 |
---|---|---|
1位ロードカナロア | 6- 3- 3- 27/ 39 | 15.40% |
2位キングカメハメハ | 10- 6- 3- 47/ 66 | 15.20% |
3位ルーラーシップ | 6- 6- 2- 29/ 43 | 14.00% |
4位ディープインパクト | 21- 19- 17- 98/155 | 13.50% |
5位オルフェーヴル | 3- 0- 5- 18/ 26 | 11.50% |
種牡馬 | 着別度数 | 勝率 |
---|---|---|
1位ディープインパクト | 160- 135- 133- 715/1143 | 14.00% |
2位キングカメハメハ | 60- 49- 40- 385/ 534 | 11.20% |
3位ステイゴールド | 46- 38- 37- 314/ 435 | 10.60% |
4位ロードカナロア | 32- 41- 24- 232/ 329 | 9.70% |
5位マンハッタンカフェ | 30- 24- 25- 239/ 318 | 9.40% |
※ルーラーシップ | 22- 28- 29- 222/ 301 | 7.30% |
通常開催の京都芝ではディープインパクト産駒が最も走る血統となっていますが、この末期開催の京都芝ではキングカメハメハ系の3種牡馬が揃って大きく成績を向上させており、勝率部門ではワンツースリーを独占しています。特にルーラーシップ産駒は通常開催時には勝率7.3%で、今年もこれまで僅か1勝のみであるのに対して、末期開催時では勝率14%となっている点が特に注目です。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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